ネットフリックス株、2年ぶり高値圏　23日決算　会員増の勢いは？

動画配信大手ネットフリックスが23日に発表する2023年10-12月期決算は会員数増加の勢いが焦点だ。市場予想では前期比約880万人増のペースを維持するとみられており、株価は2年ぶりの高値水準に達している。ただしネットフリックスは月額料金が安い広告付きプランの拡大を図っており、会員数の増加に比例して収入が増えるとは限らない。広告付きプランの会員の割合は着実に増えているもようで、ネットフリックスは会員数の上積みと広告収入の確保の両面で実績を出す難しさに直面している。

ネトフリの10-12月期決算は総収入が10.9％増の予想

ネットフリックスはアメリカ東部時間の23日午後4時（日本時間24日午前6時）ごろに10-12月期決算を発表する。決算に関するライブ動画インタビューは決算発表の45分後から始まる予定だ。LSEGのデータによると、ネットフリックスの決算に関する市場予想は総収入が前年同期比10.9％増の87.07億ドル。投資家が注目する調整ベースの1株当たり利益（EPS）は約18倍の2.21ドルと見込まれている。ネットフリックスは過去15回の四半期決算のうち、4回で総収入が市場予想を下回った。1株当たり利益では6回で予想を超えられなかった。

ネットフリックスの株価（NFLX）の12日の終値は492.16ドル。昨年12月19日につけた直近の高値（495.02）とほぼ同じ水準で、2022年１月以来の高値圏にある。ネットフリックス株がつけた2022年5月11日の安値（166.37ドル）との比較では、約1年7か月で株価が約3倍に上昇したことになる。

LSEGによると、直近の株価と今後12か月の予想年間収益から算出される株価収益率（PER）は30.40倍で、動画配信事業で競合するウォルト・ディズニー（19.53倍、DIS）よりも割高だ。一方、やはり動画配信事業を手掛けるアマゾン・コム（41.74倍、AMZN）よりは割安だといえる。アナリストが提示する目標株価の平均は482.32ドル。1月に入ってからは目標を600ドルに引き上げるアナリストも出ている。44人のうち10人が強い買い、18人が買いを推奨。一方、15人は維持、1人は売りを勧めている。

広告付き低料金プラン戦略の成否は？

ネットフリックスの好調な株価の背景には会員数増加への期待がある。LSEGのデータでは、会員数の前期比増加幅は879.7万人。前期の増加幅（876万人）と同じ水準で、ネットフリックスが7-9月期決算発表で示した見通しに沿った内容だ。この増加幅は前年同期比でみれば10.9％増にあたり、会員数の堅調な増加が見込まれている。

ただし会員数の増加は、総収入の増加としてそのまま現れるわけではない。ネットフリックスは2022年11月から広告付き低料金プランを導入しているからだ。米国での料金は月額6.99ドルで、広告が流れないスタンダードプラン（15.49ドル）の半額以下。会員数が増えたとしても、低料金プランの割合が大きくなれば、総収入の伸びの勢いが欠けることになる。

米メディアによると、ネットフリックスの広告部門の責任者であるエイミー・ラインハード氏は10日に開かれたイベントで、広告付きプランの月間利用者数が2300万人に達したと明かした。ネットフリックスは低価格プランの会員の割合が増えても、広告収入が増えれば全体としての収入が増えるとの立場だが、理想の実現にはさらなる努力が必要であることも認めている。広告付き低料金プランの成否はネットフリックスの今後の株価を左右することになりそうだ。