【今週の外為市場】注目材料は日銀短観、米雇用指標そしてFRB高官の発言
今週は日銀短観、米国の雇用関連指標そして連邦準備制度理事会(FRB)高官らの発言内容が円相場と米ドル相場の変動要因となろう。それぞれの注目ポイントは?詳細はIG為替レポートをご覧ください。
サマリー
・今週の注目材料は日銀短観、FRB高官らの発言そして米経済指標となろう
・米国の雇用指標とFRB高官の発言内容次第で、利下げ観測が揺れ動くだろう
・米利下げ観測が後退する場合は、米ドル高のトレンドが続く展開を想定しておきたい
今週の注目材料
日銀短観
本日、1-3月期の日銀短観が発表される。エコノミスト予想を確認すると、品質不正問題による自動車の生産と出荷停止の影響で大企業製造業の業況判断指数(DI)が4四半期ぶり悪化する可能性がある。
一方、先行き(大企業)は製造業と非製造業で景況感が分かれることが見込まれるが、自動車生産の回復と賃上げによる消費回復が企業活動の下支えとなることが予想される。
日銀短観の動向:20年以降
また今回の短観では、24年度の企業の設備投資計画が初めて集計される。製造業と非製造業でともに前年比プラスでの計画開始が見込まれる。先行きと設備投資計画で強さが確認される場合は、一時的な円買いの要因となる可能性がある。
しかし、日銀の緩和姿勢を意識した円安圧力の根強さを考えるならば、円買いで反応しても、それは一時的な現象となろう。
米国の雇用関連指標:3月の雇用統計
今週は米国の重要経済指標が多く発表される。注目すべきは、雇用関連の指標となろう。
2月の雇用動態調査(JOLTS)求人件数、週間の新規失業保険申請件数そして3月の雇用統計が米債市場と米ドル相場の変動要因となろう。
特に注目すべきは、今週5日に発表される3月雇用統計である。現時点での市場予想は以下のとおりである(下のチャート、赤の棒グラフとドットを参照)。
米国の雇用統計 各項目の動向:23年以降
米雇用市場の先行きを考えるうえで、今後は失業率が重要な指標となろう。3月は前月の3.9%から3.8%へ低下する見通しである。
非農業部門雇用者数変化だけでなく失業率でも労働市場の底堅さが示される場合は、利下げ政策への転換に対する米連邦準備制度理事会(FRB)の慎重な姿勢が長引くとの観測が米債市場で高まる可能性がある。
3月雇用統計も含めて今週の雇用関連指標が総じて強い内容となる場合は、米ドル高の展開を想定しておきたい。
一方、今週の米雇用関連指標でさえない内容が続く場合は、「米金利の低下→米ドル安」の展開を想定しておきたい。
今週は3月のISM製造業および非製造業景況感指数が発表される。これら雇用指数の動向は、3月雇用統計に対する市場の思惑を左右する可能性があるため、総合の結果とともに注目したい。なお、直近の雇用指数は製造業と非製造業でともに「50」を下回る状況にある。
ISM雇用指数の動向:23年以降
米連邦準備制度理事会(FRB)高官らの発言
今週、経済指標以外で米債市場と米ドル相場の変動になり得るのが、米連邦準備制度理事会(FRB)高官らの発言である。
今年の米連邦公開市場委員会(FOMC)で投票権を持つアトランタ地区連銀のボスティック総裁は先月22日、今年の利下げは1回にとどまるとの見方を示した。
パウエルFRB議長は先月29日、サンフランシスコ連銀で開催されたイベントで米国経済の堅調さと雇用の強さについて言及し、利下げの開始について「急ぐ必要はない」との姿勢をあらためて示した。
明日以降、クリーブランド地区連銀のメスター総裁、サンフランシスコ地区連銀のデイリー総裁、そしてニューヨーク地区連銀のウィリアムズ総裁など、今年の米連邦公開市場委員会(FOMC)で投票権を持つFRB高官らが講演や討論会に出席する。
年3回の利下げ予想に影響を与えるタカ派の発言内容が相次ぐ場合は、米ドル高の要因となろう。特に、強い雇用関連の経済指標とFRB高官によるタカ派の発言が重なる場合は、「米金利の反発→米ドル高」が進行する展開を想定しておきたい。
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