今週の注目材料 / ドル円とポンドドルの展望とチャートポイント
今週は多くの売買材料がある。なかでも注目度の高いイベントが、9月米雇用統計とFRBキーマン達の言動である。これらの内容次第で米金利と米ドル相場は上下に振れる展開が予想される。ドル円とポンドドルで注目しておいたいチャートポイントは?詳細はマーケットレポートをご覧ください。
今週の注目材料
【サマリー】
・多くの材料があるなかで市場参加者の関心を集めるのが9月米雇用統計
・米雇用統計の他FRBキーマン達の言動で米金利が上下に振れる可能性あり
・ドル円は144.90のブレイクと145円台の攻防が焦点に
・ポンドドルは反落リスクを警戒
・9月の米雇用統計と米金利の反応
今週は、米債市場と米ドル相場のトレンドに大きな影響を与える様々な材料(イベント)がある。
その中でも市場参加者の関心が最も高いイベントが、9月の米雇用統計だろう。現時点での予想を確認すると、非農業部門雇用者数変化は25.0万人(8月31.5万人)、失業率は3.7%(8月3.7%)、そして平均時給(前年同月比)は5.1%(8月5.2%)となっている。
米国の非農業部門雇用者数と失業率の推移
9月米雇用統計の前哨戦として注目されるのが、各ISM指数の雇用状況である。7月と8月は製造業と非製造業でともに雇用指数が上昇した。9月も同じ状況が確認される場合、非農業部門雇用者数変化は予想(25.0万人)を上回る可能性がある。
労働力の堅調な需要だけでなく、平均賃金の強い伸びも確認される場合、米国の債券市場では連邦準備制度理事会(FRB)による金融引き締めの長期化が意識され、利回りには上昇の圧力が高まる展開が予想される。
このケースでの外為市場は、米ドル高優勢の展開を想定しておきたい。米金利の上昇は株安要因となることから、オセアニア通貨や新興国通貨は対米ドルで売り優勢(リスク回避の売り)の展開が予想される。ユーロやポンドも対米ドルで下落する展開が予想される
一方、ドル円(USDJPY)は144.90レベルの突破と145円台の攻防シフトを想定しておきたい(9月米雇用統計前に145円台の攻防となる展開も想定しておきたい)。
9月米雇用統計が総じて予想以下となる場合は、一時的にせよ大幅利上げの観測が後退することで、米金利には低下の圧力が高まることが予想される。今回の米雇用統計の内容が米金利の低下圧力を高める場合、外為市場では上で述べた状況とは逆の展開となることが予想される。
ISM雇用指数の推移
・米金融政策キーマン達の言動
米国の経済指標以外で注目すべき材料は、米金融政策の方向性に大きな影響を与えるキーマン達の言動だろう。今週は彼らによる多くの講演などが予定されているが、経済情勢と金融政策について言及がある場合、それらの内容次第で米金利が上下に変動する可能性があろう。
本日は、バーキン米リッチモンド地区連銀総裁とジョージ米カンザスシティー地区連銀総裁の講演が予定されている。ボスティック米アトランタ地区連銀総裁は司会として討論会に参加する。
バーキン米リッチモンド地区連銀総裁は先月30日、インフレの悪化に対する警戒心を示すと同時に持続的な利上げの必要性について言及した。
一方、ジョージ米カンザスシティー地区連銀総裁は9月の連邦公開市場委員会(FOMC)を前に、景気の動向にも注意を払う必要性があるとし急速な金融引き締めに対して警鐘を鳴らす発言をした(ピーターソン国際経済研究所が開いたオンラインイベント)。
ボスティック米アトランタ地区連銀総裁は先月28日、11月のFOMCで0.75ポイントの利上げ、12月のFOMCでは0.5ポイントの利上げが必要になるとの見通しを示した。
ドル円の焦点は145円台の攻防で変わらず
・レジスタンスポイント144.90の攻防
英中銀(BoE)による臨時の国債購入を受け、一時3.7%を割り込む局面が見られた米国の長期金利(10年債利回り)だったが、先月29日と30日は反発した。上で述べた9月米雇用統計が予想以上に強い内容となる場合、そして米金融政策のキーマン達によるタカ派の言動が続く場合、長期金利は4%の水準を視野に再び上昇幅の拡大が予想される。
米金利の動きと強い相関関係にあるドル円(USDJPY)は、レジスタンスポイントとして意識されている144.90レベルのトライおよびブレイクを意識する状況が続こう。これを達成する場合は、145円台の攻防を想定しておきたい。
ドル円のチャート
・145円台では変動幅の拡大が予想される
ドル円(USDJPY)が145円台の攻防へシフトする場合は、再び円買い介入が実施される可能性がある。
介入に対する市場の警戒レベルが高いことも考えるならば、ドル円が145円台の攻防となる場合は、上下に大きく振れる展開を想定しておきたい。
先月22日の動きを参考にするならば、ドル円が145円後半の水準へ上昇する場合、第2弾の円買い介入(またはそれに対する警戒感)により、ドル円が急反落する可能性がある。実際にドル円が急反落する場合、特に円買い介入により急反落する場合は、先週相場をサポートし続けた144.00レベルの維持に成功するかどうか?この点に注目したい。
反落リスクがくすぶるポンドドル
・フィボナッチ・リトレースメント61.8%の攻防
英中銀(BoE)による無制限の国債購入(残存期間20年超の国債が対象 / 毎営業日実施)の措置により、英国の債券市場では金利の急騰リスクが後退している。
しかし、今回の緊急措置は10月14日までの予定である。トラス新政権が打ち出した減税政策とそれによる財政悪化の懸念、さらには政権に対する信認が揺らぐ可能性も考えるならば、英債券市場が再び不安定な状況に陥る可能性はくすぶり続けている。
また、上述した米金利の動きも考えるならば、ポンドドル(GBPUSD)は反落リスクを警戒する状況にある。
テクニカルの面でもこの点(=ポンドドルが反落する可能性)を示唆する動きが見られる。日足チャートで直近の動きを確認すると、9月の高安61.8%の水準1.1211レベルで相場の反発が止められている。
今日発表される9月の米ISM製造業景気指数が予想以上となる場合、米債市場では利回りに上昇の圧力が高まる可能性がある。また、今週は米金融政策キーマン達の言動で米金利の上昇幅が拡大する可能性もあろう。
ゆえに英債市場が落ち着いた動きを維持しても、米債市場の動き次第でポンドドルは反落の可能性がくすぶり続ける状況にある。
・短期レジスタンスラインを突破できない限り
ポンドドル(GBPUSD)がフィボナッチ・リトレースメント61.8%の水準を突破しても、8月から再び始まった下落トレンドを象徴する短期レジスタンスライン(今日現在1.14ミドルの水準で推移するライン)の突破が確認できない限り、テクニカルの面でもポンドドルの反落リスクを警戒する状況が続こう。
短期レジスタンスラインをトライするシグナルとして、目先は21日移動平均線(MA)の攻防に注目したい。このMAは今日現在1.13手前で推移している。直近の動きを確認すると、8月下旬や9月中旬にレジスタンスラインとして相場の反発を止めた経緯がある。
ポンドドルのチャート
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