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今日の焦点は7月の米雇用統計/ ドル円の見通しとチャートポイント

米金利の上昇基調が続く一方、ドル円は142円台へ反落している。目先の焦点は7月の米雇用統計となろう。米ドル相場とドル円の見通しは?ドル円のチャートポイントは?詳細はIG為替レポートをご覧ください。

出所:ブルームバーグ 出所:ブルームバーグ

サマリー

・昨日は米金利が上昇基調を維持する一方、米ドル安優勢の展開となった
・ドル円の動向次第では円高の進行を警戒しておきたい
・米雇用統計(7月)の焦点と外為市場の見通しについて
・ドル円、今日の見通しとチャートポイントについて


米金利の上昇と米ドル相場の反応

米債市場では利回りが上昇基調にある。10年債利回り(長期金利)は、昨年11月上旬以来となる4.19%台まで上昇する局面が見られた。20年債や30年債の各利回りも同様に上昇幅が拡大している。

注目すべきは、米ドル相場の反応である。ドルインデックス(DXY)は昨日、102.80ポイントで上昇が止められ小幅に低下した。

通貨別で米ドル相場のパフォーマンスを確認すると、一部の新興国通貨を除き、昨日は米ドル安優勢となった。対円ではドルインデックス以上の下落率となった。

米金利の上昇幅が拡大しても米ドル安優勢の展開となった状況が、米雇用統計(7月)を前にした単なるポジション調整の動きかどうか?については、今後の展開を確認する必要がある。

米ドル相場の動向:8月3日

米ドル相場の動向:8月3日 ブルームバーグの為替データをもとに作成 / 基準日:8月2日

円高の進行を警戒

3日の外為市場が米ドル安優勢となる一方、円相場は上昇した。

アメリカの財政問題を受けた米長期金利の上昇と株安(リスク回避相場)を受けて、直近のユーロ円(EURJPY)、ポンド円(GBP/JPY)、豪ドル円(AUD/JPY)といった主要なクロス円は、連日で陰線引けとなっている(日足のローソク足)。

このタイミングでドル円(USD/JPY)までが崩れる展開となれば、短期的な円高の進行を警戒したい。

円相場の動向:8月3日

円相場の動向:8月3日 ブルームバーグの為替データをもとに作成 / 基準日:8月2日

米雇用統計の焦点と米ドル相場の見通し

堅調な雇用市場も米金利の押し上げ要因に

財政問題に加えて、堅調な雇用市場も今の米金利の押し上げ要因になっているとの見方がある。ゆえに、外為市場の参加者の関心は、今晩の米雇用統計(7月)に向いている。

各項目の市場予想を確認すると、非農業部門雇用者数変化は前月比で20万人増となっている。過去1年間の推移を確認すると、雇用の増加ペースは緩やかに減少の傾向にある。それでも20万増が予想され、かつ失業率のそれは6月と同じ3.6%である。これらの状況(予想)は、アメリカの雇用市場の堅調さを示唆している。

一方、賃金(平均時給)は、前月比と前年比でともに6月から低下する予想となっている。

米雇用統計の推移:過去1年間

米雇用統計の推移:過去1年間 米労働省のデータをもとに作成 / 月次:22年7月以降 / 緑のバーチャートとドット:7月の予想

7月の雇用統計を受けた米ドル相場の見通し

財政問題が市場のテーマとして浮上するなか、7月の雇用統計で非農業部門雇用者数が予想以上となり、かつ予想外に賃金が上昇する場合(賃金インフレが再加速する場合)、米債市場では長期ゾーンを中心に利回りがさらに上昇することが予想される。

このケースでは、米ドル相場が素直に上昇で反応するかどうか?を確認したい。筆者は、強い雇用統計を受けて米金利が上昇する場合、米ドル高の展開になると予想している。

しかし、この予想が外れ米ドル安となる場合は、財政問題が米ドル安の要因として意識され始めているシグナルとして警戒し、来週以降の動向を確認する必要がある(単に7月下旬以降の米ドル買いを調整する動きである可能性もあるため)。

一方、7月の雇用統計で雇用の増加が予想以下となり、かつ賃金の伸びも抑制される(賃金インフレの抑制が確認される)場合は、米国債の買戻し(米金利の低下)が予想される。このケースでは、米ドル安を予想する。


ドル円、今日の見通しとチャートポイント

調整の下落を警戒

ドル円(USD/JPY)のリスクリバーサルを確認すると、再びドルプットへ傾く状況にある(下チャートのグレーゾーンを参照)。この動きに連動し、ドル円も反落のムードにある。

直近はドルプットの動きが止まっている。しかし、下で述べているように144.00レベルのトライに失敗し、その後142円台へ反落した昨日の動きも考えるならば、今のドル円は調整の下落を警戒する局面にある。

今日は、上で述べた7月の雇用統計の内容と米金利の反応次第で、ドル円がさらに下値をトライする展開を警戒しておきたい。

ドル円とリスクリバーサルのチャート

ドル円とリスクリバーサルのチャート ブルームバーグのデータをもとに作成 / 23年6月以降

144.00レベルの “レジスタンス転換”

ドル円(USD/JPY)は昨日の東京時間に、日銀による臨時オペの通知を受けて144.00レベルを視野に上昇幅が拡大する局面が見られた。しかし、高値143.89レベルで上昇が止められ、その後安値142.06レベルまで反落する展開となった。

日足のローソク足を確認すると、長い上ヒゲが示現し陰線引けとなっている。6月下旬から7月下旬にかけては逆に下ヒゲが示現し、144.00レベルがサポートポイントとして意識された経緯がある。

昨日の動きは、144.00レベルがレジスタンスへ転換する可能性を示唆している。

ドル円のチャート:日足

ドル円のチャート:日足 IGチャート:23年6月以降

下落局面でのチャートポイント

7月の米雇用統計が米ドル安の要因となれば、ドル円(USD/JPY)はさらに下値をトライすることが予想される。このケースでは、142.00レベルの攻防が焦点となろう。

ドル円が142.00を難なく下方ブレイクし141円台の攻防へシフトする場合は、7月28日の安値138.06レベルと昨日の高値143.89レベルのリトレースメント38.2%の水準141.66レベルの攻防に注目したい(2日のIG為替レポートでは141.70台に注目したが、高値の水準が切り上がったことでサポートの水準も変化している)。

なお、今日現在10日MAが141.63レベルで推移している。これらテクニカルの動向を考えるならば、現在は141.60台をサポートポイントの候補と想定しておきたい。

7月の米雇用統計がさえない内容となり、かつ今日も欧米の株安がさらに進行する場合、ドル円は141.66レベルを完全に下方ブレイクする可能性がある。

このケースでは、半値戻しの水準140.98レベルのトライが焦点として浮上しよう。この水準の攻防は、141円台を維持できるかどうか?を見極める攻防でもある。

ドル円が140円台へ反落する場合は、140.70レベルの攻防が焦点となろう。この水準では一度レジスタンスからサポートへの転換が確認されている(下チャート黒矢印を参照)。

一方、7月の雇用統計が米ドル買いの要因となる場合は、143円台の再上昇と昨日の高値143.89レベルのトライとなるか?これらの点に注目したい。

ドル円のチャート:日足

ドル円のチャート:日足 IGチャート:23年6月以降

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