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インフレが “低下しないリスク” と6月FOMCの焦点 / ドル円とユーロドルのチャートポイント

今週最大の焦点は6月のFOMC。インフレリスクが意識され米利上げペースの加速が強く意識されれば、ドル高が進行する可能性あり。ドル円とユーロドルの焦点は?そして注目のチャートポイントは?詳細はマーケットレポートをご覧ください。

出所:ブルームバーグ 出所:ブルームバーグ

インフレが “低下しないリスク” と6月FOMCの焦点


【サマリー】
・現実味を帯びるインフレが “低下しないリスク”
・6月FOMCの焦点について
・米政治サイドからも大幅利上げのプレッシャーがさらに高まる可能性あり
・ドル円の焦点とチャートポイント
・ユーロドルの焦点とチャートポイント


現実味を帯びるインフレが “低下しないリスク”

10日に発表された5月の米国消費者物価指数(CPI)は前年同月比の伸び率が8.6%となり、前月の8.3%からインフレが再び高進したことが確認された。
また、同日に発表された6月のミシガン大学消費者態度指数(速報値)は市場予想(58.0)を下回る50.2となった一方で、1年先の期待インフレ率は5.4%と高止まりの傾向が鮮明となった。
米国のブレークイーブンインフレ率(1年/5年)も再び上昇トレンドにあることを考えるならば、米連邦準備制度理事会(FRB)の期待通りにインフレが「低下しないリスク」が現実味を帯びてきた。

米国CPI / ミシガン大学消費者信頼感指数(速報値)と1年先の期待インフレ率

Refinitiv Eikon 月次(2019年以降)下段:ミシガン大学消費者信頼感指数 Refinitiv Eikon 月次(2019年以降)下段:ミシガン大学消費者信頼感指数


ブレークイーブンインフレ率(1年/5年)

Refinitiv Eikon 日足(年初来) Refinitiv Eikon 日足(年初来)


・6月FOMCの焦点

米国のインフレリスクが高まる中、今週14~15日に米連邦公開市場委員会(FOMC)が開催される。

今回の焦点は、利上げペースの見極めにある。パウエルFRBの事前シグナルと短期金融市場の予測に従うならば、6月のFOMCでは0.5ポイントの利上げが有力である。しかしー

①インフレが「低下しないリスク」が現実味を帯びていること
②そのリスクが将来の景気後退を引き起こす可能性があること

③将来の景気後退に対応するため、次の金融緩和政策のための余力を確保する必要があること

上記3点を考えるならば、今回は0.5ポイントの利上げに留めても、7月以降のFOMCでは0.75ポイント利上げの必要性に迫られる可能性がある。

この点を見極める上で重要となるのが、FOMCメンバーによる最新の経済見通しである。インフレ予想を引上げてくる場合、市場はパウエルFRBのインフレ抑制スタンスが高まることを意識しよう。この観測は、米利上げペースの加速(0.75ポイント利上げ)の思惑を強めることにつながろう。

経済の面だけでなく米国の政治サイドからも、パウエルFRBに対して0.75ポイント利上げのプレッシャーが高まるだろう。
先月、パウエルFRB議長との会談でバイデン米大統領はFRBが果たすべきインフレ抑制の責任について言及した。また、今月10日にロサンゼルスの港で開かれたイベントでは石油大手エクソンモービル(XOM)を名指し、石油各社の増産を要請した。バイデン米大統領によるこれら一連の言動は、明らかに今年11月の中間選挙をにらんだものである。今後発表されるインフレ指標で「低下しないリスク」がさらに高まるならば、パウエルFRBに対してすでに高まっているインフレ抑制の政治的プレッシャーがさらに高まることが予想される。


ドル円の焦点とチャートポイント

・焦点は引き続き135円トライ&ブレイク

ドル円(USDJPY)は調整の反落を挟みながらも、5日移動平均線(SMA)がサポートラインとなり上昇トレンドを維持している。MACDもドル円の地合いの強さを示している。これらの動向を考えるならば、今週も135円のトライ&ブレイクがドル円の最大の焦点となろう。

ドル円が135円台へしっかりと乗せてくる場合、次の上値ポイントは136.00のトライである。テクニカルの面ではフィボナッチ・プロジェクション61.8%の水準136.68レベルのトライが注目される。今回のFOMCが米利上げペースを加速させるイベント(またはその観測を高めるイベント)となれば、米国債の利回りは短期的に上昇幅が拡大する可能性が高い。このケースでは、ドル円の上昇幅拡大と136円台への攻防シフトを想定しておきたい。

ドル円のチャート

TradingVeiw 日足(今年2月以降) TradingVeiw 日足(今年2月以降)


・5日線、132.50、131.30台の攻防

一方、FOMC前後で「インフレリスクと米金融引き締めリスク→景気の後退リスク→米国債利回りの低下」の展開となる場合、または135.00レベルが強固なレジスタンスポイントとして意識される場合は、ドル円(USDJPY)の反落リスクを警戒したい。このケースでは、5日線(上のチャートを参照 / 今日現在133.90前後で推移)の攻防が目先の焦点となろう。
ドル円がこの移動平均線を完全に下方ブレイクする場合は、8日大陽線の安値132.50レベルのトライおよび維持が焦点となろう。この水準は、フィボナッチ・プロジェクション50.0%のレベルでもある。テクニカル面でも132.50はサポートポイントとして意識される可能性がある。

ドル円の調整が加速(下落幅が拡大)し131円台の攻防へシフトする場合は、5月9日の高値131.34レベルが、レジスタンスからサポートのポイントへ転換するかどうか?この点を確認したい。

ドル円のチャート

TradingVeiw 4時間足(4月25日以降) TradingVeiw 4時間足(4月25日以降)

ユーロドルの焦点とチャートポイント

・再び1.04台の攻防へ

下落トレンドにあるユーロドル(EURUSD)では、短期レジスタンスラインの説明力が増している。1.08レベルがレジスタンスポイントとして意識されたこと、10日の市場では21日移動平均線(SMA)で戻りが止められたこと、そしてMACDでデッドクロスが示現していることも考えるならば、今週のユーロドルは1.04の攻防へシフトする展開を予想する。
1.04台の攻防で注目すべきポイントは、直近高安のフィボナッチ・リトレースメント76.4%の水準1.0452レベルのトライ&ブレイクである。この水準は、5月18~19日にかけて相場をサポートした経緯がある。

・1.04ミドルのブレイクならば

ユーロドル(EURUSD)が1.04ミドルを下方ブレイクする場合は、RSIの水準を確認したい。3月以降のトレンドパターンを重視するならば、「売られ過ぎ」の水準30を下回る水準では短期的な買戻しを想定しておきたい。しかしMA(チャート赤ライン)の上方ブレイクを確認できない状況が続く限り、下落トレンドの継続と今年最安値1.0348レベル(5月13日の安値)のトライを意識する状況になると予想する。

ユーロドルのチャート

TradingVeiw 日足(今年2月以降) TradingVeiw 日足(今年2月以降)

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