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相次ぐ米金融政策関係者のタカ派発言と9月米雇用統計 / ドル円の注目ポイントについて

市場参加者の耳目は今晩の9月米雇用統計に集中している。FRBのタカ派スタンスには変化が見られない。このため米債市場では利回りが上昇基調にある。強い米雇用統計となれば金利の上昇リスクがさらに高まる状況にある。一方、さえない米雇用統計は期待先行相場(株高/米ドル安)が再び発生する要因となり得る。ドル円の焦点は?そして注目のチャートポイントは?詳細はIGレポートにて。

出所:ブルームバーグ 出所:ブルームバーグ

相次ぐ米金融政策関係者のタカ派発言


【サマリー】
・米金融政策関係者からはタカ派発言が相次ぐ
・米金利はタカ派発言と原油高を受け反発基調を維持
・市場参加者の耳目は9月の米雇用統計へ集中
・円買い介入の神経戦が予想されるドル円 焦点は145.30台の攻防


・相次ぐ米金融政策関係者からのタカ派発言

昨日は、米金融政策関係者からタカ派の発言が相次いだ。

米連邦準備制度理事会(FRB)のクック理事は高インフレに対する警戒心を示した上で、持続的な利上げの必要性について言及した。

ミネアポリス地区連銀のカシュカリ総裁は、インフレ抑制重視のスタンスをあらためて示し、かつ利上げの一時停止については「かなり先」と指摘した。

そしてシカゴ地区連銀のエバンス総裁は一段の利上げ余地があると指摘し、23年春に政策金利が4.5~4.75%になるという自身の見通しを示した。

現時点で短期金融市場では、23年最初の連邦公開市場委員会(FOMC / 1月31日~2月1日開催)で政策金利が4.5%台へ到達することを織り込んでいる。そしてピークアウト(予想されるターミナルレート)は、23年3月もしくは5月のFOMCになることが予想されている。

エバンス総裁が示した見通しは、市場が予想する以上にタカ派よりである。

米政策金利の予想推移

米政策金利の予想推移 ブルームバーグのデータより作成 / 7日8時時点


・反発基調を維持する米金利

米金融政策関係者らのタカ派発言を受け、米債市場では利回りの反発基調が続いている。

金融政策の方向性を織り込んで動く2年債利回りは昨日、先月30日以来の水準となる4.26%台まで上昇する局面が見られた。一方、10年債利回り(長期金利)は一時3.84%台まで上昇した。

5日に開催されたOPECプラス会合で、主要産油国は11月から日量200万バレルの大幅減産で合意した。この影響の余波が続き、原油先物市場では反発基調が続いている。

この動き(原油高)に連動し、米金利も反発基調を維持している状況を考えるならば、今後は経済指標だけでなく原油先物価格の動向も米債市場のトレンドに大きな影響を与えることが予想される。

世界的な金融引き締めによる世界経済の減速は不可避の状況にある。ゆえに、原油先物価格が急騰するリスクは低いだろう。しかし、原油先物価格が高止まりする場合は、「インフレがなかなか低下しないリスク」が米債市場で意識されよう。このリスクは株安の要因でもある。

ゆえに、原油先物価格の高止まりは、米ドル高の要因になり得る(米金利の上昇もしくは高止まりと株安による米ドル買い)。事実、昨日のドルインデックス(DXY)は反発基調を維持し、112ポイント台を回復している。

米長期金利、原油先物価格、ドルインデックスのチャート

米長期金利、原油先物価格、ドルインデックスのチャート Trading View 5分足(6日欧州タイム以降)

今日の焦点は9月米雇用統計

・9月の米雇用統計と各市場の反応

市場参加者の耳目は、今晩の9月米雇用統計に集中している。

各項目の予想だが、非農業部門雇用者数変化は25.5万人(8月31.5万人)、失業率は3.7%(8月3.7%)、平均時給は前年比で5.0%(8月5.2%)となっている。

現在の米債市場は経済指標にらみの展開となっている。ゆえに強い雇用統計が確認される場合は、「米金利の上昇→米ドル高/米株安」の展開を予想する。

雇用増に加えて賃金も予想以上に上昇する場合は、「インフレが低下しないリスク」が米債市場で意識されるだろう。このリスクは、FRBの金融引き締め政策が長期化するリスクにつながる。

一方、さえない雇用統計となれば、「米金利の低下→米ドル安/米株高」の展開を予想する。

しかし米金融政策関係者の言動は、インフレリスクに対するFRB内の警戒レベルの高さを示唆している。ゆえに、11月FOMCでの0.75ポイント利上げの確率は70%台へ到達している。

FRBが政策転換のシグナルを発信しない限り、または持続的なインフレの低下によってその可能性が高まらない限り、さえない雇用統計による相場は、期待先行の「もろい相場」であることを意識しておきたい。

11月FOMCの利上げ幅予想

11月FOMCの利上げ幅予想 FEDウォッチ / 7時30分時点

ドル円の注目ポイント

・強い雇用統計と145.30台の攻防

米金融政策関係者のタカ派発言とリスク回避相場(株安)を受け、外為市場では再び米ドル高の圧力が高まりつつある。この動きに連動し、ドル円(USDJPY)はジワリと145円台へ上昇している。

筆者が注目しているのが、ローソク足の実体ベースでレジタンスポイントの144.90レベルを突破している状況である。このレベルがサポートポイントへ転換する場合は、本格的に145円台の攻防へシフトすることが予想される。

ドル円が145円台の攻防となる場合は、円買い介入を巡り日本政府・日銀と投資家との間で神経戦が予想される。その戦いの注目ポイントは、今月3日に付けた高値145.30台である。この時は円買い介入の警戒感から、145.30台まで上昇するとすかさず「ドル売り/円買い」の展開となった。強い米雇用統計を受けても同じ展開となる場合、144.90ブレイクは「だまし」となる可能性があろう。

一方、強い雇用統計により145.30台を完全に上方ブレイクし、その後も上昇トレンドを維持する場合は、先月22日の高値145.90のトライおよびブレイクが次の焦点として浮上しよう。

・21日線と短期サポートライン

一方、9月米雇用統計がさえない内容となる場合は、米金利の低下とリスク選好相場(株高)により、外為市場では米ドル売りの圧力が高まることが予想される。米金利と高い相関関係にあるドル円(USDJPY)は、下値トライを想定しておきたい。

注目ポイントは、21日線と短期サポートラインの維持で変わらず。これらのラインを下方ブレイクする場合は、141.70レベルを次の下値ターゲットと想定しておきたい。

ドル円が21日線や短期サポートラインを一気にブレイクするケースとしては、「強い雇用統計→ドル円の上昇幅拡大→円買い介入」の展開も想定しておきたい。このケースでは、先月22日の時と同じく瞬間的にドル円の下落幅が拡大する可能性がある。実際にドル円の下落幅が拡大する場合は、140円台の維持が焦点となろう。

ドル円のチャート

ドル円のチャート Trading View 日足(7月以降)

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