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金融政策スタンスの差を意識した円安が続く/ドル円の展望とチャートポイント

27日の外為市場では円安が再び進行する展開となった。ドル円は144円台へ上昇した。短期的な過熱感を警戒しながらも、日米政策スタンスの差による「米ドル買い/円売り」の根強さがあらためて確認された。今日のドル円の展望は?注目のチャートポイントは?詳細はIG為替レポートをご覧ください。

出所:ブルームバーグ 出所:ブルームバーグ

サマリー

・強い米経済指標を受け27日の米国市場はリスク選好相場となった
・外為市場では日銀と海外中銀の金融政策スタンスの差が意識され円安が進行した
・上昇トレンドを維持するドル円、次の焦点は145円前半のレジスタンスゾーンの突破
・ドル円の反落局面では143円台の維持が焦点に


強い経済指標で米国市場はリスク選好相場に

強い経済指標で景気不安が後退

6月の米消費者信頼感指数(コンファレンスボード)は109.7と、前月改定値の102.5から大幅に改善した。期待指数も前月の71.5から79.3へ改善した。

アメリカ消費者信頼感指数(コンファレンスボード)の推移

アメリカ消費者信頼感指数(コンファレンスボード)の推移 コンファレンスボードのデータをもとに作成 / 月次:22年以降


期待指数は依然としてリセッションの可能性が意識される80の水準を下回る状況にある。しかし、消費者心理を反映し個人消費の先行指標とされる消費者信頼感指数の改善は景気不安をひとまず後退させ、この日の米株式市場では主要な株価指数が上昇して引けた。

一方、米債市場では利上げの長期化観測を受け2年債、5年債そして10年債の各利回りが上昇した。ドル円(USDJPY)のトレンドに影響を与える5年債利回りは、再び4%台へ上昇した。

米国5年債利回りのチャート

米国5年債利回りのチャート ブルームバーグのデータをもとに作成 / 日足:月初来


外為市場では円安が進行

リスク選好相場(株高と米金利が同時に発生した状況)を受け、外為市場では再び円安が加速した。ドル円(USDJPY)はレジスタンスの144.00レベルを突破すると、高値144.17まで上昇した。一方、クロス円ではユーロ円(EURJPY)とポンド円(GBPJPY)の上昇幅が拡大した。

27日の基調講演でラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁は高インフレの状況についてあらためて言及し、7月の追加利上げを示唆した。短期金融市場では中銀預金金利の予想ターミナルレートが3.9%前後まで上昇し、7月だけでなく9月の利上げの可能性も意識する状況にある。

日欧中銀の金融政策スタンスの差が意識されているユーロ円は現在157.94レベルまで上昇し、一気に158円を視野に入れる展開となっている。

一方、ポンド円も日英中銀の政策スタンスの差が意識され上昇トレンドを維持している。現在は、2015年12月以来となる184円をトライするムードにある。直近の高値水準は183.76レベルである。

円相場の動向:6月27日

円相場の動向:6月27日 ブルームバーグの為替データをもとに作成 / 基準日:6月26日

ドル円の展望とチャートポイント

反落局面での動向に注目

27日のIG為替レポートでは、ドル円(USDJPY)が一度調整の反落相場に転じる可能性を指摘した。

しかし、昨日のドル円は予想とは逆に144円台へ上昇した。日米中銀の金融政策スタンスの差による「米ドル買い/円安」トレンドの根強さを再確認させられた。

短期的な買いの過熱感を無視して上昇トレンドを維持する現在の地合いの強さを考えるならば、今日のドル円の焦点は、新たなレジスタンスの水準を探ることにある。

ドル円の反落局面で、昨日の安値143.28レベルまたは143円台の維持に成功すれば、地合いの強さを市場参加者に印象付けよう。

145.00-20ゾーンのトライが焦点に

今日は植田日銀総裁をはじめ、ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長そしてベイリー英中銀(BOE)総裁がECBフォーラムでの討論会に出席する(日本時間22時30分開始予定)。

ラガルド総裁は27日の基調講演でインフレリスクについて言及し、ECBが近い将来に政策金利がピークに達したと宣言できる可能性は低いと述べた。そして7月の追加利上げを示唆した。パウエルFRB議長もインフレ抑制重視のスタンスを維持している。

討論会で今後の経済情勢や金融政策について意見が交換される場合、植田日銀総裁以外の各国中銀のトップは、インフレを抑制するために現在の利上げ政策を維持する姿勢をあらためて示すことが予想される。

このケースでは、国内外の金融政策スタンスの差が外為市場で意識され、昨日のように円安が進行することが予想される。

ドル円が143円台での底固めムードを高めれば、IG為替レポートで何度か取り上げてきた145.00-20のレジスタンスゾーンのトライを想定しておきたい。

ドル円がこのレジスタンスゾーンをも完全に突破する場合は、146円を視野に上昇幅の拡大を予想する。

ドル円のチャート:日足

ドル円のチャート:日足 Tradingview:22年9月以降


146円台の攻防となれば

ドル円(USDJPY)が146円を目指す場合、テクニカルの面で注目したいのが、昨年の最高値151.94レベルと今年1月の安値127.22レベルのフィボナッチ・リトレースメント76.4%の水準146.11レベルのトライである。

上の日足チャートでのストキャスティクスやRSIと同じく、13週MA(今日現在138.00レベル)の乖離率も相場の過熱感(買われ過ぎ)を示唆している。

ドル円の上昇局面で国内サイドから円安のけん制がある場合は、調整の円買い材料として利用されることが予想される。しかし、国内外の政策スタンスの差が強く意識されている現在の状況を考えるならば、ドル円の145.00-20ゾーンのトライと146円台(146.11レベル)を目指す展開を想定しておきたい。

ドル円が146.11レベルをも突破する場合は、V計算値の水準146.35レベルのトライおよびブレイクアウトが次の焦点として浮上しよう(上の日足チャートを参照)。

ドル円のチャート:週足

ドル円のチャート:週足 Tradingview:22年6月以降

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