上昇幅が拡大する米金利 マイナス幅が縮小する実質金利 / ドル円 目先の展望は?
今年に入り、米金融引き締めペースの加速を意識し債券利回りの上昇幅が拡大している。この動きを受け、実質金利(10年)のマイナス幅も急速に縮小している。米国株は利回りの上昇リスクに直面中。ドル円は米金利と米国株、両にらみの展開に。目先のチャートポイントは?
上昇幅が拡大する米金利 マイナス幅が縮小する実質金利
【サマリー】
・FOMCを前に米債券利回りの上昇幅が拡大している。
・米債利回りの動きを受け、米実質金利のマイナス幅が急速に縮小している
・今の米金利の動きは米ドル相場のサポート要因となる一方、米国株のリスク要因
・ドル円の短期的な展望とチャートポイントについて
・上昇スピードが加速する米金利
18日の米国債券市場では、長期金利が2020年1月21日以来となる1.88%台まで上昇する局面が見られた。
米金融政策の方向性に敏感な2年債利回りも節目の1%を超え、一時1.058%まで上昇する局面があった。
今年に入ってから米金利の上昇幅が拡大しているが、この主因は、米金融引き締めペースが加速するという思惑(警戒感)にある。一部の市場関係者からは、今年の米利上げのペースについて「3回では足りない」と指摘する声が出てきた。また、今年3月の連邦公開市場委員会(FOMC)では、0.25%ではなく0.50%の引き上げが必要との見解もある。これらの思惑を反映するように短期金融市場では、今年4回の利上げを織り込む動きが見られる(今年12月時点の予想ターゲットレートは1.18%前後まで上昇中)。
直近の市場参加者の見解や現在の短期金融市場の動きは、「高インフレを抑制できないパウエルFRBは、いずれ金融引き締めペースの加速を迫られる状況に陥る」ことを予想している。
米金利のチャート
・急速にマイナス幅が縮小する米実質金利
米債市場の動きを受け、実質金利は急速にマイナス幅が縮小している。米長期金利の上昇で10年の実質金利は、昨年3月下旬以来となるマイナス0.6%台までマイナス幅が縮小中。米金融引き締めペースの加速観測でこの動きが続く場合、米ドル相場の上昇要因となろう。
一方、米国株にとって今の金利の動きは下落リスクの要因である。特に高PERのグロース株、そして四半期決算をミスする銘柄は下落の圧力に直面すると思われる。
米実質金利(10年)のチャート
ドル円 目先の展望は?
・ドル円は難しい局面に
米債利回りの上昇と実質金利のマイナス幅縮小は、ドル円(USDJPY)のサポート要因である。しかし、ドル円が持続的な上昇トレンドを維持するためには、株高の維持、特に米株高トレンドの維持も重要な要因である。
その米国株は昨日、総崩れとなった。S&P500指数(SPX)は50日線(EMA)で戻りが抑制され、短期サポートラインをあっけなく下方ブレイク。さらに100日線(EMA)をも若干ながら下回る水準で引けた。来週にFOMCを控えていることも考えるならば、直近の米国株は、金融引き締めペースの加速懸念と金利の上昇リスクが意識されやすい状況にある。
目先、ドル円が米金利の上昇(実質金利のマイナス幅縮小)と米国株の下落に挟まれる場合、短期的なレンジ相場に陥る可能性があろう。一方、米株安に米金利が低下で反応する局面では、ドル円の下値トライを想定しておきたい。
S&P500指数のチャート
・目先のチャートポイント
ドル円(USDJPY)の日足ローソク足を確認すると、昨日は米金利と米国株の動きを反映し十字線となった。今日も米国市場にらみの展開となるだろうが、テクニカル面での焦点は2つの移動平均線の攻防にある。
ドル円が上昇する場合は、昨日の上値トライを見事に止めた10日線(SMA、今日現在114.87レベル)の突破が焦点となろう。昨日の長い上ヒゲ(日足)は、10日線のレジスタンスとしての強さを示唆している。この移動平均線を上方ブレイクする場合は、昨日高値115.05レベルのトライおよび突破に注目したい。
一方、ドル円が反落する場合は、50日線(EMA、今日現在114.25レベル)の攻防が焦点となろう。米株安に米金利が低下で反応する場合は、50日線のトライを想定しておきたい。フィボナッチ・プロジェクション61.8%の水準114.49の下方ブレイクは、50日線トライのシグナルと想定しておきたい。なお、昨日は61.8%の水準で下値がサポートされた。
米金利や株式の動向を受けドル円が50日線をも下方ブレイクする場合は、114.00トライが次の焦点となろう。
ドル円のチャート
本レポートはお客様への情報提供を目的としてのみ作成されたもので、当社の提供する金融商品・サービスその他の取引の勧誘を目的とした ものではありません。本レポートに掲載された内容は当社の見解や予測を示すものでは無く、当社はその正確性、安全性を保証するものではありません。また、掲載された価格、 数値、予測等の内容は予告なしに変更されることがあります。投資商品の選択、その他投資判断の最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたしま す。本レポートの記載内容を原因とするお客様の直接あるいは間接的損失および損害については、当社は一切の責任を負うものではありません。 無断で複製、配布等の著作権法上の禁止行為に当たるご使用はご遠慮ください。
IG証券のFXトレード
- 英国No.1 FXプロバイダー*
- 約100種類の通貨ペアをご用意
* 英国内でのCFDまたはレバレッジ・デリバティブ取引(英国でのみ提供)での取引実績において、FX各社をメイン口座、セカンダリー口座として使用している顧客の割合でIGがトップ(Investment Trends UKレバレッジ取引レポート 2022年6月)
リアルタイムレート
- FX
- 株式CFD
- 株価指数CFD
※上記レートは参考レートであり、取引が保証されるものではありません。株式のレートは少なくとも15分遅れとなっております。