オーストラリア中銀、3連続利上げ見送りへ 豪ドル安か 声明内容は?
オーストラリア中銀は5日の理事会で利上げを見送る公算が高い。豪ドル安の継続が見込まれるが、声明での方向性も焦点だ。
オーストラリアの中央銀行にあたるオーストラリア準備銀行(RBA)は5日の理事会での利上げ見送りが確実視されている。7月の物価上昇率が事前予想を下回る結果となり、引き続き物価動向の先行きを見極める余裕が生まれているからだ。RBAが実際に利上げを見送れば3会合連続で、豪ドル円相場で6月中旬から続く緩やかな豪ドル安傾向を後押しする。ただしRBAは今後の追加利上げの可能性を否定しているわけではなく、理事会後の声明でどのような方向性が示されるかも相場を左右する。
オーストラリア中銀の利上げ見送り確率は99%
RBAは日本時間の5日午後1時30分に理事会の結果を発表する。ロイター通信のエコノミスト調査では、36人中34人が利上げ見送りを予想。利上げ実施を見込むのは2人だけで、政策金利が4.10%に据え置かれるとの見方が圧倒的だ。また、金融情報会社リフィニティブのデータによると、5日の理事会での利上げ見送りについて、投資家の動向から算出される確率は日本時間4日午前10時30分の段階で約99%に達している。
利上げ見送り予想の根拠となるのがオーストラリアの物価上昇の現状だ。8月30日に発表された7月の消費者物価指数(CPI)の伸び率は、総合指数が前年同月比4.9%で6月の5.4%から大きく低下。2022年2月(4.9%)以来1年5か月ぶりの4%台となった。事前予想の5.2%も下回っている。また、果物、野菜、ガソリン、休暇旅行の料金を除いたコア指数の伸び率は5.8%となり、2022年6月以来の5%台となった。
CPIの伸び率は2022年12月に、総合指数で8.4%、コア指数で7.2%に達していた。今回の結果はオーストラリアでの物価上昇率の低下傾向をいっそう明確にした形だ。2022年5月から利上げサイクルに入っているRBAは、7、8月に2回連続で利上げを見送り。政策金利を上げなくても物価上昇低下が続く中、5日の理事会でも利上げは不要との見方が強くなりそうだ。
豪ドル円相場の緩やかな円高豪ドル円安は変わらず
こうした物価情勢を受けて、豪ドル円相場(AUD/JPY)では6月中旬以降、緩やかな円高豪ドル安が進んでいる。7月のCPI発表後にも改めて豪ドル安になっており、5日の理事会で利上げが見送られた場合、同じ流れを後押しする材料になりそうだ。
ただしオーストラリアの物価上昇率がRBAが目標とする2-3%を上回っていることも事実だ。RBAは8月の理事会後の声明で、4-6月期の総合指数の伸び率が前年同期比6.0%だったことを「高すぎる」とし、「いくらかの追加的な金融引き締めが必要になるかもしれない」との立場を維持。この理事会の議事要旨によると、理事会では利上げ見送りと0.25%利上げの可能性が議論されたという。このため5日の理事会をめぐっては、RBAが声明でどのような方向性を示すかも焦点になる。
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