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米国株、経済指標で株高のすそ野がさらに広がるか?テスラの決算にも注目、S&P500の見通し

米国株の上昇が止まらない。先週18日の市場でダウ平均は連日で最高値を更新した。S&P500も4営業日ぶりに最高値を更新した。また週間の騰落率では、中小型株で構成されるラッセル2000が最も上昇した。株高の“すそ野”が広がる状況を示唆する動きである。今週も米国株は上昇トレンドを維持するのか?その鍵を握るのが米経済指標とテスラの3Q決算である。

Source: Bloomberg Source: Bloomberg

記事のポイント

・株高の“すそ野”が広がり、最高値を更新し続けるダウ平均とS&P500
・3つの要因が今の米株高トレンドを支えている
・今週も株高を維持できるか?焦点は米経済指標とテスラの3Q決算に
・S&P500の見通しと注目のチャートポイントについて


S&P500のチャートポイント

上値の水準(レジスタンス)

・6,000:心理的節目の水準
・5,935:フィボナッチ・エクステンション100%
・5,900:レジスタンスポイント

下値の水準(サポート)

・5,820-35:サポートゾーン
・5,805:10日線(10/18時点)
・5,800:フィボナッチ・リトレースメント38.2%
・5,760:全戻し、サポート転換の水準


最高値の更新が続く米国株

米国株の上昇が止まらない。先週18日の市場でダウ平均は3日続伸し、前日比36ドル86セント(0.09%)高の4万3,275ドル91セントと連日で最高値を更新した。S&P500種株価指数(以下ではS&P500)も前日比23.20ポイント(0.4%)高の5,864.67ポイントで終え最高値を更新した。

ラッセル2000が示唆する“すそ野”の拡大

先週筆者が注目したのが、ラッセル2000の動きである。16日に終値ベースで2,286.68レベルまで上昇し、今年の最高値を更新した。週間の騰落率を確認すると、最高値を更新し続けているダウ平均やS&P500の上昇率を上回った。

中小型株で構成されるラッセル2000の上昇は、株高の“すそ野”が広がりつつあり、一部の主力株に頼ったこれまでの“歪な株高”の状況が変化していることを示唆している。

アメリカの株価指数 週間騰落率:10月14日~18日

アメリカの株価指数 週間騰落率:10月14日~18日

ブルームバーグのデータで筆者が作成

米株高を支える3つの要因

要因1:ソフトランディング期待

なぜ、ここにきて中小型株に買いが広がっているのか?その要因は3つあると、筆者は考えている。

ひとつは、米国経済の底堅さを示唆した経済指標である。10月の第1週目に発表された9月のISM非製造業景気指数と同月の雇用統計はいずれも市場予想を上回り、米株高の土台となった。

なかでも筆者が注目したのが小売売上高である。9月は前月比で0.4%増加し、市場の予想を4ヶ月連続で上回った。国内総生産(GDP)の算出に使用されるコア売上高(外食、自動車、建設資材、ガソリンスタンドを除いた指数)は0.7%増と、今年6月以来(0.9%増)の大幅な伸びを示した。

個人消費はアメリカ経済の土台である。その個人消費が底堅さを維持している状況は、景気のソフトランディング期待をさらに高める要因となった。

米国 小売売上高:2023年9月以降

米国 小売売上高:2023年9月以降

ブルームバーグのデータで筆者が作成

要因2:好調な企業決算

二つ目の理由が、大手金融機関とネットフリックスの好調な四半期決算である。

先週はこれら企業を含めた景気敏感株が上昇した。この動きも、市場参加者が米国経済について強気の見通しに傾いていることを示唆している。

主要企業の決算サマリー

主要企業の決算サマリー

ブルームバーグのデータで筆者が作成 / ()はブルームバーグがまとめたアナリストコンセンサス

要因3:原油先物価格の下落

3つ目の理由が、原油先物価格の動向である。原油先物価格は、米長期金利(10年債利回り)に大きな影響を与える。事実、下のラインチャートを見ると、中東情勢の混迷を受け原油先物価格が上昇した局面では、米長期金利の上昇幅が拡大した。そして直近の原油安を受け、先週は米長期金利の上昇が抑制された。

原油安はエネルギー株の下落要因である。しかし、原油高で米長期金利の上昇が続く場合は、米国株全体の下落要因となり得た。ゆえに原油高が一服している今の状況は、米国株にとってポジティブな要因である。

原油先物価格と米長期金利の動向:日足 2024年7月以降

原油先物価格と米長期金利の動向:日足 2024年7月以降

ブルームバーグのデータで筆者が作成

注目材料は10月のPMIとテスラの3Q決算

焦点1:10月の購買担当者景気指数(PMI)

上で述べたとおり、ラッセル2000の上昇は、米株高の“すそ野”の広がりを示唆している。今週もこの状況が続けば、強気相場の土台がさらに強固となるだろう。

今週のラッセル2000も米経済指標で上下に振れる展開が予想される。注目の指標は、24日の10月購買担当者景気指数(PMI)速報値である。レポート掲載時点で製造業が47.5、サービス業が55.0の予想となっている。総合指数はサービス部門の動向に連動している(下のチャート、赤ラインを参照)。ゆえに、よりサービス業の指数に注目したい。

9月のISM非製造業景気指数は54.9と、2023年2月以来の高水準となった。PMI速報値でもサービス部門の活動が拡大していることが示される場合は、景気のソフトランディング期待をさらに高めるだろう。この期待の高まりは、米株高のすそ野が広がる要因となろう。

米国 購買担当者景気指数の動向:2021年10月以降

ブルームバーグのデータで筆者が作成

焦点2:テスラの3Q決算

米株高の土台を固めるもう一つの要因が、マグニフィセントセブンに名を連ねる銘柄の決算である。

今週23日に先陣を切って、米電気自動車(EV)大手のテスラ(TSLA)が第3四半期(3Q)の決算を発表する。前年同期比で売上高が約9%増となる一方、一株利益(EPS)は同比9.5%減が見込まれている。

テスラ 3Q決算のアナリストコンセンサス

テスラ 3Q決算のアナリストコンセンサス

ブルームバーグのデータで筆者が作成

テスラが今月2日に発表した7〜9月期の世界販売台数は、前年同期比6%増の46万2,890台だった。ブルームバーグがまとめた市場予想46万2,423台を上回り、3四半期ぶりにプラスとなった。

しかし、10月に入りテスラの株価はS&P500とは対照的に低迷している(下のラインチャートを参照)。テスラの2024年世界販売台数についてブルームバーグがまとめた予想では、中国勢とのEV競争により前年比でマイナス0.8%前後の減少が見込まれている。また、世界の生産台数は同比で8%前後の減少する見通しにあり、成長性の陰りが意識されやすい状況にある。

そして、価格を3万ドル以下とした人工知能(AI)搭載の無人タクシー「サイバーキャブ」に対する投資家の懐疑的な見方も株価の重しとなっている。今回の決算では、10月10日に開催されたイベント「We, Robot」で紹介されたサイバーキャブについてどのような成長戦略を描いているのか?この点について投資家から詳細な説明を求められる可能性が高い。

業績の見通し(ガイダンス)と新たな分野の成長戦略が投資家の期待を上回る場合、テスラの株価は短期的に再び上値を目指す可能性がある。一方、投資家の期待を下回る決算となれば、テスラの株価はさらに下値を目指す展開が予想される。

他のマグニフィセントセブン銘柄と比べて、テスラの株価がS&P500に与える影響は限定的となる可能性がある。それでも決算後、上下に振れる場合は短期的にS&P500のトレンドに影響を与えるだろう。

テスラとS&P500の動向:10月1日~18日

テスラとS&P500の動向:10月1日~18日

ブルームバーグのデータで筆者が作成


S&P500の見通しとチャート分析

節目の6,000が視野に

S&P500は現在、フィボナッチ・エクステンション76.4%の水準5,809レベルを完全に上方ブレイクし、5,900ポイントを視野に強気相場の勢いが増している。この点は移動平均線の動向も示唆している。短期の10日線、中期の50日線、長期の200日線が上から順に並び、かつ上向きのパーフェクトオーダーの状況にある。

S&P500が5,900ポイントの攻防へシフトする場合は、フィボナッチ・エクステンション100.0%の水準5,935レベルのトライを想定したい。

このテクニカルラインをも上方ブレイクすれば、節目の6,000ポイントが視野に入ろう。

S&P500のチャート:日足 2024年8月以降

S&P500のチャート:日足 2024年8月以降

出所:TradingView

S&P500、3つのサポートポイント

日足チャートのRSIは買われ過ぎの水準付近で推移している。デッドクロスへ転じ、かつ低下トレンドが鮮明となる場合は、調整の反落を想定しておきたい(上の日足チャートを参照)。しかし、現在の地合いの強さを考えるならば、下落幅は限定的となることが予想される。ゆえにS&P500の反落局面では、押し目買いを狙いたい。

今週は3つのサポートポイントに注目したい。ひとつは、5,820-35ゾーンである。下の1時間足チャートに2つのフィボナッチ・リトレースメントをプロットすると、今月10日の安値を起点とした38.2%戻しと半値戻しの水準が5,820-35のサポートゾーンを形成している(下の1時間足チャート、緑ラインを参照)。そして今月2日の安値を起点とした23.6%戻しの水準が、サポートゾーンの真ん中の水準5,830レベルにあたる(下の1時間足チャート、青ラインを参照)。

上のサポートゾーンを下方ブレイクする場合、次に注目したい水準が5,800レベルである。このサポートポイントは、先週11日の市場でサポートラインへ転換した。そしてテクニカルの面では10日線が推移し(18日時点5,805ポイント)、かつ今月2日の安値を起点としたフィボナッチ・リトレースメント38.2%の水準にあたる(下の1時間足チャート、青ラインを参照)。

最後の水準は、5,760レベルである。この水準でもサポートラインへの転換が確認された(上の日足チャートを参照)。テクニカルの面では、今月10日の安値を起点としたフィボナッチ・リトレースメントの全戻しの水準でもある。

時間足(本レポートでは1時間を採用)のMACDでトレンドを追い、RSIで相場の短期的な過熱感をチェックしたい。これらの指標がデッドクロスへ転じる局面では、上で述べた3つのサポートポイントの攻防を想定したい。

一方、これらの指標がゴールデンクロスへ転じる場合は、反発を想定したい。特にS&P500が上のサポートポイントをトライする局面でゴールデンクロスが確認される場合は、押し目買いを考えたい。

S&P500のチャート:1時間足 9月下旬以降

出所:TradingView


再掲 S&P500のチャートポイント

上値の水準(レジスタンス)

・6,000:心理的節目の水準
・5,935:フィボナッチ・エクステンション100%
・5,900:レジスタンスポイント

下値の水準(サポート)

・5,820-35:サポートゾーン
・5,805:10日線(10/18時点)
・5,800:フィボナッチ・リトレースメント38.2%
・5,760:全戻し、サポート転換の水準



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