良好な指標データで米金利は低下 / 豪ドル/米ドル(AUD/USD)とドル円(USD/JPY)の焦点
今日のポイント:『良好な指標データで米金利は低下。この状況が続く限り米ドル安を想定したい。リスク選好相場の恩恵を受ける豪ドル/米ドルの動きに注目。ドル円のチャートポイントは?』詳細はマーケットレポートをご覧ください。
良好な指標データで米金利は低下
15日に発表された米指標データは、総じて市場予想を上回る内容となった。特に個人消費の動向を反映する3月小売売上高(前月比)は、市場予想の5.9%に対して9.8%と大きく上回った。現金給付に加えワクチンの接種も進んでいることで、3月の小売売上高は主要13分野すべてで増加した。
個人消費はアメリカ経済のエンジンである。そのエンジンが順調に回り始めていることは、米金利の押し上げ要因である。
しかし、昨日の米債市場では各年限の金利が軒並み低下した。特に長期金利(以下では米金利)は、一時1.52%台まで低下する局面が見られた。この状況は、他国の金利と比較した場合、1.6%以上の水準では米債の投資妙味が高まること、そして米債市場の参加者が来年以降の経済成長の鈍化(FEDのシナリオ)をすでに意識し始めている可能性があることを示唆している。
アメリカ経済の回復が指標データで確認されていることを考えるならば、米金利が低下トレンドを形成する可能性は低いだろう。しかし現在の状況が続く限り、実質金利も低下基調(マイナス幅の拡大基調)が続くか、反発してもその幅は限られるだろう。この状況が続く限り、外為市場では米ドル安優勢のトレンドを予想する。
米実質金利とドルインデックスのチャート
豪ドル/米ドル(AUD/USD)の焦点
昨日は米株だけでなく、国際商品市況のトレンドを示すCRB指数も上昇し、2月下旬に上値を抑制した196ポイントを視野に入れる展開となっている。
これらリスク資産の価格と連動性が高いのが豪ドルである。対米ドル(AUD/USD)での動向をみると、0.7560レベルで下値がサポートされ、21日MA(今日現在0.7649レベル)を大陽線で難なく突破。そして昨日のローソク足(日足)は、長い下ヒゲ付きの陽線引け。明らかに『株高のみのリスク選好相場』の恩恵を受けていることがわかる。
目先の焦点は、今年に入りレジスタンスのポイントとして意識されている0.78レベルのトライおよび突破となろう。現在の米金利の動向を考えるならば、トライの可能性が高い。フィボナッチ・プロジェクション100.0%(0.7760)の突破を0.78トライのシグナルと想定したい。
だが真に注目すべきは、0.78台の維持である。0.80台へと急伸した2月下旬の上昇は『だまし』だった。
3月18日は高値0.7849で上値がレジストされると、長い上ヒゲ付きの陰線引けとなった。いずれの動きも0.78台の維持の難しさを示している。
だからこそ0.78台の維持は、さらなる上昇のシグナルとなり得る。『米金利の低下基調→米ドル安』のトレンドが続くことで0.78台の維持に成功する場合は、3月18日高値0.7849およびフィボナッチ・プロジェクション161.8%の水準0.79レベルをトライするかどうか?これらの点に注目したい。
豪ドル/米ドルのチャート
ドル円(USD/JPY)の焦点
豪ドル/米ドル(AUD/USD)とは対照的に、ドル円(USD/JPY)は米金利の低下に連動し、ジリジリと上値の水準が切り下がっている。その結果、短期レジスタンスラインが形成されてきた。
MACDとモメンタムはドル円の軟調地合いを示唆する動きが続いている。このレポートで指摘している108.30レベルを視野に入れる動きが続くと予想する。
だが、一方向に振れ続ける相場は存在しない。下落トレンドが続いているだけに『米金利反発→ドル円反発』の調整相場も常に意識しておきたい。
このケースでの焦点は、短期レジスタンスラインのトライである。このラインは今日現在、109.00レベルで推移している。
短期レジスタンスラインの突破に成功しても、米金利のトレンドが変わっている現在の状況を考えるならば、21日MA(今日現在109.49レベル)がサポートラインからレジスタンスラインへ転換する可能性を意識したい。
ドル円のチャート
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