円安進行の裏で米金利じわり上昇 2年物4.8% 地銀破綻前の水準へ
2年物米国債の利回りが3月の地銀破綻前の水準へと向かっている。米FRBの年内2度の利上げを市場が受け入れ始めたようにもみえる。
米国の金利がじわりと上がってきている。22日は2年物米国債の利回りが上昇し、105日ぶりの水準となる4.8%を記録した。利回りはシリコンバレーバンク(SVB)の経営破綻直前の水準に戻りつつある。また、22日は英国の中央銀行のイングランド銀行(BOE)がおさまらない物価上昇への対応策として0.5%の利上げを決定。米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長も利上げの必要性を繰り返した。こうした中で、外国為替相場では円安が進行している。
米2年物国債利回りは地銀破綻前の水準へ
金融情報会社リフィニティブのデータによると、22日の2年物米国債の利回りは前日よりも0.093ポイント高い水準。取引終了時点の利回りが4.8%以上となるのは、SVB経営破綻前日の3月9日(4.9%)以来だ。利回りはSVB破綻後に急低下し、ファースト・リパブリック銀行の経営破綻から3日後の5月4日には3.727%をつけた。しかしその後は、銀行システムへの過度な警戒感は徐々に和らぎ、利回りは上昇傾向をたどっている。
また、22日の金利上昇の背景には、英国での利上げ決定の影響もありそうだ。金融市場では利上げ幅は0.25%との見方が大勢だったが、前日に発表された5月の消費者物価指数(CPI)が予想を上回る強さだったことを受け、BOEは0.5%の利上げを決定。欧州中央銀行(ECB)も15日に0.25%の利上げを決めており、物価上昇の根強さと利上げの必要性が意識された。
米FRBの「年内2回利上げ」が浸透か
これに対して米FRBは約1年半ぶりの利上げ見送りを決めつつ、年内にあと2回の利上げがあり得るとのメッセージを出している。利上げ見送りが発表された14日に2年物国債の利回りが低下したことから、「市場はFRBが2回の利上げを行うとは信じていない」との見方も出ているが、このところの利回り上昇は、欧州の状況なども踏まえて市場がFRBの情報発信を受け入れ始めたようにもみえる。
こうした金融市場の動きは外国為替相場の動きにも反映されている。22日のニューヨーク外国為替市場のドル円相場(USD/JPY)は1.34円の円安ドル高。FRBのパウエル議長が上院銀行住宅都市委員会に出席し、改めて年内2回の利上げの可能性を強調したことが要因のひとつのようだ。また、ポンド円相場(GBP/JPY)でも円安ポンド高が進み、一時、1ポンド=182.54円をつけるなど、7年半ぶりの高値更新を続けている。日銀の金融緩和維持姿勢に変化が出ないとの見方が浸透していることも影響しているようだ。
ただ、米国債利回りの動向は今後も金融システムへの信頼性に左右される可能性がある。FRBの利上げは銀行が保有している債券の価値の目減りにつながり、SVBなどの経営破綻につながった経緯があるからだ。このところの米国債利回りの回復によって、6月の四半期末を控える銀行の財務状況が再び悪化している可能性もある。FRBは28日に資産規模1000億ドル以上の23銀行に対するストレステストの結果を公表する予定で、金融システムの健全性を図る試金石となりそうだ。
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