【ポンド相場】 ポンドドルとポンド円、それぞれの見通しとチャートポイント

サマリー

・9月以降、外為市場では英ポンド相場の下落トレンドが鮮明となっている
・ポンドドルは、1.2100レベルを視野に下落幅の拡大を警戒しておきたい
・ドル円の上昇に追随できないポンド円は、180円のブレイクを想定しておきたい
・ポンドドルとポンド円、目先のチャートポイントについて

下落トレンドへ転じる英ポンド相場

今月に入り、英ポンド相場の下落トレンドが鮮明となっている。

この点を主要通貨ペアのパフォーマンスで確認すると、欧州中央銀行（ECB）の利上げサイクル終了が意識されているユーロだけでなく、日銀による金融緩和政策が未だに続いている日本円でもポンド安の展開となっている。

英ポンド相場の動向：月初来のパフォーマンス

ポンドドル、目先の見通しとチャートポイント

ポンドドドルは1.21の攻防が焦点に
上のパフォーマンスチャートを確認すると、対米ドルで最もポンド安が進行していることが分かる。

日足チャートでポンドドル（GBP/USD）の動向を確認すると、サポート水準の1.2450レベルを下方ブレイクして以降、陰線引けが続いている（下チャートの赤ゾーンを参照）。

そして現在は、下落基調のトレンドチャネルの下限を下方ブレイクする状況にある（下チャートの赤矢印を参照）。

先週21日の英中銀（BOE）イベント以降、ポンドドルの下落幅が拡大していることを考えるならば、現在のポンド安は、近い将来の英利上げサイクルの終了と、その先に待ち構えている利下げ政策への転換を先取りした動きといえるだろう。

ユーロは現在、欧州中央銀行（ECB）の利上げサイクル終了だけでなく、経済成長に対する不透明感も意識され、対米ドルで下落トレンドにある。

今後は、ポンドドルでも経済の先行き懸念に対する思惑が、ポンド売りの要因となる展開を想定しておきたい。

今日以降もポンドドルが下値をトライする場合、目先の焦点はフィボナッチ・リトレースメント76.4％の水準1.2120レベルの攻防となろう。この水準の下方ブレイクは、1.2100をトライするシグナルとなろう。

ポンドドルが1.21台の維持に失敗する場合は、節目の1.20を視野に下落幅の拡大を警戒しておきたい。

反発しても戻り売りを警戒
一方、ポンドドル（GBP/USD）の反発局面では、1.22台への再上昇が目先の焦点となろう。

しかし、地合いの弱さを示唆するMACDのトレンドや相場の戻りを止めている10日線（今日現在、1.2295レベル）の存在、そして1.23レベル（5月25日の安値水準）がレジスタンスの水準へ転換する可能性も考えるならば、ポンドドルが反発しても、戻り売りを警戒する局面にある。

ポンドドルのチャート：日足 23年2月以降

ポンド円、目先の見通しとチャートポイント

対円でも強まるポンド売りの圧力
ポンドドル（GBP/USD）と同じく、ポンド円（GBP/JPY）も下値トライを意識する状況にある。

日足チャートで直近の動きを確認すると、ポンド円もトレンドチャネルの下限を下方ブレイクする状況にある。

デッドクロスが示現して以降、MACDは低下のトレンドにあり、10日線（今日現在、182.13レベル）はレジスタンスラインとして相場の戻りを止める状況が続いている。

これらテクニカル面での攻防は、ポンド円の地合いが急速に弱気へ傾いている状況を示唆している。

また、これまでとは違いドル円（USD/JPY）の上昇がポンド円のサポート要因となっていない。上のテクニカルの動向だけでなく、この点もポンド円がさらに下値をトライする可能性を示唆している。

ポンド円のチャート：日足 23年7月以降

180円台でのチャートポイントは？
今日のポンド円（GBP/JPY）も、東京時間から下値をトライする状況が続いている。

英中銀（BOE）イベントで下落幅が拡大した時の安値（9月21日安値）180.84レベル（180.80台）の下方ブレイクは時間の問題、といったムードである（上の日足チャートを参照）。

ポンド円が180.80台を下方ブレイクする場合は、フィボナッチ・リトレースメント61.8％の水準180.32レベルのトライに注目したい。100日線が今日現在、このテクニカルポイントと交錯している（上の日足チャートを参照）。

ポンド円がこれらテクニカルの水準を完全に下方ブレイクする場合は、節目の180.00をトライするシグナルと想定しておきたい。

180円のブレイクを想定する局面に
そして今は、ポンド円（GBP/JPY）の180円ブレイクを警戒する局面にある。

米長期金利の上昇はポンドドルの下落要因（米ドル高の要因）であるが、同時に米国株の下落要因でもある。そして米国株の下落は、日本株の調整相場（反落）を促す要因になっている。

現在の外為市場ではリスク回避の米ドル高の状況にある。しかし昨日は、円買いの圧力も高まった。つまりクロス円では、「株安→円買い」のトレンドパターンが未だに健在、ということである。

ポンド売りと株安を受けて、ポンド円が180.00以下の攻防へシフトする場合は、フィボナッチ・リトレースメント76.4％の水準178.80レベルを視野に下落幅の拡大を想定しておきたい（上の日足チャートを参照）。

ポンド円がこのテクニカルポイントをも下方ブレイクする場合は、178円台の維持が焦点として浮上しよう。

円相場の動向：9月26日

反発局面でのチャートポイントは？
一方、ポンド円（GBP/JPY）の反発局面では、10日線のトライおよび上方ブレイクが目先の焦点となろう。

短期レジスタンスライン、181.55レベルそして181.80レベルを着実に突破してくる場合は、10日線までの反発を想定しておきたい。

しかし今日以降、ポンド円が10日線をトライする展開となっても、182.50レベルがサポートからレジスタンスの水準へ転換する可能性があることを警戒しておきたい。

ポンド円のチャート：1時間足 9月19日以降