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【ユーロドルとドル円】今日の見通しと注目のチャートポイント

3月に入り安全資産の買いが進行している。一方、外為市場では米ドル安優勢の状況にある。ユーロドル(EUR/USD)は今日のECBイベントでさらに上値をトライする可能性がある。一方、ドル円(USD/JPY)は、さらなる下値のトライを警戒する必要がある。今日の見通しと注目のチャートポイントは?詳細はIG為替レポートをご確認ください。

出所:ブルームバーグ 出所:ブルームバーグ

サマリー

・3月以降、安全資産の金および米国債の買いが進行している
・外為市場では、米ドル高の圧力が徐々に後退する状況にある
・ユーロドルはECBイベントで動く可能性あり、注目のチャートポイントについて
・調整ムードのドル円は、149円の下方ブレイクと50日線のトライを警戒する状況に


安全資産の買いと米ドル安

3月以降、安全資産を買う動きが進行している。国際商品市況では金価格が過去最高値を更新する一方、米債市場では2年債、5年債そして10年債の各利回りが低下のトレンドにある。特に10年債利回りの低下は、外為市場で米ドル安の要因となっている。

金価格、米国10年債利回り、ドルインデックスのチャート:1時間足 3月以降

金価格、米国10年債利回り、ドルインデックスのチャート:1時間足 3月以降 TradingView提供のチャートで作成

ドルインデックス:103.00レベルのトライが焦点に

米ドル相場のトレンドを示すドルインデックス(DXY)は昨日、50日線(今日現在103.43レベル)を下方ブレイクする局面が見られた。

米ドル安の進行で50日線を完全に下方ブレイクする場合は、サポート転換を意識する水準103.00レベルの攻防が焦点として浮上しよう。

ドルインデックスのチャート:日足 23年10月以降

ドルインデックスのチャート:日足 23年10月以降 TradingView提供のチャートで作成

パウエル証言と米ドル安

米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は6日、連邦議会下院の金融サービス委員会で証言を行った。年内いずれかの時点での利下げに言及したが、全体的にみれば従来の「データ重視で慎重に判断する」というスタンスを踏襲した。

それでも外為市場が米ドル安で反応したこと、そしてパウエル証言の前から金や米国債を買い戻す動きが見られる状況も考えるならば、各市場はFRBのタカ派姿勢よりも、その先にある利下げ政策への転換の方を次第に意識し始めている可能性がある。

ゆえに目先の外為市場では、米ドル安が進行していくかどうか?この点を見極める状況にある。


今日の注目材料:ECB理事会、注目はラガルド総裁の会見内容

欧州中央銀行(ECB)は7日、理事会を開く。4会合連続で主要な政策金利を据え置く見通しである。よって、今回の焦点は4日のIG為替レポートで述べたとおり、最新の物価見通しとラガルド総裁の会見内容となろう。

インフレが鈍化の傾向にある状況を受け、最新の物価見通しが下方修正される可能性がある。しかし、インフレリスクの再燃を完全に抑え込むために、市場が抱く早期の利下げ観測についてラガルド総裁が否定的な姿勢を示す場合、外為市場はユーロ買いで反応する展開が予想される。

現在の外為市場が米ドル安優勢の状況にあることも考えるならば、ラガルド総裁が利下げについて慎重姿勢を維持する場合、ユーロドル(EUR/USD)は上値トライの展開が予想される。

一方、景気の先行きリスクを重視し、ラガルド総裁が利下げの必要性について言及する場合は、ユーロ安で反応する可能性があろう。


ユーロドル:今日の見通しとチャートポイント

米ドル安にサポートされているユーロドル(EUR/USD)は現在、1.09レベルの攻防へシフトしている。

昨日は、レジスタンスのラインとして意識された経緯のある50日線を大陽線で上方ブレイクし、直近高安の半値戻しの水準1.0912レベルをトライする局面が見られた(下のチャート、黒矢印を参照)。

21日線でサポートされての上昇であることも考えるならば、現在のユーロドルの焦点は、新たな上値水準の見極めにある。

ユーロドルのチャート:日足 23年12月以降

ユーロドルのチャート:日足 23年12月以降 TradingView提供のチャートで作成


今日のECBイベンがユーロ買いの要因となる場合は、半値戻しの水準の突破を予想する。

米国の雇用関連指標、週間の新規失業保険申請件数が労働市場の軟化を示す内容となれば、「米金利の低下→米ドル安」の展開が予想される。

ユーロ高と米ドル安が同時に発生する場合は、フィボナッチ・リトレースメント61.8%の水準1.0965レベルのトライおよびブレイクアウトを想定しておきたい。このケースでは、1.10トライが次の焦点として浮上しよう(上のチャート、赤ラインを参照)。

日足のストキャスティクスは再び買われ過ぎの水準まで上昇している。RSIも買われ過ぎの水準付近へと上昇している(いずれも上のチャート、赤矢印を参照)。

この状況でECBイベントがユーロ売りの要因となる場合は、50日線のサポート転換が焦点となろう。この移動平均線は今日現在、1.0857レベルで推移している。


ドル円:今日の見通しとチャートポイント

焦点は149.00レベルの攻防、50日線のトライを想定する局面に
ドル円(USD/JPY)は、IG為替レポートで注目している149.00レベルの攻防が下値の焦点として浮上してきた。

米金利の低下基調を受け、日米の利回り格差が縮小の傾向にあること、そして非商業部門の円ネットショートが13万以上の水準へと積みあがっている状況も考えるならば、今日も下値トライを意識したい。

ドル円が149円を完全に下方ブレイクする場合は、2つの点に注目したい。ひとつは、149.00レベルがレジスタンスの水準へ転換するのかどうか?である。この状況が確認される場合は、地合いの強さが後退していることを市場参加者に印象付けよう。ゆえに、明日以降も下値トライを警戒したい。

もうひとつの注目ポイントは、50日線のトライである。この移動平均線は昨年の11月下旬と今年1月11日にレジスタンスのラインとして相場の上昇を止めた経緯がある(下のチャート、緑矢印を参照)。ゆえに、50日線の攻防ではサポート転換の確認が焦点となろう。

ドル円のチャート:日足 23年11月以降

ドル円のチャート:日足 23年11月以降 TradingView提供のチャートで作成


一方、ドル円の反発局面では、149.50レベルの攻防に注目したい。この水準がレジスタンスポイントへ転換する場合は、149円割れを意識する状況が続くと予想する。

もうひとつの注目ポイントは、21日線のレジスタンス転換である。昨日はこの移動平均線で上値が止められた(上のチャート、青矢印を参照)。同じ状況が繰り返し確認される場合は、やはりドル円の地合いの強さが後退していることを市場参加者に印象付けよう。


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