リスク選好の流れに乗る通貨
原油安ショックは重要なリスク要因ですが、投資家の心理が再び悪化しているわけではありません。むしろ株式市場は落ち着きを取り戻す過程にあります。その理由は?この動きに追随している通貨とは?詳細はマーケットレポートにて。
改善過程にある投資家心理
今週は、原油安ショックによりリスクを回避するムードが優勢となっている。だが、3月のような乱高下する相場が再来するのか?と問われたら答えはノーである。その理由は2つある。ひとつは米株のボラティリティである。多くの機関投資家が米株のベンチマークとしているS&P500指数の動向を確認すると、調整の反落を挟みながら反発基調を維持している。その過程で値幅も縮小傾向にあることから、ボラティリティ(20日間の標準偏差を年率換算した値)は、90%台から49%台まで低下している。このボラティリティの動向は、米国株式市場が徐々に落ち着きを取り戻していることを示唆している。
米国株式の動向(S&P500指数)
もうひとつが、このレポートで再三指摘している米ドルの調達コストである。日本円やユーロから米ドルへ交換する際の調達コストを確認すると、ともに低下基調が続いている。原油安ショックは景気の先行き不透明感を投資家に強く意識させる要因だが、3月のような調達コストの上昇は見られない。米株同様、米ドル相場も投資家心理の動きを反映している指標だが、これらが落ち着いた状況となっていることは、投資家心理が安定していることを示唆している。
米ドルの調達コスト
リスク選好の局面で買われやすい通貨
4月に入ってからの米ドルと円相場のパフォーマンスを確認すると、対豪ドルでともに下落している。今月は株高局面が多く見られるが、この動きに追随しているのが豪ドルである。では、資源国通貨でもある豪ドルは、原油安リスクの影響を受けているのか?筆者の答えはノーである。NY原油先物価格が急落し始めたのが3月9日。以降の豪ドルと原油先物価格の関係を散布図で確認すると、データのバラツキが大きい。実際に数値(相関係数)を確認すると0.02343となり、ほぼ無相関となっている。つまり、現在の豪ドル相場は原油安の影響を受けていないことがわかる。
豪ドル/米ドル(AUD/USD)が反発し始めたのが、3月下旬である。この時何があったのか?それはFEDによる無制限緩和策の導入である(3月23日)。4月上旬に調整の反落局面が見られたが、同月9日にFEDが2.3兆ドルの新たな景気対策を決定して以降再び上値をトライする動きとなっている。つまり、現在の豪ドルは米政策期待を土台としたリスク選好相場の流れに乗っている通貨と言える。AUD/USDの目先の焦点は、今月14日と15日に上値をレジストした0.6450の突破である。この水準はフィボナッチ・リトレースメントの61.80%の水準であると同時にオファーも観測されている。突破に成功する場合は、同じくオファーが観測されている0.6500のトライとなろう。
豪ドル/米ドルとNY原油先物価格の関係
豪ドル/米ドルチャート
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