レンジを維持する米長期金利 / 豪ドル米ドルとユーロドルの焦点
サマリー:『上昇要因に直面しながらも米金利は1.5~1.75%のレンジを維持。この状況が続く限り、米ドル安優勢のトレンドを予想する。豪ドル/米ドルとユーロドルの動向に注目。上下のチャートポイントは?』詳細はマーケットレポートをご覧ください。
レンジを維持する米長期金利
20日の米国市場は、米長期金利(以下では米金利)が1.68%台から1.62%台まで低下した。これを受け、米国株式はハイテク株の買いが株高のけん引役となり総じて反発した。
『株高/米金利低下』の状況は米ドル売りの圧力を高め、ドルインデックスは今年2月下旬以来の低水準89.75レベルで推移している。
FOMC議事録の公表後に資産購入の縮小(テーパリング)の可能性が米債市場で意識され、米金利は一時1.69%台まで上昇した。しかし1.7%の突破には失敗。依然として1.5%~1.7%を中心としたレンジ内での推移が続いている。
CPI(消費者物価指数)の上昇やテーパリング観測を受けてなお米金利が1.7%の水準を突破できない状況は、FEDの予測通りインフレは一時的な現象であること、そして長期に渡る金融緩和政策の維持を米債市場の参加者が意識していることを示している。
米金利がこの状況を維持する限り、米ドル安優勢の展開を予想する。昨日のように『株高/米金利の低下』となれば、米ドル売りの圧力がさらに高まろう。
米長期金利とドルインデックスのチャート
豪ドル/米ドル(AUDUSD)の焦点
『株高/米金利低下』の状況下で最も注目したい通貨ペアが豪ドル/米ドル(AUDUSD)である。
米株高の調整相場が見られる中でも50日のEMA(今日現在0.7736レベル)とSMA(今日現在0.7717レベル)がサポートラインとして意識されている。この状況が続けば、0.77がレンジの下限として市場参加者に強く意識されよう。
一方、上値の焦点は0.79台への上昇である。テクニカル面では、フィボナッチ・リトレースメントの76.4%の水準0.7897の突破が焦点となろう。
昨日のように株高と米金利の低下が同時に発生する局面では、4月以降、レジスタンスのポイントとして意識されている0.7820レベルのトライおよび突破となるか?まずはこの点を見極めたい。これを達成し、かつ0.7820がサポートへ転換する場合、0.7897レベルをトライするシグナルのひとつと捉えたい。
豪ドル/米ドルのチャート
ユーロドル(EURUSD)の焦点
トレンドの強さで考えるならば、ユーロドル(EURUSD)にも注目したい。
1.22台へ上昇後、あっさりと1.21台へ反落したユーロドルだが、昨日は再び1.22台を回復している。陽線の実体(日足ローソク足)が前日の陰線より大きいことも考えるならば、ユーロドルは上値をトライするトレンドを維持している。
今日も1.2240レベルの攻防が焦点となろう。米金利の上昇が抑制され続けることでこの水準の突破に成功する場合は、1.2240がレジスタンスからサポートへ転換するかどうか?この点を確認したい。1.2240が新たなサポートのポイントとして意識される場合は、今年1月6日にユーロドルの上値を抑制した1.2350レベルをトライするシグナルのひとつと捉えたい。
一方、米金利の反発、ECBサイドからのユーロ高けん制発言、そしてさえない欧州の指標データ等で1.2240前後がレジスタンスとして意識される場合は、50日EMA(今日現在1.2051レベル)までの反落を想定しておきたい。
今月の13日に相場をサポートした21日EMA(今日現在1.2114レベル)の下方ブレイクは、50日EMAをトライするシグナルのひとつと捉えたい。
ユーロドルのチャート
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