ユーロ円の展望とチャートポイント
今週15日に欧州中央銀行(ECB)が理事会を開く。外為市場市場の参加者はすでに追加利上げを織り込んでいるため、今回のECB理事会の焦点は年内にあと何回の利上げがあるのか?この点を見極めることにある。植田日銀が緩和スタンスを維持していること、日米で株高が進行している状況を考えるならば、ユーロ円の焦点はさらなる上値のトライになろう。目先、注目しておきたいチャートポイントは?詳細はIG為替レポートをご覧ください。
※ドル円の分析レポートについてはこちらをご覧ください
目先の焦点は151円のブレイクアウト
連邦公開市場委員会(FOMC、13-14日)の翌日に、欧州中央銀行(ECB)が理事会を開く。
今回の理事会でラガルドECBは追加の利上げを決定するだろう。しかし、ECBの利上げサイクルは終盤に差し掛かっている。ゆえに今回の理事会の焦点は、あと何回の利上げが行われるかどうか?この点についての見極めにある。
短期金融市場では7月の追加利上げを織り込む状況にある。域内のインフレは物価目標の2%からは高い水準で推移しているが鈍化の傾向を辿っている。ゆえに、ラガルド総裁があと1回の利上げで今後のインフレ動向を見極める姿勢を示す場合は、ユーロ売りの圧力が高まる可能性がある。
一方、ラガルド総裁がインフレ抑制重視の姿勢を崩さない場合は、9月の理事会でも追加利上げの可能性が外為市場で意識されよう。このケースでは、ユーロ買いを想定しておきたい。
だが、ECB理事会がどのような結果になるにせよ、目先のユーロ円(EURJPY)はさらなる上値トライを想定しておきたい。今週の日銀金融政策決定会合で植田日銀が現行の緩和スタンスを維持する公算が大きいこと、そして日米の株高トレンドが進行中であることがユーロ円のサポート要因となり得るからだ。
通貨オプション市場でも、ユーロ円の上昇を意識する動きが見られる。6月以降、リスクリバーサル(1ヶ月/3ヶ月)ではユーロ・プットの動きが後退する状況にある。
こちらのIG為替レポートで取り上げたドル円(USDJPY)と同じ状況にあるということは、通貨オプション市場の参加者は円安優勢を予想しているとも言える。
ユーロ円とリスクリバーサルの動向
上下のチャートポイント
上値の焦点は151.00のブレイクアウト
上で述べた日欧の政策スタンスの差と日米の株高がサポート要因となり、予想どおりにユーロ円(EURJPY)が上昇する場合は、5月26日と29日に相場の上昇を止めた151.00レベルのブレイクアウトが焦点となろう。
ユーロ円の151.00トライのシグナルとして注目したいのが、5月2日の高値151.61レベルを起点とした短期レジスタンスラインの突破である。このラインは今日現在、150.70レベルで推移している(下の日足チャートを参照)。
ユーロ円が150.30-40のレジスタンスゾーン(一番下の15分足チャートを参照)を完全に突破する場合は、短期レジスタンスラインのトライを想定しておきたい。
ユーロ円が151円台へしっかりと上昇してくる場合は、151.00レベルの “サポート転換” を確認したい。この状況が確認される場合は、5月2日の高値151.61レベルを視野に、ユーロ円の上昇幅が拡大する展開を意識したい。
ユーロ円のチャート:日足
反落局面でのチャートポイント
今晩の5月米CPIや明日のFOMCが米ドル買いのイベントとなる場合、ユーロドル(EURUSD)の下落がユーロ円の上値を抑制する可能性がある。
このケースでは、ユーロ円の150円割れを想定しておきたい。ユーロ円が149円台の攻防へシフトする場合、目先の焦点は10日MAと21日MAの維持となろう。今日現在、これらの移動平均線は149.64前後で推移している(上の日足チャートを参照)。
149.75レベルの下方ブレイクは、10日MAと21日MAをトライするシグナルと想定しておきたい(下の15分足を参照)。
米国の重要イベントで米ドル買いの圧力が高まり、かつECBイベントでユーロ売りの圧力が高まる場合は、ユーロ円の下落幅が拡大することが予想される。
このケースでは、上で述べた2つの移動平均線をもあっさり下方ブレイクする可能性がある。実際にユーロ円がそのような展開となれば、5月11日の安値146.13を起点とした短期サポートラインの維持が焦点として浮上しよう。このラインは今日現在、149.15レベルで推移している(上の日足チャートを参照)。
ユーロ円が短期サポートラインをも下方ブレイクする場合は、直近の高値151.07レベルからの半値戻しの水準148.60を視野に下落幅が拡大する展開を想定しておきたい(上の日足チャートを参照)。
ユーロ円のチャート:15分足
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