スキャルピングの4つの投資戦略
スキャルピングの投資戦略と役立つインジケーターについて紹介します 。

スキャルピングとは?
スキャルピングとは、小さな価格の変動を利用し、短い時間でポジションの保有と決済を繰り返すことで、少額の利益を積み上げていく取引戦略です。
膨大な件数の取引をして利益の拡大を目指します。スキャルピングで避けなければならないのは、それまでに積み重ねた利益を相殺するほどの大きな損失を被る事態です。いかなる投資戦略の場合でも慎重な行動が必要ですが、特にスキャルピングでは投資戦略を崩さず着実に実行する自制心が重要です。
スキャルピングは少額の含み益を積み重ねる取引戦略なので、一度に大きな利益を狙うのはトレーダーには適していません。一方、この取引戦略はエントリーから決済までの時間が極めて短いため、予期せぬイベントが発生して大きな価格の変動に翻弄されるリスクが低いというメリットがあります。また、小さな値動きは市場のトレンドに関係なく発生するため、さまざまな状況で採用できる取引戦略といえます。
スキャルピングのための4つの戦略
- ストキャスティクスを使った戦略
- 移動平均線を使った戦略
- パラボリックSARを使った戦略
- RSIを使った戦略
ストキャスティクスを使ったスキャルピング戦略
まず、代表的なオシレーター系指標「ストキャスティクス」を使った簡単なスキャルピングのやり方を紹介します。ストキャスティクスは、ある一定期間で発生したレンジと現在の価格水準に着目した指標です。直近の価格レンジと現在の資産価格を比較することで、トレンドが反転するタイミングを見極めるために使われます。
ストキャスティクスは%K(下のチャート、黒ライン)と%D(下のチャート、赤ライン)の2本のラインで形成されています。これらのラインは相場の過熱感、具体的には買われ過ぎや売られ過ぎを判断するための参考となります。これら2本のラインが「80」以上まで上昇する場合は、買いの過熱感を示唆しています。この状況で%Kが%Dを上から下に抜ける場合は、売りのサインとなります。一方、2本のラインが「20」を下回る場合は、売りの過熱感を示唆していると考えます。この状況で%Kから%Dを下から上に抜ける場合は、買いのサインとなります。

上のチャートは北海ブレント原油の3分足チャートです。相場は上昇トレンドにありますが、レンジの下限「20」以下で%K(黒いライン)が%D(赤いライン)を上抜けたところが矢印で示されています。矢印のポイントが、買いポジションを保有するサインです。反対に、これら2本のラインがレンジ上限「80」を上回る水準へ達するか、%Kが%Dを下抜けたタイミング(デッドクロスといいます)では、買いポジションを決済するサインになります。
相場が下降トレンドのときは売りポジションで利益を狙います。ストキャスティクスの2本のラインが売られ過ぎの水準「80」以上に到達し、%Kが%Dを下抜けたタイミング(デッドクロス)で売りポジションを保有します。デッドクロスは買いポジションの清算と売りポジションのエントリーのサインになり得ます。

移動平均線を使ったスキャルピング戦略
次は移動平均線(MA)を使ったスキャルピングです。移動平均線はトレンドを把握するために使われるテクニカル指標です。2本の短期移動平均線と、1本の長期移動平均線を使用するのが一般的です。
下図はユーロ/ドルの3分足チャートですが、設定期間を5と20にした短期のMAと、設定期間を200にした長期のMAを表示しています。最初のチャートでは長期の200日MAが上昇し地合いの強さを示唆しています。短期の5日MAが20日MAを下から上に抜けるポイント(ゴールデンクロス)で、買いポジションを保有します。下図の矢印がその目安となります。

2つめのチャートでは長期の200日MAが下降トレンドを形成し、弱気相場を示唆しています。このケースでは、5日MAが20日MAを上から下に抜けたポイント(デッドクロス)で売りポジションを保有します。

移動平均線を使ったスキャルピングは、トレンドフォローを重視した取引戦略です。このため相場が急反落(急反発)する場合は、損失が生じる可能性が高まります。
スキャルピングは小さな利益を多く積み上げていく取引戦略です。相場の急変動により積み上げた利益が一瞬で消えることのないよう、ストップ注文(損切の指値注文)を活用して適切にリスク管理をすることが重要です。
パラボリックSARを使ったスキャルピング戦略
パラボリックSARはトレンドの転換に注目するテクニカル指標です。ポジションの保有や決済のタイミングを見極めるために使います。SARは「ストップ・アンド・リバーサル」の略で、チャート上に表示した点によって相場の方向性とトレンドが転換するタイミングを見極めます。
・SARが価格の下にある場合は、相場が上昇トレンドにあると考えます
・SARが価格の上にある場合は、相場が下落トレンドにあると考えます
・SARと価格の交差は、トレンドが転換するサインと考えます
下図はドイツ40(DAX)の5分足チャートです。SARが価格の下から上へ移動したら売りポジションを、SARが価格の上から下へ移動したら買いポジションを保有するサインと捉えることができます。

RSIを使ったスキャルピング戦略
RSI(相対力指数)は、ストキャスティクスと同じく買われ過ぎや売られ過ぎを判断する際に用いるオシレーター系の指標です。
下のチャートでは、短期と長期の移動平均線がいずれも上昇し強気相場にあることを示唆しています。上昇トレンドでは、一時的に下落する調整の局面があり、この時にRSIで買いのチャンスを探ります。具体的には、調整の反落局面でRSIが売られ過ぎの水準「30」まで低下し、その後上昇に転じた時が買いポジションを保有する良いタイミングであるといわれています。

買いポジションを保有した後、RSIが買われ過ぎの水準「70」まで上昇し下落トレンドへ転じる状況で、利益確定の売りを仕掛けるタイミングをはかります。

スキャルピングの注意点
スキャルピングを採用する場合は小さな利益を狙い、大きな利益はあえて目指さない自制心が求められます。また膨大な件数の取引を行うことからトレードに多くの時間を割く必要もあるため、常にチャートの前に張り付いて取引の機会を探る必要があります。このため、仕事などでトレードに十分な時間が取れない人は、スキャルピングは有効な取引戦略にはなりえません。トレードの時間が限られる人は長期間ポジションを保有すること(バイアンドホールド)で大きな利益を狙うなど、ご自身に合った投資戦略を選ぶことが重要です。
スキャルピングで継続的な利益を上げることは簡単ではありません。その原因として、膨大な数の取引を繰り返すことが挙げられます。取引を頻繁に行うトレーダーほど、早く資金を失う傾向があるとの調査もあります。
また、スキャルピングでは市場の急な動きに対して機敏に反応する瞬発力と、適切なタイミングを逃したときに取引を見送る、または保有ポジションの損切りを決断する潔さが求められます。スキャルピングでよくある失敗は、ストップロス(損切の指値)を設定しておらず、相場が反転(反発)した状況でずるずると損失を出してしまうことです。
一見、短期間で取引を完了させる手法は魅力的です。しかし、相場が急反転(急反発)する局面でロスカットされるリスクもあります。
スキャルピングで成果を得るには、自制心やリスク管理が大切です。しかし、すべてのトレーダーに向いた戦略とは言えません。長期的な視点でポジションを保有し、急がずに取引する方が良い結果を得られるケースがあります。
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