上昇フラッグと下降フラッグのチャートパターンを解説
テクニカル分析には、いくつかのチャートパターンがあります。なかでも上昇(ブル)フラッグと下降(ベア)フラッグは、実際のマーケットでよくみられるチャートパターンです。ここでは、フラッグとは何か?についてご説明します。そしてフラッグを使った取引戦略についても解説します。
上昇フラッグ / 下降フラッグとは?
上昇フラッグ(ブルフラッグやブリッシュフラッグ)と下降フラッグ(ベアフラッグやベアリッシュフラッグ)は、株式市場や為替市場でよくみられるチャートパターンです。これらのパターンは、フラッグを形成する前にある一定のトレンドが続くという特徴があります。テクニカル分析用語では、『コンティニュエーション・パターン』と呼ばれています。
以下では上昇フラッグと下降フラッグの見方、そして具体的な売買の水準を見つける方法についてお話します。
フラッグフォーメーションの構造
フラッグの基本的な考え方は以下となります。
1:はじめに上昇/下落のトレンドが発生する
2:その後に『1』のトレンドとは逆の値動きがゆっくりと続く『フラッグ』が発生する
上のチャートを見てください。最初に上昇トレンドが発生しています。その後に緩やかな下落トレンドが形成されています。
最初の上昇トレンドを『フラッグポール』といいます。
その後の下落トレンドを『フラッグ』といいます。
上昇フラッグのフォーメーション
上のチャートをみると、最初に上昇トレンド(フラッグポール)が発生しその後に緩やかに下落しています(フラッグ)。これは典型的な『上昇フラッグ』のかたちです。
上昇フラッグが示現した場合、注目すべきポイントがあります。
それは、フラッグのレジスタンスラインの突破です。これを『ブレイクアウト』といいます。
ブレイクアウトの発生は、上昇フラッグを形成するシグナルと判断します。
つまりブレイクアウトこそが、上昇トレンドが続くシグナルとなるのです。
このためフラッグを重視する投資家は、ブレイクアウトを確認した後に、買いを仕掛ける傾向があります。
では、ブレイクアウトの後に買いを仕掛けた後、利益確定の売りポイントはどのように考えるのでしょうか?
売りの水準を設定する際に参考となるのが、フラッグポールの上昇幅です。
上昇フラッグを重視する投資家は、フラッグポールの上昇幅を参考に、ブレイクアウト後の上昇幅を想定します。そして売り(利益確定)のポイントを設定します。
もちろん、相場がフラッグのレジスタンスラインを突破できないケースもあります。
この場合、価格は下落トレンドへ転じることがあります。
このためリスクヘッジを重視する投資家は、フラッグのサポートラインで逆指値注文(損失を限定させる注文)を入れます。そうすることで不意の下落による損失の拡大を防ぐことができるからです。
下降フラッグのフォーメーション
下降フラッグは、上昇フラッグとは逆の見方をします。以下で具体的に見ていきましょう。
下降フラッグの特徴は、下落トレンド(フラッグポール)の後に、相場が一時的に反発してレジスタンスラインとサポートライン(フラッグ)を形成することにあります。その後、サポートラインを下方にブレイクする(ブレイクアウト)場合、相場の下落トレンドが続いているシグナルと判断します。
下降フラッグを重視する投資家は、一時的な反発の局面で形成されたフラッグのサポートラインを下方にブレイクするかどうか(ブレイクアウトするかどうか)?この点に注目します。相場がサポートラインを下抜ける場合、売りを仕掛けます。
では、ブレイクアウトの後に売りを仕掛けた後、利益確定の買戻しポイントはどのように考えるのでしょうか?
買い戻しの水準を設定する際に参考となるのが、フラッグポールの下落幅です。
下降フラッグを重視する投資家はフラッグポールの下落幅を参考に、ブレイクアウト後の下落幅を想定します。そして、買い戻し(利益確定)のポイントを設定します。
フラッグのサポートラインの下方ブレイクに失敗するケースがあります。
この場合、価格は上昇トレンドへ転じることがあります。
リスクヘッジを重視する投資家は、フラッグのレジスタンスラインで逆指値注文(損失を限定させる注文)を入れます。そうすることで不意の反発による損失の拡大を防ぐことができるからです。
ボリュームパターンを用いた取引について
ボリューム(取引量)パターンは、フラッグパターンと連動して考えます。そうすることで、フラッグによる分析の正確性が高まると考えられるからです。
取引量を確認して下降フラッグを取引するケース
下降フラッグを重視する投資家は、最初にフラッグポールが形成される過程で取引量にも注目します。下落トレンドで取引量が多いということは、その銘柄に対して市場が弱気に見ていると判断できるからです。
次に、フラッグを形成する一時的な反発の局面での取引量にも注目します。反発の局面での取引量で買い意欲の動向を知ることができるからです。
上のチャートを見ると、フラッグポール(下落トレンド)の形成時に、取引量が増加していることがわかります。その後フラッグ(一時的な反発のトレンド)が形成されています。
フラッグが形成された時の取引量をみると、減少傾向にあることがわかります。この動きは、この銘柄について市場が弱気に見ていることを示唆しています。よって、フラッグを重視する投資家は、この銘柄が引き続き下落トレンドにあることを予想し、ブレイクアウト(サポートラインの下方ブレイク)を確認してから売りを仕掛けます。
ボリュームを確認して上昇フラッグを取引するケース
上昇フラッグを重視する投資家は、最初にフラッグポールが形成される過程での取引量に注目します。上昇トレンドで取引量が多いということは、その銘柄に対して市場が強気に見ていると判断できるからです。
次に、フラッグを形成する一時的な反落の局面での取引量にも注目します。反落の局面での取引量で売り意欲の動向を確認できるからです。
上のチャートを見ると、フラッグポール(上昇トレンド)の形成時に、取引量が上昇していることがわかります。その後フラッグ(一時的な反落のトレンド)が形成されています。
フラッグが形成された時の取引量をみると、低い水準で推移していることがわかります。これは、この銘柄に対して市場が強気に見ていることを示唆しています。よって、フラッグを重視する投資家は、この銘柄が引き続き上昇トレンドにあることを予想します。そしてブレイクアウト(サポートラインの下方ブレイク)が確認された後に買いを仕掛けます。
高ボリュームでのブレイクアウト
フラッグを重視する投資家は、ブレイクアウト時の取引量にも注目します。ブレイクアウトが発生する際に取引量が多いということは、それだけその銘柄に対して強気/弱気の投資家が多いと考えることができるからです。例えば、強気の投資家が多ければ、新たな上昇トレンドが発生する可能性が高いと考えます。ブレイクアウト時の取引量は、この点を確認するひとつの指標となります。
下のチャートは、上昇フラッグのパターンです。ブレイクアウト時の取引量が増加していることがわかります。これの動きは、新たな上昇トレンドが発生するシグナルとして捉えます。
もちろん下降フラッグでもブレイクアウトと取引量によって、新たな下落トレンドが発生するかどうか?を予想することができます。フラッグのサポートラインを下方ブレイクする時に取引量が増加していれば、新たな下落トレンドが発生するシグナルとして捉えます。
上昇フラッグと下降フラッグのまとめ
- フラッグは『コンティニュエーション・パターン』と考えられています
- 『フラッグポール』は『フラッグ』に先行するトレンドを表します
- 『フラッグ』は、フラッグポール後に発生する一時的な反転(コンソリデーション)のことです
- 上昇フラッグは、上昇のフラッグポール後に発生する一時的な反発です
- 下降フラッグは、下落のフラッグポール後に発生する一時的な反落です
- ブレイクアウト後の値幅は、フラッグポールの上昇/下落の幅で判断します
- 上昇フラッグで取引する場合、フラッグのサポートラインを損切りの水準と想定します
- 下降フラッグを取引する場合、フラッグのレジスタンスラインを損切りの水準と想定します
- ボリュームパターンは、新たな上昇/下落トレンドの発生を考える時の指標となります
- 上昇のフラッグポールが形成されている時に取引量が増加し、フラッグが形成されている時に取引量が減少するパターンは、新たな上昇トレンドが発生するシグナルとなります
- 下落のフラッグポールが形成されている時に取引量が増加し、フラッグが形成されている時に取引量が減少するパターンは、新たな下落トレンドが発生するシグナルとなります
- ブレイクアウト時に取引量が増加する場合、新たな上昇/下落のトレンドが発生するシグナルと考えます
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