WTI原油、上昇ペースは21年下期に減速へ 年平均は55ドルとフィッチ予想
フィッチはWTI原油の21年平均価格を1バレル=55ドルと予想した。ブレント原油については58ドルとしている。いずれも従来の見通しから引き上げた。一方、価格の上昇ペースは下期に減速するとみている。
フィッチ・レーティングスは、2021年のウェストテキサス・インターミディエート(WTI)原油の平均価格を1バレル=55ドルと予想した。北海ブレント原油については58ドルとしている。いずれも従来の見通しから引き上げた。需要の回復が予想以上であることと、産油国による供給の管理を理由に挙げた。一方、価格の上昇ペースは下期に減速するとみている。
フィッチの従来の21年の価格見通しはWTI原油が42ドル、ブレント原油が45ドルだった。
フィッチは17日付のリポートで、20年下期の景気の復調を背景にした原油需要の回復は予想を上回ったとし、各国で実施されたロックダウン(都市封鎖)や移動制限による打撃もさほど大きくはないとの見方を示した。
また、石油輸出国機構(OPEC)と主要産油国からなる「OPECプラス」による協調減産も価格の上昇をけん引したと指摘。これにより、原油の需給は20年下期に速いペースで均衡を取り戻したとフィッチは分析した。
OPECプラスは今月4日に現行の減産枠を4月も維持すると発表。これまで自主的に日量100万バレルの生産削減を実施していたサウジアラビアも減産を継続することで、在庫水準の正常化のペースが加速するとみる。
さらに目先はコロナワクチンの普及による良好なセンチメントや1兆9000億ドルの米追加経済対策が原油価格を支えると予想した。
22年以降の価格見通し
一方、21年下期から22年にかけて原油価格の上昇は鈍化するとし、22年の平均価格をWTI原油は50ドル、ブレント原油は53ドルと予想した。23年と24年の見通しについても22年と同水準とみている。
在庫水準がいったん正常化すれば、需給が大幅な不足や余剰に陥るのを回避するため、OPECプラスは需要に沿った生産を行うようになるとし、原油価格は50~60ドルのレンジ相場に移行すると予想した。
米国のシェールオイルについては、原油価格の回復にもかかわらず、コロナ禍前にみられた生産ペースを回復する可能性は低いという。シェールオイル業者はフリーキャッシュフローの創出、債務削減や株主分配、セクター統合などを重要視するようになっているためとしている。
また、主産国は将来的に足並みを揃えるのが困難になる可能性があるという。イラクやクウェート、ロシア、アラブ首長国連邦(UAE)は長期的な増産を計画している。実際、ロシアは増産を主張し、協調減産体制下の21年初めに生産枠の若干の拡大を認めさせた。サウジやUAEなどの一部の産油国は、コロナ禍前の時点ですでに産油量が生産能力を大幅に下回っていた。
今後のOPECプラスの議論は、エネルギーの転換や、一部からの増産の要求により複雑になる可能性があるという。
足元の原油価格
18日のニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)でWTI原油先物で期近の4月限は前日比4.60ドル(7.1%)安の60.00ドルちょうどで取引を終えた。
インターコンチネンタル取引所(ICE)で北海ブレント先物で期近の5月限は4.72ドル(6.91%)安の63.28ドルで終えている。
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