市場参加者の関心は米国CPIと債務上限問題に
強い4月雇用統計の内容を受けた米金利と米ドル相場の反発トレンドが続いている。4月の米国消費者物価指数(CPI)の内容次第でさらなる米ドル相場の上昇も反落もあり得る。一方、債務上限問題は米ドル安の要因となろう。今日の米ドル相場(ドルインデックス)展望は?詳細はIG為替レポートをご覧ください。
※ドル円とユーロ円の見通しについてはこちらのレポートをご覧ください
サマリー
・今のところ米金利の反発トレンドは米ドル買いの要因となっている
・債務上限問題を巡る協議の行方次第では米ドル安を警戒しておきたい
・4月の米CPIと米ドル相場の展望について
・米ドル相場(ドルインデックス)のチャートポイントについて
米金利と米ドル相場の反発トレンドが続く
賃金の上昇を伴う堅調な労働市場の状況を示した4月雇用統計を受け、米債市場では利回りの反発基調が続いている。この米金利の動きに連動し、外為市場では米ドル買い優勢の状況にある。
今日は4月の米国消費者物価指数(CPI)が発表される。筆者が注目しているのは、変動の大きいエネルギーと食料品を除いたインフレ率-「コアCPI」の動向である。賃金インフレの根強さが確認されたタイミングで基調的なインフレの動向を示すコアCPIが市場予想を上回る内容となれば、米金利の上昇要因となろう。米金利の反発トレンドが続けば、外為市場では米ドル相場の反発トレンドが続くことが予想される。
米金利とドルインデックスのチャート
債務上限問題の行方次第では米ドル売りを警戒
今日以降、米国の債務上限問題に関する新たなヘッドラインで米ドル相場が上下に振れる可能性がある。
本日の日本時間の早朝にバイデン米大統領は連邦政府債務の上限引き上げを巡り、共和党のマッカーシー下院議長とホワイトハウスで会談した。しかし合意が得らないまま会談は終了し、12日に再協議する見通しになったとの報道が見られる。
この問題については、今後も新たなヘッドラインが流れるだろう。債務不履行(デフォルト)の可能性がある6月1日までに問題の解決に向けた政治的な妥協点が見いだせないとのヘッドラインが多く流れる場合は、「悪い金利の上昇」による米ドル安を警戒しておきたい。言い換えれば、債務上限問題がマーケットのメインテーマとして強く意識されているかどうかのバロメーターとして米ドル相場のトレンドを注視しておきたい。
米ドル相場のトレンドを示すドルインデックス(DXY)は現在、米金利の反発トレンドにサポートされ、21日MA(101.61レベル)をトライする状況が続いている。101.00ポイントで何度も反転している状況で4月の米国CPIが根強いインフレ圧力を示唆すれば、ドルインデックスは5月2日の高値102.40レベル、またはその上の水準102.67レベルで推移している50日MAを視野に反発トレンドが続くことが予想される。
一方、4月米CPIが米ドル売りの要因となれば、101.00のトライおよびブレイクを想定しておきたい。
4月米CPIが米ドル買いの要因となっても、現在は債務上限問題がくすぶっている。ゆえに米ドル買い(戻し)の展開が続いてもそのトレンドが一変することを警戒しておきたい。
実際に債務上限問題が外為市場のメインテーマに浮上する場合、ドルインデックスは重要サポートポイントの100.82レベル(23年1月安値)のトライおよびブレイクが焦点となろう。
ドルインデックスのチャート
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