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焦点は1月米CPI / ドル円とユーロドルの展望

今週の外為市場(米ドル相場)は、引き続き米国の経済指標を意識した状況が続くだろう。なかでも市場参加者の注目度が高いのが14日の1月消費者物価指数(CPI)である。ドル円とユーロドルの見通しは?注目のチャートポイントは?詳細はIG為替レポートをご覧ください。

出所:ブルームバーグ 出所:ブルームバーグ

米経済指標にらみの展開が続く 目先の焦点は1月CPI


【サマリー】
・米債市場では1月雇用統計の影響を引きずり、利回りの反発基調が続いている
・今週の米ドル相場は引き続き経済指標にらみの展開が予想される
・目先の注目指標は14日の1月米消費者物価指数(CPI)となろう
・ドル円は21日線と50日線、どちらを完全にブレイクするのか?が焦点に
・50日線を下方ブレイクしたユーロドルは下落幅の拡大を警戒する局面にある


1月雇用統計の影響を引きずる米債市場

米債市場では、1月の “強すぎた” 雇用統計の影響を引きずる状況が続いている。

2年債利回りは、昨年11月以来となる4.5%台の水準へ上昇している。金融政策の方向性を織り込みながら動く特性を持つ2年債利回りの上昇幅が拡大している状況は、連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ政策が長期化する可能性を米債市場の参加者が意識していることを示唆している。一方、景気の先行きを反映して動く10年債利回り(長期金利)も3.7%台へのせてきた。

1月米雇用統計後の米金利の推移

1月米雇用統計後の米金利の推移 チャート:Bloomberg / 15分足(2月3日~)

急速に修正される市場の思惑

金利市場(OIS市場)でも1月の “強すぎた” 米雇用統計の影響が見られる。

1月31日~2月1日に開催された連邦公開市場委員会(FOMC)後の市場参加者が抱く政策金利(FFレート)の予想推移を確認すると、ターミナルレートの水準は4.9%前後と、3月に示されたFOMCメンバーの23年末の予想中央値「5.1%」以下だった。そして今秋にも利下げに転じることを織り込む動きが見られた。

しかし、1月米雇用統計後のターミナルレートの見通しは、5.2%に迫る水準まで一気に上方修正されている。また、利下げについても今年の12月会合で1回行うかどうか?という見通しに変化している。

米政策金利(FFレート)の予想推移

米政策金利(FFレート)の予想推移 データとチャート:OIS, Bloomberg / 赤ライン:2月10日時点

米ドル高優勢の展開に

米利上げの長期化観測が再び高まり、それが米金利の上昇を促している現在の状況は、米ドル相場の下支え要因となっている。

米ドル相場の大まかなトレンドを示すドルインデックス(DXY)は、ローソク足の実体ベースで50日線(MA)を突破してきた。また、1月雇用統計後の米ドル相場全体のパフォーマンスを確認すると、メキシコペソ以外の主要国通貨に対して、米ドル高優勢で推移していることが分かる。今後、米ドル高がさらに進行するかどうか?については、経済指標次第となろう。

米ドル相場の動向

米ドル相場の動向 為替データ:Bloomberg / 基準日:2月2日, 2月10日までの騰落率

米ドル相場は経済指標にらみの展開が続く 目先は1月CPIが焦点に

今週は、米ドル相場のトレンドに影響を与える可能性のある重要な経済指標がいくつか発表される。なかでも市場参加者の注目度が高いのが、14日の1月消費者物価指数(CPI)である。

労働市場の引き締まりと金融引き締めの長期化が焦点となっているタイミングで1月CPIが予想以上に強い内容となる場合は、“インフレが低下しない”リスクと、それにともなう米利上げ政策の長期化に対する懸念が各市場でさらに高まることが予想される。

上のケースでは、米債市場で利回りの上昇幅が拡大することが予想される。米金利の上昇は米国株の下落要因となろう。米金利の上昇と株安が同時に発生する局面では、外為市場で米ドル高の圧力が最も高まりやすい。ゆえに、“強い”1月CPIは米ドル買い要因となろう。

一方、1月CPIがインフレ懸念を後退させる内容となれば、上で述べた状況とは逆の展開-米金利の低下、米株高、米ドル安の展開を予想する。

なお、米労働省は10日、22年12月CPI(前月比)を-0.1%から0.1%へ修正した。コア指数(同比)も0.3%から0.4%へ修正した。


アメリカ消費者物価指数の推移

アメリカ消費者物価指数の推移 データとチャート:米労働省, Bloomberg/月次(2021年~)

ドル円とユーロドルの見通しおよびチャートポイント

ドル円の見通しとチャートポイント

先週10日の動きと日足ローソク足の下ヒゲは、目先21日線(MA/130.14レベル)がドル円(USDJPY)のサポートラインとして意識される可能性があることを示唆している。だが、通貨オプション市場のリスクリバーサル(1ヶ月)の動きを確認すると、急速にドル・プットへ傾いている。一方、予想変動率(1ヶ月)は14%台まで上昇している。これらの状況を考えるならば、21日線の下方ブレイクも同時に警戒する局面にある。

ドル円の上昇を止める水準として注目しておきたいのが、132.00レベルである。今日現在、50日線(MA)が132.16レベルまで低下している。この移動平均線は短期レジスタンスと並行している。この状況も考えるならば、ドル円の上昇局面では132.00前後で反落する可能性があろう。

ドル円が50日線や短期レジスタンスラインの突破に成功しても、次に控えているのは半値戻しの水準132.70レベル※である。この水準は、2月上旬の反発相場を止めた経緯がある。
※2月14日に為替レートを訂正:2月13日の掲載時に132.80としましたが、132.70に訂正させていただきます。チャートは2月14日時点までの情報を反映しています。

上で述べたテクニカルポイント(ライン)の突破が確認できない限り、ドル円の21日線トライおよび下方ブレイクを常に意識しておきたい。ドル円が21日線を下抜ける場合は、128円台の維持が再び焦点として浮上しよう。先月の17日以降、この水準(128円)前後で相場がサポートされる状況が続いている。

ドル円のチャート

ドル円のチャート チャート:Bloomberg / 日足(22年12月~)/ リスクリバーサルと予想変動率は1ヶ月

ユーロドルの見通しとチャートポイント

米ドル高は、対ユーロでもジワリと進行している。ユーロドル(EURUSD)の日足チャートでトレンドを確認すると、IG為替レポートで何度か取り上げてきた50日線(MA/1.0710レベル)をローソク足の実体ベースで完全に下方ブレイクする状況にある。

また、現時点での今年高安の61.8%の水準1.0694レベルをも下方ブレイクしている状況にある。これらの状況を考えるならば、今週のユーロドルは1.06台を維持できるかどうか?この点が焦点となろう。

通貨オプション市場のリスクリバーサル(1ヶ月)は、ユーロ・プットに傾く状況にある。一方、予想変動率(1ヶ月)はジワリと上昇している。この状況で1月米CPIが予想以上に強い内容となる場合は、米ドル高がユーロドルの下落をけん引する展開が予想される。

ユーロドルの下落トレンドが続く場合は、フィボナッチ・リトレースメント76.4%の水準1.0614レベルのトライおよび維持が焦点となろう。このテクニカルポイントの攻防は、1.06台の維持を見極める攻防でもある。ゆえに、76.4%の下方ブレイクは、1.05台の攻防へシフトするシグナルと捉えたい。

一方、ユーロドルの反発局面では、新たなレジスタンスポイントとして意識されるムードが出始めている1.08レベルのトライおよびブレイクが焦点となろう。21日線(MA)は今日現在、1.0819レベルまで低下している。ユーロドルの反発局面で1.08レベルの攻防となる場合、テクニカルの面では21日線を突破できるかどうか?この点に注目したい。

ユーロドルのチャート

ユーロドルのチャート チャート:Bloomberg / 日足(年初来)/ リスクリバーサルと予想変動率は1ヶ月

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