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アメリカ株、急速に後退する株高のムード エヌビディアの決算を警戒 S&P500の見通し

経済指標を受け米国経済の先行き懸念が強まっている。26日の引け後にエヌビディアが決算を発表する。米国株のボラティリティ拡大を警戒したい。

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記事の概要

トランプ関税によるインフレ再燃の懸念がくすぶるなか、米国経済を支える個人消費の先行き懸念が高まっている。先週の後半以降、米国市場は株安・金利低下という典型的なリスク回避相場に陥っている。26日の引け後に半導体大手のエヌビディア(Nvidia)が決算を発表する。投資家の失望を誘う内容となれば、S&P500はさらに下値を目指す展開が予想される。


一変する米国市場のムード、株価指数は月初来でマイナスへ

米国市場のムードが一変している。昨日の米債市場では、10年債利回り(長期金利)が昨年12月12日以来となる4.2%台へ急低下した。短期金融市場では後退していた利下げ観測が再び高まっている。現状では、7月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げを織り込む状況にある。

長期金利の低下と利下げ期待の高まりにもかかわらず、米ハイテク株は軟調地合いにある。直近1週間の情報技術セクターは5.45%下落している。ハイテク株売りを受け株価指数の下落幅も拡大している。月初来の騰落率を確認すると、主要な株価指数がすべてマイナスとなった。アメリカ株式市場のムードが急速に悪化している。

アメリカ株価指数の騰落率:月初来

アメリカ株価指数の騰落率:月初来

ブルームバーグのデータで筆者が作成


S&P500連日の陰線引け、エヌビディアの決算でボラティリティ拡大も

多くの機関投資家が運用の指標とするS&P500は先週20日以降、連日の陰線引けとなっている。短期サポートライン、20日線そして50日線を難なく下方ブレイクすると、昨日の市場では1月の安値と2月高値のフィボナッチ・リトレースメント61.8%の水準5,916レベルを下方ブレイクする局面が見られた。日足のMACDはデッドクロスへ転じ、ゼロラインを視野に低下基調にある(日足チャート、黒矢印を参照)。

61.8%戻しを完全に下方ブレイクすれば、125日線のトライが視野に入ろう。この移動平均線は、米CNNが提供している「Fear and Greed Index」に採用されているテクニカル指標である。

S&P500のチャート:日足 年初来

S&P500のチャート:日足 年初来

出所:TradingView

現状、S&P500が対象のオプション取引のボラティリティ(変動率)を元に算出されるVIXは20ポイント以下で推移している。昨夏のように米国株が急落するムードはない。しかし、VIXとVXV(今後3ヶ月間の予想変動率)の比が「1」に向けて上昇している状況は、短期の株安リスクを市場参加者が意識し始めているサインと捉えることができる。

VIX / VXVレシオ:日足 2024年7月以降

VIX / VXVレシオ:日足 2024年7月以降

ブルームバーグのデータで筆者が作成

今週は、2つのイベントで米国株のボラティリティが拡大する可能性がある。その一つが、23日のIG米国株レポートで取り上げた1月の個人消費支出価格指数(PCEデフレーター)である。個人消費の先行き不透明感が強まるなかでPCEデフレーターがインフレの粘着性を示せば、スタグフレーションの懸念が米国株(S&P500)の重石となる展開を警戒したい。

もう一つの注目イベントが、エヌビディア(NVDA)の2024年11月~2025年1月期(第4四半期)決算である。焦点と見通しを以下にまとめた。

エヌビディア 26日引け後に決算を発表 焦点とリスク要因について

最大の焦点は業績の見通し
26日の引け後に半導体大手のエヌビディア(NVDA)が2024年11月~2025年1月期(第4四半期/Q4)の決算を発表する。ブルームバーグがまとめたアナリスト予想によれば、売上高は前年同期比73.03%増の382.45億ドル、1株利益(EPS)は同比63.50%増の0.84ドルが見込まれている。

売上高の80%を占めるまでに急成長したデータセンターの収益も前年同期比で85.05%増の340.57億ドルが見込まれている。生成 AI向け次世代チップBlackwellの大幅な増産により、サプライチェーンの問題や中国の新興AI企業ディープシーク台頭のショックを乗り越え、Q4決算はアナリスト予想を上回ることが予想されている。だが決算後の主力ハイテク株の株価推移を考えるならば、エヌビディアの決算でも業績の見通しが最大の焦点となろう。

2025年2月~4月期(第1四半期/Q1)売上高の見通しは前年同期比62.28%増の422.64億ドル、EPSは同比50.12%増の0.92ドルと、堅調な伸びが見込まれている。

データセンターの収益も前年同期比で68.59%増の380億ドルが見込まれている。Blackwellの供給と収益の予想次第では、投資家の期待に応える業績見通しが示される可能性がある。同社の株価は時間外で上昇することが予想される。

売上高と1株利益の推移:2020年以降

売上高と1株利益の推移:2020年以降

ブルームバーグのデータで筆者が作成

データセンター収益の推移:2020年以降

データセンター収益の推移:2020年以降

ブルームバーグのデータで筆者が作成

エヌビディアが抱えるリスク要因
業績の見通しと同じく重要な焦点となり得るのが、エヌビディアの利益成長である。Q4の営業利益予想は前年同期比67.43%増の246.94億ドル、Q1は同比48.19%増の267.61億ドルが見込まれている。利益の額は堅調に伸びる見通しにある。

その一方で四半期ベースの営業利益率の推移を確認すると、2024年Q1を境に伸びが抑制されている。業績の見通しが市場予想を上回っても、それがアナリスト予想とわずかな差である場合は利益成長の懸念が意識され、株価は時間外で下落する可能性がある。前回11月の決算ではこの点が意識され、決算発表直後に株価が5%下落する局面が見られた。

営業利益の推移:2022年以降

営業利益の推移:2022年以降

ブルームバーグのデータで筆者が作成

もう一つ注視すべきリスク要因がある。それが、トランプ米政権が進める対中半導体規制である。米ブルームバーグによれば、トランプ米政権はバイデン前政権の対中半導体規制の強化を目指す方針と伝えた。エヌビディア製の半導体規制については、ライセンスなしで中国に輸出できる数量と種類をさらに制限することを目指しているという。

今後は、輸出の迂回ルートを遮断する規制強化の動きにも注視する必要がある。米ブルームバーグは1月31日、事情に詳しい複数の関係者の話として、米当局がシンガポールを通してディープシークが米国の輸出規制を回避しエヌビディアの先端半導体を購入したかを調査していると報じた。
エヌビディアの海外売上高は50%を超え、直近第3四半期の割合は海外が57.8%、米国が42.2%だった。海外売上高のうち22%をシンガポールが占め、中国(香港含む)や台湾のシェアを超えた。トランプ米政権がエヌビディアの半導体輸出規制をさらに強化する方向に動けば、同社の利益成長に大きな影響を与える可能性があろう。

海外売上高の比率:2025年会計年度第3四半期(2024年8~10月期)

海外売上高の比率:2025年会計年度第3四半期(2024年8~10月期)

ブルームバーグのデータで筆者が作成

ブルームバーグのデータで筆者が作成 / 単位:100万 USD / カッコ:売上高のシェア


エヌビディアの見通しとテクニカルライン

エヌビディア(NVDA)の株価は現在、200日線を維持できるかどうか?の重要な分岐点にある。Q4決算と業績見通しが投資家の期待に応える内容となれば、今日以降の市場では20日線そして50日線の突破が焦点となろう。

だが50日線の突破に成功しても、短期レジスタンスラインの突破を確認できない限り、テクニカルの面では下落リスクを警戒する状況が続こう。

レジスタンスライン
・141.85:短期レジスタンスライン(2/25時点)
・134.22:50日線(2/25時点)
・129.89:20日線(2/25時点)

20日線はレジスタンスラインへ転換する兆しが見られる。また、MACDがデッドクロスへ転じゼロラインを下回りる状況にある状況も考えるならば、警戒すべきは200日線の下方ブレイクである。今回の決算が投資家の失望を誘う結果となれば200日線の下方ブレイク、そして昨年8月の安値と今年1月の高値の半値戻しの水準121.91ドルのトライを想定したい。後者のテクニカルラインを下方ブレイクする場合は120ドルの維持が焦点となろう。

決算内容を受け株価が半値戻しの水準をも一気に下方ブレイクする場合は、昨年8月の安値を基点とした短期サポートラインのトライを想定したい。すぐ下の水準114.54ドルは、フィボナッチ・リトレースメント61.8%の水準にあたる。短期サポートラインとともにサポートゾーンを形成する可能性があろう。

サポートライン
・126.20:200日線(2/25時点)
・121.91:半値戻し
・120.00:サポートライン
・115.90:短期サポートライン(2/25時点)
・114.54:フィボナッチ・リトレースメント61.8%


エヌビディアのチャート

日足:2024年8月以降

日足:2024年8月以降

出所:TradingView


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