【ドル円 (USDJPY)】今日の見通しとチャートポイント
外為市場では現在、じわりと米ドル安が進行する状況にある。今日は、11月の米個人消費支出(PCE)価格指数が相場の変動要因となろう。再び下値をトライする状況にあるドル円(USDJPY)の見通しは?注目しておきたいチャートポイントは?詳細はIG為替レポートをご覧ください。
サマリー
・外為市場では現在、じわりと米ドル安が進行する状況にある
・今日の注目材料は、米国の11月個人消費支出(PCE)価格指数となろう
・再び下値をトライするドル円、目先の焦点は141円台の維持となろう
・ドル円が反発しても米ドル安の影響によりその幅は限定的となることが予想される
今日も米国の経済指標が変動要因に
経済指標が米ドル安の要因に
昨日発表された7-9月期の実質国内総生産(GDP)確定値は4.9%と、予想の5.2%を下回った。コアPCE価格指数も2.0%と予想の2.3%を下回った。一方、新規失業保険申請件数は20.5万件と、こちらも予想の21.5万件を下回った。
これら経済指標の内容を受け、外為市場は米ドル安で反応した。米ドル相場の大まかなトレンドを表すドルインデックス(DXY)は下落基調のトレンドチャンネルを形成しながら、じわりと米ドル安が進行する状況にある。
長短の移動平均線がデッドクロスの状況にあることも考えるならば、目先の焦点は、フィボナッチ・リトレースメント76.4%の水準101.41レベルのトライおよび下方ブレイクとなろう。
ドルインデックスのチャート:日足 23年7月以降
今日の注目材料は11月の米個人消費支出(PCE)価格指数
短期金融市場と米債市場では現在、来年3月にも米国の連邦準備制度理事会(FRB)が利下げに踏み切る可能性を意識する状況にある。この思惑の土台となっているのが、インフレの鈍化である。
本日は、米国の11月個人消費支出(PCE)価格指数(以下ではPCEデフレーター)が発表される。市場の予想を確認すると、前月比と前年同月比でともにインフレが鈍化のトレンドを維持することが見込まれている(下のチャート、赤バーチャートとドットを参照)。
米国 個人消費支出(PCE)価格指数の動向:月次 22年11月以降
11月14日に発表された10月の消費者物価指数(CPI)で、米国のインフレが鈍化のトレンドにあることが示された。この時を境にして、外為市場ではじわりと米ドル安が進行する状況にある(下のチャートを参照)。
パウエルFRBがインフレ指標として注視するPCEデフレーター、特にPCEコアデフレーターでインフレの鈍化トレンドがあらためて確認される場合は、早期利下げの根拠をより確かなものとする要因になろう。
利下げ期待の高まりは米金利の低下圧力を高めよう。そして米金利の低下は、さらなる米ドル安の要因となろう。
一方、予想外にインフレ圧力の根強さが確認される場合は、「米金利の反発→米ドルの買戻し」を想定しておきたい。しかし、この展開となっても、米ドル相場の上昇幅は限定的となることが予想される。
市場が抱く早期の利下げ期待をいさめる発言がFRB高官から聞かれるが、短期金融市場では3月利下げの確率が現在、80%前後まで織り込まれる状況にある。
FRB高官らのけん制は単に表向きの姿勢であり、真意は将来の景気減速を抑制するための利下げ政策にあることを現在の織り込み度合いは示唆している。
米ドル相場の動向:23年11月14日以降
ドル円、今日の見通しとチャートポイント
下値トライの局面では141円台の維持が焦点に
今日の外為市場、特に米ドル相場は11月のPCEデフレーターで上下に振れる展開が予想される。
他のインフレ関連の経済指標、消費者物価指数(CPI)や生産者物価指数(PPI)ではいずれも、米国のインフレが鈍化のトレンドにあること示す内容が確認されている。11月のPCEデフレーターでも同じ状況が示される可能性があろう。
実際にこの状況(インフレの鈍化トレンド)が示される場合は、「早期の利下げ期待の高まり→米金利のさらなる低下→米ドル安の進行」を受け、ドル円(USD/JPY)は下値をトライすることが予想される。
本日、目先のサポートポイントとして注目したい水準が2つある。
ひとつは、フィボナッチ・リトレースメント76.4%の水準141.33レベルの攻防である。今日の朝方にドル円は、昨日の安値142.04レベルを下方ブレイクする局面が見られた。
下値トライのトレンドを維持している状況を考えるならば、141円台への攻防シフト、および141.33レベルのトライを想定しておきたい。
ドル円が141.33レベル(フィボナッチ・リトレースメント76.4%の水準)を完全に下方ブレイクする場合は、もうひとつの重要なサポート水準である141.00レベルをトライするシグナルと想定しておきたい。
ドル円が141円台の維持にも失敗する場合は、節目の140.00レベルを視野に下落幅の拡大を想定しておきたい。
ドル円のチャート:日足 23年7月以降
反発の局面では200日線と10日線の攻防が焦点に
日足のストキャスティクスは現在、売られ過ぎの水準付近まで低下している(上の日足チャート、赤矢印を参照)。
このタイミングで11月のPCEデフレーターが米ドルの買戻し要因となれば、ドル円(USD/JPY)の反発相場が予想される。
ドル円が反発する場合は2つの移動平均線の攻防、200日線(今日現在142.72レベル)と10日線(今日現在143.27レベル)の攻防が焦点となろう。
通貨オプション市場のリスクリバーサルの動向を確認すると、ドル円のそれはドル・プットへ傾く状況にある。
10日線がレジスタンスのラインとして意識されていることも考えるならば、ドル円の地合いは弱い。日足のMACDもこの点を示唆するトレンドにある(上の日足チャート、紫矢印を参照)。
上で述べた米ドル安の圧力がじわりと高まる状況にあることも考えるならば、ドル円が反発しても、その幅は限定的となることが予想される。よって今は、200日線または10日線付近での反落を警戒しておきたい。
ドル円とリスクリバーサルのチャート:日足 23年5月以降
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