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【週間展望】注目材料はFOMCと雇用統計 円相場急落でドル円は160円へ 今週の展望とチャートポイント

外為市場では円安の進行が止まらない。29日午前の市場でドル円(USD/JPY)は防衛ラインとして意識されていた160円を突破する局面が見られた。今週の注目材料は米連邦公開市場委員会(FOMC)後のパウエル会見と雇用関連の経済指標、特に4月雇用統計である。今週のドル円(USD/JPY)の見通しは?注目のチャートポイントは?


サマリー

・今週の注目材料は、パウエルFRB議長の会見と米国の雇用関連指標となろう
・米雇用関連指標では、特に4月の雇用統計が材料視されるだろう
・パウエル議長の会見で利下げ期待がさらに後退すれば、米ドル高を想定しておきたい
・ドル円は160円台への上昇と161.51レベルのトライが焦点に、反落は限定的と予想


外為市場の動向:止まらない円安

外為市場では現在、対主要国の通貨で円安が進行している。事実、先週は円安一色の状況となった。

先週26日の金融政策決定会合で植田日銀は政策金利の据え置きを決定し、国債の購入方針も変えなかった。

会合後の記者会見で植田総裁は、「現時点では今の円安が基調的な物価上昇率に大きな影響を与えているわけではない」と述べた。「今後発生するリスクはゼロではないので注意する必要がある」との認識も示したが、進行する円安に対処しようとする明確な姿勢が見られなかったことで、26日の外為市場でドル円(USD/JPY)は高値158.44レベルまで急伸した。

今週、ドル円がさらに上値をトライするかどうか?この点を考えるうえで今週は、以下で述べる米国のイベントに注目したい。

円相場の動向:22日~26日

円相場の動向:4月22日~26日 ブルームバーグのデータをもとに筆者が作成

今週の注目材料:パウエルFRB議長の会見

ドル円(USD/JPY)は節目の160.00レベルが防衛ラインとして意識される状況にあった。しかし、週明け29日午前の市場でこの水準を突破し、高値160.34レベルまで上昇する局面が見られた(IGチャート中値レート)。ゆえに目先の焦点は、160円以上の攻防となるかどうか?この点にシフトしている。

ドル円のさらなる上昇要因として注目したいのが、米連邦公開市場委員会(FOMC、4月30日~5月1日)後のパウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長の定例会見である。

米商務省が26日に発表した3月の米個人消費支出(PCE)物価指数は前年同月比で2.7%上昇し、2月の2.5%から加速した。エネルギーと食品を除くコア指数は2月と同じ同比2.8%で横ばいだった。

3月の消費者物価指数(CPI)に続き、個人消費支出(PCE)物価指数でもインフレ圧力の根強さが確認されたことで、パウエルFRBは政策金利を「高くそして長く」維持せざるを得ない状況に直面している。

この点を強く意識しているのが短期金融市場である。利下げ時期の観測が後ずれし続け、現在は9月利下げすら怪しい状況になりつつある。

米国 政策金利の予想推移

米国 政策金利の予想推移 ブルームバーグのデータをもとに筆者が作成


FOMC後の会見でパウエルFRB議長がインフレの抑制に向けた動きが失速しているとの懸念を示す場合は、9月の利下げ期待までが後退することが予想される。このケースでの外為市場では、金利の上昇と株安による米ドル高を想定しておきたい。


今週の注目材料:米国の雇用関連指標、4月雇用統計

今週、FOMC以外でドル円(USD/JPY)のトレンドを左右する要因として注目したいのが、米国の雇用関連指標である。

30日の第1四半期雇用コスト指数をはじめ、今週は多くの雇用関連指標が発表される。なかでも市場参加者の注目度が高いのが、5月3日の4月雇用統計である。

米国の雇用関連指標

米国の雇用関連指標 市場予想はブルームバーグのデータ


現時点での市場予想を確認すると非農業部門雇用者数変化は25万人の増加が見込まれている。失業率は3.8%と低い水準を維持する見通しである。

インフレの粘着性が意識されている状況で、今回の雇用統計が3月と同じく労働市場の堅調さを示す内容となれば、外為市場では米ドル買いの要因となろう。

雇用統計を前に発表される関連指標でも労働市場の堅調さが確認される場合は、米ドル高が再び進行する展開を想定しておきたい。

米国の雇用統計 各項目の動向:23年以降

米国の雇用統計 各項目の動向:23年以降 ブルームバーグのデータをもとに筆者が作成 / 赤の棒グラフとドット:4月の市場予想

ドル円:今週の見通しとチャートポイント

新たなレジスタンスの水準は?

今週のドル円(USD/JPY)は、引き続き上値のトライを意識する状況が続くだろう。目先の焦点は160.00レベルを完全に突破し、新たな上値をトライする局面へシフトするかどうか?にある。

円安の進行が止まらない今の状況で、ドル円の反落要因として期待できるのは米ドル安だけである。ゆえに、上で述べたパウエルFRB議長の会見と米国の雇用関連指標が米ドル高の要因となれば、ドル円は一気に160円以上の攻防へシフトする展開が予想される。

日足のモメンタムは強気相場に勢いがあることを示唆している。RSIは買われ過ぎの水準で推移しているがデッドクロスは確認されていない。強気相場を維持しドル円が160円台の攻防へシフトする場合は、E計算値の水準161.51レベルのトライが焦点として浮上しよう。

ドル円のチャート:日足 23年12月以降

ドル円のチャート:日足 23年12月以降 TradingView提供のチャートで作成

反落局面で注目しておきたいチャートポイントは?

一方、円買い介入以外でドル円(USD/JPY)が反落する場合は158.00レベル、157.00レベルそして156.00レベルと1円レンジで新たなサポートの水準を見極めることになろう。

テクニカルの面では5日線の攻防に注目したい。本日午前の上昇を受け、この移動平均線は156.60台まで上昇している(上の日足チャートを参照)。

ドル円が5日線を下方ブレイクする場合は、サポートラインとして意識されている10日線までの反落を想定しておきたい。この移動平均線は155.60台付近まで上昇している(上の日足チャートを参照)。

今週、ドル円の反落要因となり得るのが、さえない米経済指標である。だが、パウエルFRBがインフレ再燃のリスクを警戒しタカ派の姿勢を維持する公算が大きいことを考えるならば、ドル円の反落は押し目買いを狙う好機と捉えたい。

分足や時間足のストキャスティクスおよびRSIを軸に、相場が売られ過ぎの水準へ到達しかつゴールデンクロスの状況が確認されるタイミングで、ドル円が上で述べたサポートの水準をトライする局面では、反発相場を想定しておきたい。

ドル円のチャート:1時間足 4月12日以降

ドル円のチャート:1時間足 4月12日以降 TradingView提供のチャートで作成

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