メガバンク株が金利上昇予測で好調な中、半導体関連銘柄が下落
長期金利の上昇への期待が高まり、メガバンク株の株価が押し上げられる中、半導体銘柄は成長が頭打ちするとの見方から世界的な売り気配に同調した。取り上げる銘柄は時価総額に基づいて選出されています。
好調な銀行株と、低調な半導体関連銘柄
日本銀行の植田和男総裁が長期金利引き上げの可能性を示唆する中、半導体関連銘柄の株価は世界的な売り気配に同調した。
植田総裁は19日、基調的に物価が上昇し続ければ、金利を引き上げる「可能性が非常に高い」としたうえで、国債買い入れの減額にも言及した。
利鞘拡大への期待
長期金利の引き上げは、メガバンクの増益につながる傾向がある。これは預金に支払う利息よりも、融資にかける金利をより早く引き上げるからで、この差は純利息マージンと呼ばれる。
日本最大の銀行である三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)の株価は22日に3.07%上昇し、1,546円で取引を終えた。同行の株価はこの12ヶ月で85.68%上昇している。
みずほフィナンシャルグループ(8411)の株価は2.62%高の3,019円となり、4月15日以来の高値となった。株価はこの12ヶ月で57.58%上昇している。
三井住友フィナンシャルグループ(8316)の株価も1.91%高の8,699円となり、15日以来の高値を更新した。同行の株価はこの12ヶ月で61.46%上昇している。
日銀は3月19日、短期金利の誘導目標をマイナス0.1%から0~0.1%に引き上げた。金利引き上げは17年ぶりとなる。植田総裁はワシントンD.C.で行われた講演会で、生鮮食品を除いたコア物価指数が目標とする2%を僅かに下回っているため、緩和政策を維持する必要があると述べた。
TSMCが世界的な売り気配の火種に
一方、台湾積体電路製造(TSMC)が半導体市場の成長見通しを下方修正したことを受け、世界的な半導体関連銘柄の売りが広がっている。日本の半導体関連銘柄も追随した。
世界最大の半導体ファウンドリ(受託生産)である同社は、メモリーチップを除いた半導体業界の今年の成長率を、3か月前には10%以上としていたが、18日に約10%に下方修正した。また、チップファウンドリ業界の見込み成長率も引き下げた。
18日に発表した決算は、純利益が予想を上回って好調だったものの、見込み成長率の引き下げが水を差す形となった。アナリストとの電話会議で同社経営陣が警告を発したことの重要性に投資家が気がついたこともあり、同社株は翌日一時6%以上下落した。
人工知能(AI)ブームの波に乗っていた米チップメーカーであるエヌビディア(NVDA)もTSMCの下落に追随した。同社株は19日のニューヨーク市場で10%下落し、762ドルで取引を終えた。
半導体関連銘柄の下落は東京市場にも
半導体関連銘柄に対する期待感の後退は22日のアジア市場にも広まり、エヌビディアを追う形で半導体関連銘柄が下落した。
東京エレクトロン(8035)は前日比3.22%安の32,450円で取引を終えた。半導体製造機器を製造する同社の株価は、6日連続安となった。12日以来で、17.85%下落している。
シリコンウエハを洗浄する産業機器を製造するSCREENホールディングス(7735)の株価は、4.67%安の16,025円で大引けとなり、2日連続安となった。18日以来、11.29%の下落となっている。
チップ業界向けに超精密工具を製造するディスコ(6146)の株価は、4.38%安の47,620円で取引を終えた。18日以来、株価は12%下落している。
チップ業界向けに水浄化装置を製造している野村マイクロ・サイエンス(6254)の株価は、4.86%安の4,700円となった。18日以来、株価は10.98%下落している。
半導体向けの高精度な型で業界をリードするTOWA(6315)の株価は、4.15%安の9,250円となった。18日以来、株価は16.74%下落している。
チップ検査機器で世界をリードするアドバンテスト(6857)の株価は、東京市場で3.92%安の5,269円となった。18日以来、株価は8.1%下落している。
半導体フォトレジストのトップメーカーである東京応化工業(4186)の株価は、2.32%安の4,045円となった。株価は2日間で7.6%下落している。
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