カナダ当局が米国の要請に応じ、中国の通信機器会社、華為技術(ファーウェイ)の幹部を逮捕したとのニュースは全世界に衝撃を与えた。その余韻も冷めやらぬなか、日本政府が安全保障上の懸念を理由に、各府省庁や自衛隊などが使用する情報通信機器からファーウェイ、および中国の同業、中興通訊(ZTE)の製品を排除する方針を固めたことが伝えられた。
読売新聞が7日報じた。国家機密の漏えいやサイバー攻撃を防ぐことが目的で、国内企業の製品でもこれら2社の部品を使用している場合は排除対象にする方針という。
ファーウェイとZTEを安全保障上の脅威とみなす米国は8月、「国防権限法」を成立させ、2社の機器を米政府機関、および政府機関と関わる企業が利用することを禁じた。米国は同盟国にも同様の措置を求めており、日本政府は2社を主要な通信インフラから除外するかどうか検討してきた。
一方、日本政府は外交上の配慮から2社の名指しはしない方向という。
米同盟国、ファーウェイ排除に動く
米国が同盟国に中国メーカーの機器の排除を求めるなか、オーストラリアとニュージーランドはすでに次世代通信規格「5G」のネットワークからのファーウェイ製機器の排除を決めている。
英国では英秘密情報部(MI6)ヤンガー長官が3日、5Gネットワークのの導入にあたり、安全保障上の懸念からファーウェイの参入を排除する決定を行うべきだと表明。その直後の5日、同国最大手の通信会社BTが、ファーウェイの製品を5Gネットワークの主要部品として使用しないと発表した。BTは既存の第3世代(3G)と第4世代(4G)の基幹ネットワーク部分からもファーウェイを排除するという。
一方、ファーウェイ製品禁止の是非を検討しているとカナダは1日、バンクーバーでファーウェイの孟晩舟・副会長兼最高財務責任者(CFO)の逮捕に踏み切った。
これらの4カ国と米国は情報機関の相互協定を結び、機密情報を共有しており「ファイブアイズ」と呼ばれる。
日本政府の今回の決定は、これらファイブアイズのメンバーと足並みをそろえたものだ。
関連記事:ファーウェイCFO、米国の要請でカナダ当局が逮捕 ファイブアイズの締め付け強まる