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モメンタムトレード戦略:初心者向けガイド

モメンタムトレードとは、トレンドの勢いを見て取引する戦略のことです。ここでは、モメンタムトレードについて詳細に解説いたします。

Source: Bloomberg

モメンタムトレードとは

モメンタムトレードとは、トレンドの勢いを見ながら取引することです。トレンドの勢いが強ければ強いほど、そのトレンドが今後も続くと予想して順張り戦略をとります。

例えば、アップル(AAPL)が高値を更新すると、多くのトレーダーや投資家の関心を集めます。高値を更新するということは、上昇トレンドに勢いがあること意味しているため、アップル株に注目しているトレーダーや投資家は買いを入れます。買いが買いを呼び、さらに株価が上昇することで、さらに多くのトレーダーや投資家の注目が集まり『ハーディング(トレーダーが多数派に従う傾向)』の状況となります。このハーディングが上昇トレンドの勢いを強めるというわけです。
しかし、あるマイナス要因-例えば世界経済の後退やさえない決算といったマイナス要因が発生すると、アップル株の上昇トレンドの勢いに陰りが出ます。これはモメンタムの転換を意味します。モメンタムトレードを重視するトレーダーや投資家は、モメンタムの転換を察知するとアップル株の買いポジションを清算します。売りが売りを呼ぶと、今度は下落トレンドが形成されます。

このようにモメンタムトレーダーは、トレンドの勢いが強い間は、そのトレンドに沿った取引をするというわけです。そして、そのトレンドの勢いに陰りが見え始めたら、保有しているポジションを清算します。
また、モメンタムトレーダーは、マーケットの天井や底を見つけようとはしません。取引の判断は、あくまでもトレンドの勢いにあります。

モメンタムを考える際は、以下に挙げる3つのポイントが重要となります。

  1. 出来高
  2. ボラティリティ
  3. 時間枠

出来高

出来高とは、期間中に成立した売買の数量のことです。『出来高は株価に先行する』といわれ、マーケットのトレンドの活況度合いを測る重要な指標となります。
このため出来高の動向は、モメンタムトレーダーにとって非常に重要です。モメンタムトレードでは、流動性の高さが取引の成否を分けるからです。出来高が多いということは、売買が活発に行われていることを示します。逆に流動性が低い場合は、売買が成立しにくい状況にあります。よってモメンタムトレーダーは、常に出来高のある市場や銘柄を選びます。

ボラティリティ

ボラティリティとは、株価や為替レートの変動幅のことをいいます。モメンタムトレーダーは、ボラティリティの高い市場や銘柄を好みます。あるトレンドが発生している状況でボラティリティが高まれば、そのトレンドがさらに勢いづくからです。トレンドが勢いづけば、売買のチャンスも増えます。
しかしボラティリティが高いマーケットでは、トレンドが急に反転するリスクを考える必要があります。このためモメンタムトレーダーは、ボラティリティが高い時に売買をする際は、トレンドの転換リスクを意識してリミット注文やストップ注文を入れます。こうすることで、思惑通りにマーケットが動く場合は利益を確保できます。一方、思惑とは反対の方向にマーケットが動いても、損失を限定することができます。特に後者のストップ注文は、リスク管理の観点で重要となります。

タイムスパン

モメンタムトレードのタイムスパン(どの程度続けるか)は、トレーダーのスタイルによります。ポジショントレードのように長期間ポジションを保有するスタイルを好むトレーダーもいれば、デイトレードやスキャルピングのような短期売買のスタイルを好むトレーダーもいます。

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一般的なモメンタム指標

モメンタムトレーダーが重視するのは、トレンドの勢いです。では、トレンドの勢いを確認するためにどんな方法を使っているのでしょうか?

それは『テクニカル分析』です。

ここからは、モメンタムトレーダーがよく使うテクニカル分析の指標について解説します。また、エントリー(売り買い)のタイミングについても解説します。

モメンタムトレードに使われる指標

  1. モメンタム指標
  2. 相対力指数(RSI)
  3. 移動平均線
  4. ストキャスティクス・オシレーター

モメンタム指標

モメンタムトレードで最も使われるテクニカル指標が『モメンタム』です。モメンタムは直近の終値と前日の終値を比較することで、トレンドの強弱を見極めるテクニカル指標です。

モメンタムは、0(チャートによっては100)を中心に1本のラインが上下するかたちでチャート上に描画されます。トレーダーは、モメンタムの数値でトレンドの強弱を測ります。例えば、昨日のモメンタムがプラス30で今日のそれがプラス50の場合、上昇トレンドに勢いがあると考えます。逆に昨日のモメンタムがマイナス30で今日のそれがマイナス50の場合は、下落トレンドに勢いがあると考えます。

トレーダーの中には、モメンタムを使ってエントリー(売り買い)のポイントを決める人がいます。しかし、ほとんどのトレーダーはトレンドの強さを確認するためにこの指標を使います。
例えば、上のチャートを見ると、0ラインを上回りモメンタムの水準が切り上がっている局面では、上昇トレンドに勢いがあると判断します。一方、0ラインを下回りモメンタムの水準が切り下がっている局面では、下落トレンドに勢いがあると判断します。

相対力指数(RSI)

相対力指数(RSI)はトレンドの強さを測ると同時に、売買のタイミングを決める際にもよく使われます。モメンタムと同じくRSIも1本のラインで描画されます。このラインは0から100の範囲で上下に動きます。RSIが70を上回る場合、その銘柄は『買われすぎ』と判断します。一方、RSIが30を下回る場合、その銘柄は『売られすぎ』と判断されます。

上のチャートを見ると、RSI70以上では『買われ過ぎ』を示す赤いラインとなっています。この時にトレーダーは、売りを仕掛けるタイミングかどうかを判断します。一方、RSI30以下では『売られ過ぎ』を示す緑のラインとなっています。この時にトレーダーは、買いを仕掛けるタイミングかどうかを判断します。
RSIに限らず、すべてのテクニカル指標に言えることですが、売買のシグナルが点灯してもそれが正しいとは限りません。テクニカル指標が示す方向とは逆の展開になることもあります。このためモメンタムトレードでは、他のテクニカル指標も合わせて使うことをおすすめします。

移動平均線

移動平均線(MA)は、ラインの向きや複数のラインの状況を比較してトレンドの強さを測るテクニカル指標です。上下のトレンドだけでなく、マーケットがレンジ相場となっているかどうか?を確認する際にも役立ちます。

例えば、上のチャートでは20日、50日、100日の各移動平均線(MA)が描画されています。どのラインも上昇しています。また、期間の短いラインほど上の水準にあることがわかります。これらの動向は、マーケットが強い上昇トレンドにあることを示しています。

移動平均線は遅行性のテクニカル指標です。このため、売買のシグナルは実際のマーケットが大きく動いた後に点灯します。
モメンタムトレードで移動平均線を重視する場合、多くのトレーダーは『ゴールデンクロス』または『デッドクロス』となっているかどうか?これらの点を確認します。期間の短いMAが期間の長いMAを上方にブレイクすることを『ゴールデンクロス』といいます。これは上昇シグナルとなります。一方、期間の短いMAが期間の長いMAを下方にブレイクすることを『デッドクロス』といいます。これは下落シグナルとなります。

ストキャスティクス・オシレーター

ストキャスティクス・オシレーター(以下ストキャスティクス)は、ある一定期間における株価や為替レートの変動幅と終値の関係から、トレンドの勢いを測るテクニカル指標です。『オシレーター系指標』のひとつであり、多くのトレーダーや投資家は相場の『買われすぎ』や『売られすぎ』を判断する時にストキャスティクスを使います。

ストキャスティクスは先行指標としての特徴を持つことから、価格の動向を予測するために使われることがあります。この指標は、チャート上に2本の線で描画されます。

  • インジケーターライン:0から100の間で変動するラインのことです。一般的に指標の値が80を超えると『買われすぎ』、20を下回ると『売られすぎ』と判断します
  • シグナルライン:0から100の間で変動するラインのことです。インジケーターラインの水準や動きと比較し、売買のタイミングやポイントを決める際に参考とするラインです

ストキャスティクスが80以上の水準まで上昇しても、その後20以下の水準まで低下しない場合は、相場の上昇トレンドが続くシグナルと捉えます。
例えば上の価格チャート(青ライン)は2017年10月以降、上昇トレンドを維持しています。ストキャスティクを見ると、80以上へ上昇する局面は何度も見られますが、20以下へ低下する局面は2度しかありません。このストキャスティクスの動きは、マーケットの上昇トレンドが続くシグナルと捉えます。

モメンタムトレードのまとめ

  • モメンタムトレードとは、トレンドの強さを重視した取引戦略です
  • モメンタムトレードでは、トレンドに従ってポジションを保有します。トレンドが転換したと判断した時、保有しているポジションを清算(反対売買)します
  • モメンタムトレードの重要な要素はボラティリティ、出来高、タイムスパンです
  • モメンタムトレードを好むトレーダーは、トレンドに勢いがあるかどうかを出来高の変化で確認します。出来高の多い市場や銘柄はそれだけ売買が活発に行われているため、トレンドが発生しやすい状況にあります。このため、モメンタムトレーダーに好まれます。
    一方、出来高の少ない市場や銘柄は流動性が低いことから、価格の変動幅も小さくトレンドが発生しにくい状況にあります。モメンタムトレードは、このような市場では適しません。
  • モメンタムトレーダーは、直近や現在の値動きを重視します。一方、長期的な成長やファンダメンタルズは重視しません
  • モメンタムトレードでは、RSI、移動平均線(MA)およびストキャスティクスが良く使われます

本レポートはお客様への情報提供を目的としてのみ作成されたもので、当社の提供する金融商品・サービスその他の取引の勧誘を目的とした ものではありません。本レポートに掲載された内容は当社の見解や予測を示すものでは無く、当社はその正確性、安全性を保証するものではありません。また、掲載された価格、 数値、予測等の内容は予告なしに変更されることがあります。投資商品の選択、その他投資判断の最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたしま す。本レポートの記載内容を原因とするお客様の直接あるいは間接的損失および損害については、当社は一切の責任を負うものではありません。 無断で複製、配布等の著作権法上の禁止行為に当たるご使用はご遠慮ください。

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