ドル円とユーロドル 目先の見通しとチャートポイントについて
29日の外為市場は株高と米金利の低下によりドル売り優勢の展開となった。ドル円は短期レジスタンスラインの突破に失敗しただけなく、134.50レベルが戻り高値の候補に浮上。一方、ユーロドルは1.07の攻防が焦点に。目先の展望についてはIG為替レポートをご覧ください。
ドル円はレジスタンスラインの手前で反落 134.50の攻防が焦点に
【サマリー】
・29日の外為市場は株高と米金利の低下を受けて米ドル売りの展開に
・ドル円は短期レジスタンスラインの突破に失敗
・134.50レベルがドル円の戻り高値の候補に浮上
・ユーロドルの展望と注目のチャートポイントについて
リスク選好の米ドル売り
29日の外為市場は、米ドル売り優勢の展開となった。
新規失業保険申請件数は前週の21.6万件から22.5万件へ増加した。失業保険の継続受給者数も前週の166.9万人から171.0万人へ増加した。これら雇用指標の内容を受け米国市場では金融引き締め懸念が後退し、米債市場では利回りに低下の圧力が高まった。
一方、米国の株式市場では下落トレンドのけん引役だったハイテク株や半導体株が買われ、主要指数は大幅反発の展開に。ナスダック総合指数と100指数(NDX)はともに2.5%高と急反発した。S&P500種株価指数(SPX)は直近2日間の下げを取り戻した。
米金利の低下と株高が同時に発生する局面では、外為市場で米ドル売りの圧力が最も高まりやすい。昨日は、ブラジルレアルやメキシコペソ以外の主要通貨で米ドル売りの展開となった。
米ドル相場の動向:12月29日
ドル円は短期レジスタンスラインの突破に失敗
米ドル安を受け、昨日のドル円(USDJPY)は132.88レベルまで反落した。
テクニカルの面では、このレポートで何度か取り上げた21日線(MA/今日現在134.96レベル)の手前で反落した。21日線突破の失敗は、10月以降(高値151.95を付けて以降)に発生した下落トレンドを象徴する短期レジスタンスラインの突破に失敗したことを意味する。
同時に昨日の反落で、ドル円の戻り高値の水準として134.50レベルが浮上してきた。この水準(134.50レベル)は、今月14日の安値の水準にあたる。つまり、サポートからレジスタンスへ転換した可能性のある水準ということになる。よって、今後ドル円が反発する局面では、134.50レベルの攻防に注目したい。
ドル円のチャート
下落局面でのチャートポイント
一方、ドル円が再び下値トライとなる場合は、直近高安の132円ミドルの攻防に注目したい。先週20日の日銀ショック後、この水準はレジスタンスとしてもサポートとしても意識された経緯がある。
ドル円が132円ミドルで一度反転すれば、短期レジスタンスラインを視野に調整の反発相場を想定したい。
逆にドル円がこの水準(132円ミドル)をあっさりと下方ブレイクする場合は132円割れ、および131円ミドルを視野に下落幅が拡大する可能性が高まろう。
ドル円のチャート
ユーロドルの展望とチャートポイント
焦点は1.07台への上昇と1.07ミドルの攻防
一方、ユーロドル(EURUSD)は米ドル安にサポートされ、1.06台で底堅い展開が続いている。昨日は高値1.0690まで上昇する局面が見られた。21日線(MA/1.0592レベル)を維持している状況やリスクリバーサル(25R /1ヶ月)の推移も考えるならば、ユーロドルの焦点は1.07のトライにあろう(①のチャートを参照)。
ユーロドルが1.07台へ上昇する場合、テクニカル面での焦点は1.0746レベルの攻防にある。この水準はフィボナッチ・リトレースメント61.8%にあたり、今月15日の上昇を止めた経緯がある(②のチャートを参照)。
ユーロドルのチャート①
1.07台では反落のリスクを警戒
ユーロドルのモメンタム(12日)は低下基調にあり、現在の上昇相場の勢いが衰えていることを示唆している。一方、MACDでもデッドクロスが示現して以降、低下のトレンドにある。過去の推移とこれらテクニカル指標のトレンドを考えるならば、ユーロドルは1.07台へ上昇しても、10月以降のユーロ高を調整する反落相場へ転じる可能性を意識しておきたい。
思惑通りにユーロドルが反落する場合、最初の焦点は21日線の維持となろう。この移動平均線を下方ブレイクする場合は、レジスタンスからサポートへの転換が確認されている1.05レベルおよび50日線(MA/1.0345レベル)までの下落(ユーロ高の調整)を想定しておきたい。
ユーロドルのチャート②
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