良好な雇用指標と米金利の反発 / ドル円とユーロドルの焦点
サマリー:「良好な雇用関連指標を受け米長期金利は反発基調を維持。この動きに連動し外為市場ではドル高優勢の展開となっている。ドル円とユーロドルの焦点は?上下のチャートポイントは?」詳細はマーケットレポートをご覧ください。
良好な雇用指標と米金利の反発
アメリカの長期金利(以下では米金利)は昨日、1.33%台まで反発する局面が見られた。50日線(EMA、1.362%)を突破する場合、1.5%の水準を視野に反発する可能性が出てきた。
米金利が反発している要因のひとつが、良好な雇用関連指標である。7月雇用統計では、非農業部門雇用者数が94.3万人増加し、失業率は5.4%まで低下した。また、平均賃金(前年同月比)も4%増と総じて良好な内容だった。
雇用統計前に発表された各ISM指数の雇用も改善し、かつ昨日発表された6月の雇用動態調査(JOLTS)では、求人件数が前月比59万件増の1,007万3,000件と、過去最高を更新した。
パウエルFRBは、労働市場の動向を重視するスタンスを示している。その労働市場の改善傾向が具体的な数値で示されている状況は、早期の量的緩和政策縮小(テーパリング)観測を米債市場の参加者に意識させよう。先週のウォーラー理事の発言もあり、各市場では9月のFOMCでパウエルFRBが年内もしくは来年初めのテーパリング開始を表明するとの思惑が台頭している。
米金融政策の転換は、長期金利だけでなく2年債利回りの反発の圧力も高めよう。総じて米金利が上昇基調を維持する局面では、米ドル買い優勢の展開を想定しておきたい。
米長期金利のチャート
ドル円 今週の焦点
ドル円(USDJPY)は米金利の上昇に連動し、反発の基調にある。昨日は、長い下ヒゲが示現し110円台の維持に成功した。MACDで反発のシグナルが点灯している状況も考えるならば、今週のドル円は上値トライを意識したい。
目先は、7月のレジスタンスポイント110.60および110.70を突破できるかどうか?この点に注目したい。110.70レベルの突破は、111円台トライのシグナルと想定したい。
111円台の攻防へシフトする場合、最大の注目点は7月の高値111.65レベルのトライである。この水準は、2日続けて上値を抑制した経緯があるだけに、111円台のレジスタンスポイントとして意識しておきたい。
デルタ株のリスクやテーパリング観測が米株の下落幅拡大につながる局面では、ドル円の反落を想定しておきたい。株安が米金利の低下圧力を高める場合は、50日EMA(今日現在109.90レベル)、および100日EMA(今日現在109.30レベル)のトライを想定しておきたい。
だが、7月以降の動向と、日米金融政策の方向性の違いが今後鮮明になっていくことを考えるならば、現時点では109円台(フィボナッチ・リトレースメントの61.8%の水準)を維持すると予想する。
ドル円のチャート
ユーロドル 今週の焦点
ユーロドル(EURUSD)は、1.17レベルをトライする可能性が高まっている。黒田日銀と同様、ラガルドECBも金融緩和政策を維持する方針を示している。政策面で米欧の方向性の違いが鮮明になっている状況は、ユーロドルにとってネガティブである。
テクニカル面でも地合いの弱さが見て取れる。50日EMA(今日現在1.1885レベル)で戻りが抑制されると、6日の大陰線が示現した時は、21日EMA(今日現在1.1820レベル)で上値が抑制された。7月のサポートポイント1.1750レベルを完全に下方ブレイクしている状況も考えるならば、1.17トライを常に意識すべき局面にある。
ユーロドルが下値トライのトレンドを維持する場合、フィボナッチ・プロジェクションの各水準での攻防を注視したい。1.1712は38.2%の水準にあたる。このレベルをブレイクする場合、1.17トライおよび下方ブレイクの可能性を強く意識したい。
1.16台の攻防へシフトする場合は、50.0%の水準1.1651レベルの攻防に注目したい。この水準をトライした後に反転する場合は、1.17がサポートからレジスタンスへ転換するかどうか?この点を見極めることが重要である。
ユーロドルのチャート
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