WTI原油はキャッシュコスト割れも 貯蔵できずに処分の可能性━調査
・陸上油種、貯蔵施設から切り離されるとゴールドマン指摘
・ブレントはキャッシュコスト付近にとどまる公算
原油相場が今週、18年ぶりの安値を付けた。新型コロナウイルスの感染拡大を受けた景気低迷による需要の減少や、主要産油国間の減産協議の決裂などが売り材料になった。こうしたなか、ゴールドマン・サックスは新型コロナの影響で貯蔵施設から切り離されたWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)を含む陸上の油種の生産者が原油を処分する必要に迫られ、その結果キャッシュコスト割れに陥る可能性があると指摘した。
ゴールドマンは今週発表したリポートで、世界の原油貯蔵能力の余剰を約10億バレルと推定する一方、新型コロナウイルスの感染拡大による影響で輸送網が打撃を受けるため、この余剰貯蔵能力の大半は活用されることがないと予想した。
貯蔵能力から切り離された生産者は、油井の閉鎖に要するコストを鑑みれば、業者に金を支払ってでも原油を処分するだろう。これはマイナスのプライシングを示唆しているとゴールドマンは指摘した。
アクセス可能なタンカーストレージから約800キロ離れた内陸で生産されるWTIは最も打撃を受ける油種の1つという。WTIミッドランド、WCS(ウエスタン・カナディアン・セレクト)なども同様とした。
一方、ブレントなどタンカーストレージにアクセスできる海上で生産される油種への新型コロナの打撃ははるかに小さいという。
北海で生産されるブレントについて、キャッシュコストである20ドル付近にとどまる可能性高いとゴールドマンは予想。ただ、一時的にこれを下回ることはあり得るという。
その一方でゴールドマンは生産施設の大規模な閉鎖が将来及ぼし得る影響について言及。経済活動が再開した際に生産施設が稼働していなければ、原油需要の突発的な伸びに供給が追い付かない可能性があり、この場合、価格は急騰する可能性があると述べた。
3月30日のニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)でWTIで期近の5月限は一時1バレル=19.27ドルまで下げた。これは2002年2月以来、18年ぶりの安値に相当する。WTIの1~3月期の下落率は前期比で約66%となった。
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