アパートの企画・施工管理のTATERUが27日、建設資金の借り入れを希望する顧客の融資審査書類に改ざんがあった問題で、特別調査委員会による調査結果報告書を公表した。それによると、営業部長を含む31人の従業員が不正に関与し、調査対象とした2269件の成約物件の15%に相当する350件で改ざんがあった。
不正があったのは、顧客が銀行から新築アパート投資向け融資を受ける際の預金残高データで、西京銀行に提出していた。
今年8月、TATERUの従業員が顧客の貯蓄が多いように装ってネットバンキング画面の預金残高を改ざんした不正が発覚。同社は9月に外部弁護士らで構成する調査委を設置して、書類を改ざんした件数などの調査を進めていた。
TATERUは役員の社内処分も発表。古木大咲・最高経営責任者(CEO)の月額報酬の5割を6カ月間減額し、専務と常務計6人の月額報酬の1~3割を3~6カ月間減額する。また、古賀聡常務は27日付で辞任する。
2018年12月期の連結業績予想については「変更はない」とし、「修正が必要とされる場合はすみやかに知らせる」と表明している。同社の17年12月期の売上高は670億円。
TATERUの株価急伸
27日の東京株式市場でTATERUは大幅高。同社が14時に調査委の調査結果報告書を公表すると、悪材料出尽くし感から買いが入った。
終値は前日比50円(16.45%)高の354円。一時、383円まで買われた。
西京銀行は非上場。
金融庁が監督強化
今回の問題では、金融庁が融資を実行した西京銀に立ち入り検査に入り、融資申し込みの経緯や審査の仕方に問題がなかったかを調べる方針を固めたことが11月下旬に報じられている。
金融庁はスルガ銀行の不動産投資の不正融資問題を受け、地域金融機関を中心に不動産融資への監督を強めている。
スルガ銀は女性専用シェアハウス「かぼちゃの馬車」の投資家に対し、預金残高水増しといった審査書類の改ざんを知りながら融資を実行していた。
また、スルガ銀では多数の行員が融資実績を上げるために不正に関与したケースが見受けられた。金融庁は10月、同行に一部業務停止を命じている。
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