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米国株、最高値再挑戦 S&P500週次上昇 利下げペースの見通し焦点

アメリカのS&P500は週次で4%高。半導体株も大きく値上がりした。FRBの利下げ幅が大きくなるとの期待が膨らんでいる。

米国株、最高値挑戦 S&P500週次上昇 利下げペースの見通し焦点 出所:Adobe Images

アメリカの株式市場に最高値への再挑戦が近づいている。S&P500種株価指数の13日の終値は1週間前比で4%高。7月中旬につけた最高値まで0.7%となった。物価や雇用をめぐる経済指標に大きな混乱が出ない中、米国経済の先行きをめぐる不安は後退。また前週に大幅下落した半導体株も反発しており、S&P500が勢いを取り戻すための環境が整いつつある。ただ、足元の株式市場は米連邦準備制度理事会(FRB)が年内に合計1%幅の利下げを行うという期待に支えらえている側面が強い。17、18日に迫った連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げ幅や、同時に示される今後の利下げペースの見通しが金融市場の想定よりも小さくなれば、S&P500の上昇が失速するおそれもある。

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アメリカのS&P500は週次4%高 最高値まで0.7%

S&P500(SPX)の13日の終値は前日比0.54%高の5626.02。1週間前比では4.02%の上昇で、2週ぶりの値上がりとなった。7月16日の最高値(5667.20)まではあと0.73%の上昇で到達する水準だ。長期金利(10年物米国債利回り)が11日に一時、3.605%という1年3か月ぶりの低水準に達したこともあり、株式の投資先としての相対的な魅力が高まっている。長期金利は13日のニューヨーク市場でも3.6%台で推移した。

S&P500とアメリカの長期金利の推移のグラフ

米国経済をめぐってはこのところ、見通しのつきづらい状況が続いている。11日に発表された8月消費者物価指数(CPI)は総合指数の伸び率が市場予想を下回り、物価上昇の落ち着きを感じさせる一方、家賃の伸びは前月よりも大きくなり、物価上昇圧力の根強さを感じさせた。また、6日発表の8月雇用統計は失業率が7月から改善した半面、非農業部門の就業者の伸びは市場予想を下回った。投資家はいずれのケースでも悲観的な反応を示し、S&P500に対しては下落圧力として働いた。

VIX指数は低下 エヌビディアなど半導体株は大幅上昇

とはいえ、8月のCPIや雇用統計は懸念されたほどの悪化は出なかったことも事実で、投資家心理の冷え込みが進んだわけではない。「ウォール街の恐怖指数」と呼ばれるVIX指数(VIX)は16台で推移。8月雇用統計発表があった6日につけた22.38からの低下が進んでいる。物価情勢をめぐっては12日発表された8月の卸売物価指数(PPI)が市場予想を下回る伸び。雇用情勢では同じく12日発表の週次の新規失業保険申請件数が市場予想通りの23万件だった。これらの経済指標は投資家の見通し不安を和らげたもようだ。

VIX指数とS&P500の推移のグラフ
アメリカの新規失業保険申請件数と失業率の推移のグラフ

また、人工知能(AI)ブームの恩恵を受けてきた半導体株も復活の兆しが出てきた。半導体大手NVIDIA(エヌビディア)の株価(NVDA)の13日の終値は1週間前比で15.80%高。3週ぶりの上昇となった。半導体株ではブロードコム(AVGO)も22.41%高、S&P500構成銘柄ではないものの英半導体大手アーム・ホールディングス(ARM)も25.65%高となり、やはり3週ぶりの上昇だ。

エヌビディアなどアメリカの半導体株の値動きの推移のグラフ

見通しの明るさはFRBは年内1%利下げ期待に依存か

ただし株式市場の見通しの明るさはFRBが9月FOMCを端緒として、急ピッチで利下げを進めるとの期待に支えられてる。CMEグループのデータによると、9月FOMCでの利下げ幅が0.5%になることについて投資家の動向から算出される確率は日本時間14日朝の段階で45%。前日午前の43%から、引き続き高い確率が見積もられている。またLSEGのデータでは、金融市場では12月FOMC後の政策金利は4.2%程度と見込まれている。現状の政策金利の水準(5.25-5.50%)から1%ポイント以上低い水準で、9月、11月、12月のFOMCのうちいずれか1回は0.5%幅の利下げが行われるとの想定だ。

こうした中で9月FOMCでの利下げ幅が0.25%に留まった場合、投資家からの「期待外れ」との反応がS&P500を値下がりさせることも考えられそうだ。また、経済見通しで示される12月までの利下げペースの方向性も、投資家心理を揺らす可能性がある。


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