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【ドル円の週間見通し】経済指標次第では米ドル安の再燃も、今週はISM指数と雇用統計に注目

外為市場では米ドル安が一服している。しかし、今週の経済指標次第では、米ドル安の再燃を警戒したい。注目の米経済指標は?ドル円の見通しは?

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記事のポイント

・今週の米経済指標次第では米ドル安が再燃する可能性あり
・注目の指標は、ISM製造業 / 非製造業の景気指数と雇用統計
・ドル円、今週の見通しと注目のチャート水準について


先週は米ドル売りが一服

先週の外為市場では、米ドル売りが一服した。メキシコペソやブラジルレアル、そしてユーロや日本円で米ドル高優勢となり、ドル指数(DXY)のパフォーマンスを上回った。一方、ニュージーランドドルやカナダドルなど一部の通貨では米ドルが下落した。しかし、その幅は限定的だった。

米ドル相場のパフォーマンス:8月26日~30日

米ドル相場のパフォーマンス:8月26日~30日

ブルームバーグのデータで筆者が作成

経済指標次第では米ドル安の再燃も

米ドルの買戻しを促したのが、良好な経済指標だった。先週29日の第2四半期GDP統計(改定値)では個人消費が2.9%の増加と、速報値の2.3%増から上方修正された。GDP発表以降、米債市場では10年債利回り(長期金利)が3.9%台まで反発している。米金利の反発は、米ドルの買戻しを促した。

個人消費はアメリカ経済の土台である。それに関連した経済指標が材料視されたことは、現在の米債市場のテーマの一つが「景気」にあることを示している(もうひとつのテーマは利下げ)。ゆえに、今週も景気に絡んだ重要指標で米金利は上下に振れるだろう。米ドルのトレンドも経済指標の内容に左右されよう。特に、下で取り上げる2つの経済指標で景気懸念が再び高まる場合は、米ドル安の再燃を想定しておきたい。

米長期金利とドル指数:15分足 8月29日~31日

米長期金利とドル指数:15分足 8月29日~31日

出所:TradingView

2つの米経済指標に注目

ISM製造業および非製造業景気指数

今週もいくつかの重要な米経済指標が発表される。なかでも注目すべきは、全米供給管理協会(Institute for Supply Management)の製造業(3日)および非製造業(5日)の景気指数となろう。

8月上旬に米国の景気に対する懸念が高まった。その一因となったのが、さえないISM製造業景気指数だった。そして、市場予想を上回ったISM非製造業景気指数を受け、その懸念が後退した。

8月の製造業景気指数は、7月の46.8から47.5へ若干ながら改善する見通しにある。しかし、アメリカでは労働者の約8割がサービス業に従事している。ゆえに、非製造業景気指数の動向が米金利と米ドル相場に大きな影響を与えることが予想される。市場予想では7月の51.4から51.1へ小幅ながら低下する見込みである。しかし、サービス部門の購買担当者景気指数(PMI)は55.2へ拡大している。ISM非製造業景気指数でもサービス業の堅調さが示される場合は、米金利の上昇要因となろう。このケースでは米ドルの買戻しを予想する。

問題は、ISM指数が総じて市場予想を下回る場合である。このケースでは、米長期金利に再び低下の圧力が高まろう。外為市場では米ドル安が再燃するきっかけとなり得る。

ISM製造業・非製造業景気指数:23年8月以降

ISM製造業・非製造業景気指数:23年8月以降

ブルームバーグのデータで筆者が作成

8月の雇用統計では失業率に注目

9月6日に8月の米雇用統計が発表される。現時点での市場予想を確認すると、非農業部門雇用者数変化は16.5万人増と、前月の11.4万人増から雇用者の伸びが増加する一方、失業率は4.3%から4.2%へ低下する見込みとなっている。平均時給は、前月比と前年同月比でともに上昇すると予想されている。

米国の雇用統計 各項目:23年8月以降

ブルームバーグのデータで筆者が作成 / 赤の棒グラフとドット:8月の市場予想

注目すべきは失業率の動向である。7月に4.3%まで上昇し、景気懸念を高める一因となった。ゆえに失業率の低下は、米景気の先行きに対する強気の見方をサポートするだろう。このケースでは、「米金利の上昇→米ドル買い」の展開を予想する。

また、失業率の低下と非農業部門雇用者数変化が予想以上の伸びとなる場合は、「米金利の上昇→米ドル買い」がより進行しよう。

一方、8月の米雇用統計で労働市場の軟化が示される場合は、「米金利の低下→米ドル売り」を予想する。またこのケースでは、9月の連邦公開市場委員会(FOMC)で大幅利下げ(0.5ポイント利下げ)の期待が高まることが予想される。さえない雇用統計も米ドル安が再燃するきっかけとなろう。

上述したISM指数と雇用統計がともに市場予想を下回る場合は、9月のみならず11月または12月のFOMCでも大幅利下げの期待を高める要因になり得る。このケースでは、米ドルに対して相当の売り圧力が高まることが予想される。

詳細なデータもチェックする必要あり

米金利と米ドル相場は、非農業部門雇用者数変化や失業率など「見かけの数字」で動くことが予想される。しかし、アメリカ労働市場の動向を考えるうえでは、上で取り上げた項目以外のデータもチェックする必要がある。同国の労働市場が今後、一段と冷え込む兆候があるからだ。

その兆候のひとつが失業の理由である。直近では、自発的に職を離れる労働者の数が増加している。しかし過去3年間のトレンドを確認すると、むしろ緩やかな減少の傾向にある。注目すべきは、一時解雇を除く失業者の数が23年以降、増加の傾向にあることだ。特に正規雇用での失業者数の増加が続いている。今後もこの状況が続く場合は、企業が将来の景気リスクを意識し、正規労働者の採用を抑制しているサインとなる。

米国の雇用統計 失業の理由:21年8月以降(過去3年間)

米国の雇用統計 失業の理由:21年8月以降(過去3年間)

ブルームバーグのデータで筆者が作成 / 雇用者の単位:1000

もうひとつの兆候は、複数の雇用先で働く労働者が増加していることである。特に第1の職場が正規でそれ以外の職場が非正規であるケースと、複数の職場がともに非正規であるケースが増加の傾向にある。

なかには、優秀な人材が複数の職場で高い賃金を得ているケースもあるだろう。しかし、それは高度な専門分野に関する知識と経験を持つ一部の労働者に限られる。上で述べた自発的な失業者数のトレンドも考えるならば、雇用統計のデータは生活のために複数の仕事を掛け持ちせざるを得ない労働者が増えている状況を示唆している。賃金の伸びが抑制されるなかで正規労働者の失業者数が増え続け、かつ複数の職場で働く非正規の労働者が増える場合は、個人消費が減少する要因になり得る。

米国の雇用統計 複数の職場がある労働者数:21年8月以降(過去3年間)

米国の雇用統計 複数の職場がある労働者数:21年8月以降(過去3年間)

ブルームバーグのデータで筆者が作成 / 雇用者の単位:1000

ドル円の週間見通し

上昇の局面では3つの上値水準に注目

今週のドル円(USD/JPY))は、上で述べた米経済指標で上下に振れる展開が予想される。重要指標で米景気の底堅さを示す内容が続けば、ドル円は「米金利の上昇→米ドルの買戻し」にサポートされ、反発トレンドを維持すると予想する。

ドル円がさらに上値を目指す局面では、3つの水準に注目したい。ひとつは、7月11日の高値161.76レベルを起点としたフィボナッチ・リトレースメント23.6%水準の146.43レベルである。先月の21日以降、このテクニカルラインで相場の反発が止められている(日足ローソク足の実体ベース)。

週明けの市場で、ドル円は146.43レベルを上方ブレイクする状況にある。2日のNYクローズで146.43以上の水準を維持すれば、地合いの強さを市場参加者に印象付けよう。

ドル円が146円台で底固めの展開となれば、147円台への反発を想定したい。このケースでは、7月19日の高値157.86を起点としたフィボナッチ・リトレースメント38.2%水準の147.87レベルのトライが焦点となろう。

147.87レベルの突破は、ドル円が148円台へ上昇するサインと捉えたい。そして、3つ目の上値水準である7月11日の高値を起点としたフィボナッチ・リトレースメント38.2%水準の149.36レベルをトライするシグナルにもなろう。後者のテクニカルラインは、8月15日と16日に相場の反発を止めた重要なレジスタンスの水準でもある。

ドル円:日足 7月以降

ドル円:日足 7月以降

出所:TradingView

反落局面での注目水準は?

上で取り上げた米経済指標で景気懸念が再び意識される場合、ドル円(USD/JPY)は再び下落相場へ転じよう。このケースでは、141円を目先の下限と想定し、まずはトレンドチャネルの下限と145.50レベルの攻防に注目したい。これらのテクニカルラインを下方ブレイクする場合は、144円台の維持が次の焦点として浮上しよう。フィボナッチ・エクステンション38.2%の水準144.32の下方ブレイクは、144.00をトライするシグナルと想定しておきたい。

ドル円が143円台へ下落する場合は、サポート水準145.30レベルの維持が焦点となろう。この水準の下方ブレイクする場合は、143円台の維持が焦点として浮上しよう。テクニカルの面では、フィボナッチ・エクステンション61.8%水準142.91レベルの攻防に注目したい。

フィボナッチ・エクステンション76.4%の水準は142円前半へ上昇している(レポート掲載時点で142.04レベル)。このテクニカルラインの下方ブレイクは、ドル円が141円台へ下落するシグナルと捉えたい。

なお、チャートのフィボナッチ・エクステンションはレポート掲載時点の水準である。ドル円がさらに上昇する場合は、エクステンションの水準も上昇しよう。その都度、上で取り上げたサポート水準を確認したい。

4時間足のストキャスティクスは買われ過ぎの水準へ到達している。デッドクロスへ転じる場合は、上で取り上げたサポート水準を視野に反落相場を想定しておきたい。特に、さえない重要指標でデッドクロスへ転じる場合は、ドル円の下落幅が拡大する展開を想定しておきたい。

ドル円:4時間足 8月15日以降

出所:TradingView


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