低下基調へ転じる米金利とその影響 / ドル円のチャートポイント
アメリカの長期金利と実質金利は、欧州の地政学リスクを受け低下(マイナス幅が拡大)基調へ転じている。この動向が米ドル相場に与える影響は?ドル円のチャートポイントは?詳細はマーケットレポートをご覧ください。
低下基調へ転じる米金利とその影響
【サマリー】
・米長期金利の1.9%割れが示唆すること
・欧州の地政学リスクとパウエルFRB議長の見解が焦点に
・米実質金利の動きが与える影響
・ドル円のチャートポイント
・1.9%を明確に下抜けした米長期金利 パウエル証言に注目
ロシアーウクライナ情勢が一気に緊迫化した先週以降、アメリカ長期金利の上昇は抑制されてきた。
そして昨日、これまでサポートのポイントとして意識されていた1.90%の水準および1.85%の水準を明確に下抜けてきた。昨日の低下により長期金利は、1.70%を視野にさらに低下するムードが出始めている。
アメリカ長期金利のチャート
対ロシア制裁の強化は、エネルギーの需給ひっ迫懸念を高める要因である。事実、北海ブレント(BRENT)は昨日、一時105ドル台へ上昇する局面が見られた。エネルギー価格の上昇は、欧州をはじめとした各国のインフレ圧力を高める要因となるだろう。
このような状況下でアメリカの長期金利が低下基調へ転じつつある状況は、ロシアーウクライナ危機(欧州の地政学リスク)が米国経済や世界経済に与える悪影響について、米債市場の参加者が意識していることを示唆している。
欧州の地政学リスクとそれが経済に与える影響についてパウエルFRB議長はどのような見解を持っているのか?この点が、今週のパウエル証言(2~3日、金融政策に関する半年に一度の議会証言)の焦点となろう。
欧州の地政学リスクとそれに伴う景気の先行きについて強い懸念をパウエル氏が示す場合、各マーケットは米金融引き締めのペースが緩やかにならざるを得ない状況へ転じていることを意識しよう。
なお、現在の短期金融市場では、3月の連邦公開市場委員会(FOMC、15~16日)でパウエルFRBが0.25%の利上げにとどめる可能性を90%と予想している。
また、今年12月末までの予想ターゲットレート(FFレート)は、1.45%前後まで低下している。一時1.7%台の水準まで上昇していたことを考えるならば、欧州の地政学リスクはパウエルFRBにマイルドな利上げを許す理由を与えたといえる。
・米実質金利の動きとその影響
上で述べたようにアメリカの長期金利は低下基調へ転じている。
それに伴い10年の米実質金利では再びマイナス幅が拡大している。この動きは、米ドル相場にとってネガティブに働こう。事実、昨日は円、ユーロ、ポンドそしてオセアニア通貨などの主要通貨で米ドル安優勢の局面が見られた。
一方、今の米金利の動きは、米グロース株にとってサポート要因となろう。事実、昨日のナスダック総合指数は前週比で小幅ながら反発して引けた。ナスダック100指数も同様の展開となった。
米実質金利のチャート
ドル円のチャートポイント
・上値のチャートポイント
ドル円(USDJPY)は、115円割れで買戻しが入る展開が続いている。上で述べたとおり、アメリカ長期金利が低下基調へ転じていることを考えるならば、ドル円の上昇幅が拡大する可能性は低下している。
目先、ドル円の上値ポイントは115.80レベルの攻防である。昨日は日足ローソク足で長い上ヒゲが示現し、115.80手前で見事に上昇が止められた。
また、このトレンドが2月14日から続いていることも考えるならば、市場参加者は115.80レベルをレジスタンスポイントとして意識していることがわかる。米金利と米国株が同時に上昇することが、115.80ブレイクの条件となろう。
・下値のチャートポイント
一方、米国株で強さが戻りつつあることはドル円のサポート要因である。米国株が大きく崩れない限り、ドル円の下落幅も限定的と予想する。このケースでは、2月の下旬以降、相場をサポートしている50日線(EMA)の維持が焦点となろう。
ドル円が50日線を下方ブレイクしても、フィボナッチ・リトレースメント61.8%の水準114.56前後で反転する展開を予想する。ロシアーウクライナ危機が意識された先月下旬に二度ほど61.8%をトライする局面が見られた。しかし、いずれも長い下ヒゲが示現し、短期サポートラインを維持した経緯がある。
ドル円のチャート
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