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【NY金の見通し】迫るFOMC、金価格が再び高値を目指すきっかけとなるか?

スポットのNY金価格(XAU)は現在、2,400ドル付近で上値の重い展開が続いている。この状況で米連邦公開市場委員会(FOMC)が目前に迫っている。短期金融市場では、今年3回の利下げを織り込み始めている。FOMCが米ドル安のイベントとなれば、金価格は再び上昇することが予想される。 注目のチャート水準は?

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記事のポイント

・NY金価格は10日線と50日線の間で売り買いが交錯している
・今年の5月以降、金ETFへの資金流入額が増加の傾向にある
・FOMCで利下げ期待が高まれば、「米ドル安→金価格の上昇」を予想する
・NY金価格、注目のチャート水準について


NY金価格、注目のチャート水準

上値の水準(レジスタンス)

・2,450(2,452):フィボナッチ・リトレースメント76.4%
・2,430(2,433):フィボナッチ・リトレースメント61.8%
・2,410:10日線(7/30日時点)
・2,400:レジスタンスの水準

下値の水準(サポート)

・2,357:50日線(7/30日時点)
・2,356:フィボナッチ・リトレースメント61.8%
・2,326:フィボナッチ・リトレースメント76.4%


目前に迫るFOMC

スポットのNY金価格(XAU、以下では金価格)は現在、10日線と50日線の間で売り買いが交錯している。この状況を打破するイベントとして今週注目したいのが、7月30~31日に開かれる米連邦公開市場委員会(FOMC)である。

6月の雇用統計とインフレ指標(CPI、PCEデフレーター)の内容を受け、短期金融市場では「7月は据え置き、9月に利下げ」を想定する状況にある。

注目は、11月FOMCの利下げ確率が高まっていることである。短期金融市場では現在、60%台の確率で11月の利下げを織り込み始めている。12月FOMCでの利下げも意識されている状況を考えるならば、短期金融市場は今年3回の利下げを織り込む状況にある。

FOMC 政策金利の予想推移

FOMC 政策金利の予想推移 ブルームバーグのデータで筆者が作成 / 7月30日 7時時点の動向


米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は今月15日、エコノミック・クラブで投資会社カーライル・グループの共同創業者デービッド・ルーベンスタイン氏のインタビューを受けた。その際、インフレの鈍化と労働市場の冷え込みについて言及した。

FRBが最も重視するインフレ指標、PCEデフレーターは6月に前年同月比で2.5%まで低下した。FOMC後の定例会見でパウエルFRB議長がインフレの抑制に自信を示し、かつ労働市場の軟化について言及すれば、短期金融市場では年3回の利下げ期待がさらに高まることが予想される。

利下げ期待の高まりは、米ドル安の圧力を高めるだろう。7月のみならず、今年後半のFOMC後に米ドル相場がどのような反応を示すのか?は、金価格のトレンドを考えるうえで最も重要である。


5月以降、金ETFに資金が流入

なぜ米ドル相場の反応が重要なのか?その理由は、金ETFへ流れる資金の動きにある。

今年に入り、金ETFは資金の流出超が続いた。しかし今年の3月以降、時折流入超の状況が見られるようになった。

注目は5月以降の動向である。流入超の頻度が徐々に増していることが分かる(下のチャート、黒ゾーンを参照)。

金ETFの資金流入・流出の状況:週次ベース 年初来

金ETFの資金流入・流出の状況:週次ベース 年初来 ブルームバーグのデータで筆者が作成 / 金ETF:SPDRゴールド・シェア

鍵は米ドル安に

なぜ5月以降、金ETFへ資金が流入し始めているのか?

この疑問を解く鍵が、米ドル相場の動きにある。米ドル相場の大まかなトレンドを示すドル指数(DXY)のトレンドを確認すると、今年4月までは米ドル高優勢で推移してきたことが分かる。そして5月以降、米ドル高の勢いが失速し、米ドル安優勢のトレンドへ転じている。

金ETFに資金が流れ始めたタイミングと米ドル高が失速したタイミングが見事に一致している。ゆえに、今年後半のFOMCがいずれも米ドル安のイベントとなれば、金ETFへの資金流入が続くことが予想される。金ETFへの資金流入が続けば、金価格の押し上げ要因となろう。

ドル指数:日足 年初来

ドル指数:日足 年初来

出所:TradingView


NY金の見通しとチャート分析

10日線の突破

冒頭で述べたとおり、金価格(XAU)は現在、10日線と50日線の間で売り買いが交錯し、上値の重い状況にある。日足のMACDはデッドクロスへ転じ、モメンタムはゼロラインを下回る状況にある。2,400ドルの水準がレジスタンスとして意識されている状況も考えるならば、金価格の地合いは弱い。

しかし、下落の局面では50日線とフィボナッチ・リトレースメント61.8%の水準がサポートラインとして相場を下支えしている(下のチャート、黒矢印を参照)。この状況で7月のFOMC(パウエル会見)が米ドル安のイベントとなれば、金価格は再び上昇ムードを強める展開が予想される。

金価格が上値をトライする場合、目先は2,400ドル台への上昇が焦点となろう。テクニカルの面では10日線の突破に注目したい。この移動平均線は今日現在、2,410レベルで推移している。

NY金価格のチャート:日足 24年4月以降

NY金価格のチャート:日足 24年4月以降

出所:TradingView

2,430と2,450の攻防

金価格(XAU)が10日線を完全に上方ブレイクすれば、上昇幅の拡大を予想する。

次に注目したいレジスタンスの水準は2つ。ひとつは、2,430レベルである。この水準は先週24日の市場で相場の戻りを止め、レジスタンスラインへ転換する可能性を示唆した。また、2,433レベルはフィボナッチ・リトレースメント61.8%の水準にあたる。テクニカルの面でも2,430レベルを重要なレジスタンスの水準と想定しておきたい。

金価格がフィボナッチ・リトレースメント61.8%の水準(2,433レベル)を上方ブレイクする場合、次に注目したいのが2,450レベルである。すぐ上の2,452レベルは、フィボナッチ・リトレースメント76.4%の水準にあたる。このレジスタンス水準をも突破する場合は、高値更新が見えてくるだろう。

1時間足のRSIとストキャスティクスはゴールデンクロスを形成するムードにある。目先は2,400ドル、または10日線を視野に金価格の短期的な上昇を想定しておきたい。

RSIとストキャスティクスが売られ過ぎの水準でデッドクロスへ転じる場合は、反落を警戒したい。特に金価格が10日線をトライする局面では、その可能性を強く意識したい。

NY金価格のチャート:1時間足 7月12日以降

NY金価格のチャート:1時間足 7月12日以降

出所:TradingView

50日線を下方ブレイクする場合の焦点は?

一方、FOMCが米ドル高のイベントとなれば、金価格(XAU)は50日線(フィボナッチ・リトレースメント61.8%の水準)を一気に下方ブレイクする展開が予想される。このケースでは、フィボナッチ・リトレースメント76.4%の水準2,326レベルのトライが焦点として浮上しよう。

しかし直近の動向を振り返ると、2,326レベルでサポートされた経緯は見られない。ゆえに、50日線を一気に下方ブレイクする場合は、2,300ドルまでの下落を警戒しておきたい(下のチャート、緑矢印を参照)。

NY金価格のチャート:日足 24年4月以降

NY金価格のチャート:日足 24年4月以降

出所:TradingView


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