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植田日銀、初会合に30年の重荷 物価目標困難 金融緩和は依然円安要因

日銀の植田和男新総裁は27、28日に自身初の決定会合に臨む。2%超えの物価上昇の持続性は危うく、大規模金融緩和が続く見通し。

出所:ブルームバーグ

日本銀行は植田和男新総裁の下で初めての金融政策決定会合を27、28日に開く。日本の消費者物価指数の上昇率は日銀が目標とする2%を超える状況が続いているが、植田氏は物価上昇の持続性を確信しておらず、現在の大規模金融緩和を続ける方針だ。植田氏の慎重さの背景にあるのは、物価上昇率2%超えは過去30年間も起きなかった極めて稀な出来事だという現実だ。また市場金利がゼロ近くまで下がっている中で、日銀が打てる手は限られているという実態もある。物価上昇率2%という目標を掲げている限り、日銀は容易には金融緩和を方針転換できないとみられ、対ドルをはじめとする円相場を下押しする要因が残る。

日本の2%超え物価上昇の持続性は?

日銀総裁の交代は2013年3月以来10年1か月ぶり。新型コロナウイルス禍やロシアによるウクライナ侵攻を経た後での新体制発足は、日本経済の変調と重なっている。3月の消費者物価指数の前年同月比伸び率は生鮮食品を除く総合指数(コア指数)で3.1%、生鮮食品とエネルギーを除く指数(コアコア指数)で3.8%。コア指数の2%超えは12か月連続、コアコア指数は6か月連続だ。また、物価上昇を考慮した実質賃金は2月まで11か月連続で前年同月比マイナスとなっており、経済成長の足を引っ張っている

しかし植田氏は10日の就任記者会見で、「前体制からの大規模緩和を現状では維持する」と言及した。日銀のイールド・カーブ・コントロール(YCC)などの金融緩和策には市場機能を歪めているとの批判も多いが、28日に結果が発表される初会合での見直しはないとの見方が大勢となっている。

植田氏が金融政策の修正に慎重姿勢を示した理由は物価上昇の持続性を疑っているからだ。就任会見では、見かけ上はすでに達成されている2%目標について、「何らかの有限の時間内にこれを達成するという強い見通しは現時点では申し上げられない」と話した。

植田氏の胸中にあるのは「過去の経験」だ。総務省のデータによると、日本の消費者物価指数の上昇率を消費税率引き上げによる押し上げ効果を除いたベースでみた場合、今回の上昇局面より前の2%超えは、コア指数では2008年7-9月の3か月間までさかのぼる。これはリーマン・ショック直前に原油価格が史上最高値の1バレル=147ドル台をつけるなどした時期だ。またコアコア指数の2%超えは、バブル崩壊期にあたる1992年12月が最後となっている。

植田新総裁「金融緩和の効果は制限されている」

日銀にとって物価上昇率引き上げが難しい理由について、植田氏は「そもそも金融緩和の効果というのが大まかには金利のゼロ制約というのでかなり制限されている」とも説明している。中央銀行は通常、物価上昇率を上げるため、金利を下げて個人や企業の経済活動を促そうとするが、日銀はすでにYCCで長期金利(10年物国債の利回り)をゼロ±0.5%程度で推移させると明確にしており、さらに金利を下げることは難しいという見解だ。

こうした状況を踏まえれば、日銀が物価上昇2%の目標を掲げる限りは、金融政策を見直す機会は当面は訪れないとの見立てになる。一方では、2%目標を明記している日銀と政府の共同声明(アコード)を修正すべきだとの議論もあるが、植田氏はやはり就任会見で「現在の情勢を前提とする限り、見直す必要はない」と述べている。

円安材料とドル安材料のバランスがカギ

このため初会合の焦点は今後の見通しだ。日銀が1月に公表した「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」では、2023年度の物価上昇率はコア指数で1.6-1.8%、コアコア指数で1.7-1.9%と見通している。3月に米国発の金融システムへの不安が広がり、世界経済の先行き不透明感が増している中では、初会合後に発表される4月のレポートで見通しが大きく上方修正されるとは考えづらい。また4月に初めて示される2025年度の物価上昇率見通しについても、過去30年の経験を踏まえれば2%を超えるような水準を予想する理由があるようには思えない。

初会合後の植田氏の記者会見や展望リポートの内容で、大規模緩和維持の方向性が確認されれば、「金利の低い円は買われにくい」との見方が円相場の下押し要因となる状況に変化はでないことになる。これに対して米国では、経済指標で景気の弱まりが示され、ドル安方向に相場が動くケースも出ている。ドル円相場(チャート)では「円安」材料と「ドル安」の材料のバランスがカギとなる中、「日本の金融政策の変わらなさ」と「米国の経済指標と金融政策の方向性」に関する動きが注目されることになりそうだ。


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