米国株見通し混沌 決算不安でS&P500反落 1日には雇用統計
S&P500は30日に3日ぶり反落。AMD決算が引き金を引いた半導体株安が要因だ。大手ハイテク決算も不安を高めており、雇用統計での波乱も予感させる。
アメリカの株式市場の見通しが混沌としてきた。S&P500種株価指数の30日の終値は3営業日ぶりの反落。前日に発表された半導体大手のアドバンスド・マイクロ・デバイセズ(AMD)の業績見通しが半導体株を冷やしたことが要因だ。また、30日の取引時間終了後に発表されたマイクロソフトとメタ・プラットフォームズの決算は投資家の納得を得られず、時間外取引で株価は下落している。こうした中、11月1日には10月雇用統計の発表も予定され、想定外の結果が出れば投資家心理を大きく揺らすと考えられる。一方では、米国経済には底堅さが感じられているが、投資家不安は高まっており、S&P500の今後の見通しは引き続き波乱含みだ。
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アメリカのS&P500は3日ぶり反落 AMD決算での半導体株安が重荷
S&P500(SPX)の30日の終値は前日比0.33%安の5813.67。3日ぶりの反落で、18日につけた最高値(5864.67)の更新はならず。長期金利(10年物米国債利回り)は4.264%で2日連続での下落となったが、株式市場に追い風は吹かなかった。
アルファベットは好決算 マイクロソフトとメタは決算発表後、時間外で下落
これに対して29日にはアルファベット(GOOGL)が総収入と利益の両面で市場予想を超える7-9月期決算を発表。30日の終値は前日比2.82%高となった。しかし取引時間終了後に行われたマイクロソフト(MSFT)の決算発表では設備投資の重さが嫌気され、時間外取引で株価が3%超下落。メタ(META)も成長ペースの鈍化や設備投資見通しが悪材料視され、やはり株価が3%超値下がりしている。31日のS&P500の見通しに不安を残す値動きといえそうだ。
10月雇用統計は就業者数の増加が大幅鈍化の見通し S&P500下押しも
こうした中、11月1日には金融市場の注目が集まる10月雇用統計が発表される。ロイターがまとめた事前予想では、非農業部門の就業者数は前月比11.3万人増となり、9月の25.4万人増から伸びが鈍化する予想。失業率と平均時給の伸び率は前月からの横ばいが予想されている。結果が予想から大きく外れれば、連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ見通しの後退や、労働市場の安定性への不安がS&P500を下押しすることも考えられそうだ。
一方、米国経済をめぐっては底堅さも示されている。米商務省が30日に発表した7-9月期GDPの成長率は前期比年率2.8%。ロイターがまとめた市場予想の3.0%を下回ったが、個人消費の伸び率は3.7%で、4-6月期(2.8%)から加速した。また同時に発表された7-9月期の個人消費支出(PCE)物価指数は食品とエネルギーを除いたコア指数の伸び率が前期比年率2.2%となり、4-6月期(2.8%)からは大きく低下したものの、市場予想の2.1%は超えている。
VIX指数は高止まり継続 投資家のリスクへの警戒感は株価の重荷か
また投資家心理を揺らしてきた11月5日に迫った大統領選挙では民主党候補のカマラ・ハリス副大統領が接戦州で共和党候補のドナルド・トランプ前大統領を巻き返しているもよう。混沌とする政治経済情勢は投資家の不安を高める要因といえる。シカゴ・オプション取引所によると、ウォール街の「恐怖指数」と呼ばれるVIX指数(VIX)の30日の終値は20.35で、引き続き高止まりの状態。投資家のリスクに対する警戒感がS&P500の今後の見通しにとっての重荷になっているといえそうだ。
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