初心者向け デイトレードのやり方や始め方を解説
デイトレードはポピュラーなトレーディングスタイルです。ここでは、デイトレード初心者が知っておくべきことやコツ、戦略をいくつかご紹介します。
デイトレードとは?
デイトレードとは、金融商品の売買を1日で完結させる取引スタイルのことです。その日の終わりにはポジションを閉じ、次の日に新しい取引を開始します。デイトレーダーたちは、複数のアセット(株式、債券、商品、不動産など)を同じ日に売買し、市場の小さな動きから利益を得ようとします。また、これを同じ日に繰り返すこともあります。
日中の取引は、かなりの時間を取られてしまう上、集中しなければならないため、パートタイムトレーダーには向きません。特別なマインドセットも求められます。デイトレードには素早い決断が求められ、また小さめの利益の決済を何度も何度もすることになります。一般的な投資戦略といえば長期間にわたる価格の変動から利益を得ようとするものですが、デイトレードはこの対極にあると考えられています。
デイトレードに最適なマーケットとは?
デイトレードは、終値が固定されたマーケットと関連付けられますが、実際には24時間開いているマーケットでも行うことができます。結局マーケット選びは、自分が何に興味があるか、取引に使える金額に合っているかどうか、またどれくらいの時間をトレードに使いたいかによるといえるでしょう。
デイトレードに人気のマーケットには、株式、株価指数、FXなどさまざまなものが挙げられます。
1. 株式
株のトレードは、デイトレード初心者に人気があります。公正なマーケットにおいて、「ギャップリスク」と呼ばれるものを避けるために、1日の終わりにはポジションをクローズするのが一般的な方法です。たとえば、夜通し事態が変わるニュースやその他の要因により、会社の株価が前日の終値よりも大幅に高くなったり、または低くなったりするのを避けるのです。
2. 株価指数
株価指数のデイトレードは、市場の開いている時間に制限があることから、株式のトレードと似ているといえます。株価指数を取引する場合には、1つの会社ではなく、株式グループのパフォーマンスを推測します。例えば、FTSE 100は、ロンドン証券取引所において時価総額の大きな100社を表す指数です。したがって株価指数のデイトレードでは、株式市場においてよりエクスポージャーが大きくなることもあります。
3. FX
FXは、選べる通貨ペアの種類がたくさんあり、市場に流動性があるため売買がしやすいことから、デイトレード初心者に人気があります。FXは、ポジションのロールオーバーに関連する手数料を排除し、日をまたいだ市場の動きにさらされる危険を回避するためによく使用されます。
デイトレードの主なやり方
デイトレードは、「トレードを次の日に持ち越さない」というスタイルを決めているだけで、トレーディング戦略そのものではありません。一般的なデイトレーディング戦略には次の5つが挙げられます。
トレンドトレーディング
トレンドトレーディングは、資産価格の動く方向を研究し、そのトレンドが動く方向に応じて売買をすることによって利益を得ようとする手法です。
トレンドが上昇し、価格が高値を更新し続けている場合、買いポジション(ロングポジション)を取り、資産を購入します。トレンドが下降し、価格が低値を連続して推移している場合、トレーダーは売りポジション(ショートポジション)を取ります。
トレンドトレードは、トレンドが続く限りポジションをオープンに保つことができるため、デイトレーダーだけに使用されるわけではありません。ただし、「絶対デイトレードをしたい」と決めている場合は、日が終わる前に取引を終了します。
スイングトレード
スイングトレードとは、「価格はトレンド内で一方向だけには進まない」という仮定に基づいて、短い期間での価格パターンを活用することです。スイングトレーダーは、より短い時間枠で発生する上下の値動きの両方から利益を得ようとします。
トレンドトレーダーは、長期的な市場トレンドを活用しようとしますが、スイングトレーダーは、市場の価格変動の小さな反転をチェックします。これらの反転を事前に発見して、小さな市場の動きから利益を得るために取引しようとするのです。
スキャルピング
スキャルピングとは、小さな取引を繰り返すことで利益を積み上げていく短期取引戦略です。勝率を高め、何度も何度も小さな利益を積み重ねていくことで、大きな取引口座を構築することを目指します。スキャルピングには、取引額が小さい分、損失が広がるとせっかく得た利益を相殺してしまう可能性があるため、厳格な出口戦略が必要です。
また、日をまたぐことで発生するファンディングコスト(資金調達コスト)によって各取引から得た利益がすぐに減ってしまうため、スキャルピングでトレードをする場合は、一日が終わるまでにポジションをクローズすることが一般的です。
ミーン・リバージョン(平均回帰性)
ミーン・リバージョン(平均回帰性)は、価格、および価格収益率(P / E)比など他の価値の尺度が、大きく振れたとしても最終的には歴史的平均値に戻るという性質を表しています。
この戦略を取る場合は、移動平均などの技術分析を使用して、最近のパフォーマンスが過去の平均と大幅に異なる資産を探します。ミーン・リバージョントレーダーは、価格がそこから通常の軌道に戻ることを利用します。
マネーフロー
マネーフローインジケーターは、資産の価格だけでなくボリュームと価格の両方を使用して、資産が売られ過ぎか、買われ過ぎかを示すものです。
前日から当日までの取引数を比較することにより、マネーフローがプラスかマイナスかを判断します。この値が 80以上なら買われ過ぎの状態を示しており、トレーダーが売るためのシグナルになります。一方、20以下の場合は売られすぎの市場状況を示しており、購入の合図です。
デイトレードを始める前に知っておきたいこと
デイトレードに影響を与える要因を理解する
どんな市場でトレードを行う場合でも、デイトレードを始める前に、気を付けるべき重要なポイントがいくつかあります。また、実践的な取引スキルの習得には一般的に時間がかかるものです。
投資においては、長期的な市場の動きに焦点が当てられるため、日々の値動きは全体像にほとんど影響を与えません。ただし、日中取引を行う場合は、日中の市場行動に影響を与える可能性のある要因に焦点を合わせます。
例えば、次のようなものがあります。
・流動性
市場の流動性とは、ポジションがいかに簡単かつ迅速に出入りできるかということです。デイトレーダーにとって、流動性が高いことは非常に重要です。1日を通して複数の取引を実行する可能性が高いからです。
・ボラティリティ
資産のボラティリティ、つまり価格変動の速さは、デイトレーダーにとって重要な考慮事項です。日中に高いボラティリティが予想される場合、短期的な投資で利益を出すことのできるチャンスが大きくなります。
・取引量
資産の取引量は、特定の期間に売買された回数の指標となります。取引量が多いことは、トレーダーからの関心が高いことを示しており、取引のタイミングを識別するのに役立ちます。
デイトレードの方法を選択する
デイトレードを始めようとするなら、どの商品でトレードを行うのかを決めることが初めのステップです。CFDのようなデリバティブ商品は、原資産を保有する必要がないため、デイトレーダーによく選ばれています。これは、市場の価格が上昇しているか下降しているかをより素早く推測でき、ポジションをより速く開閉できることを意味します。
トレード計画を作成する
デイトレードを開始する前に、トレード計画を作成しましょう。何を達成したいのかを明確にし、自分で設定しているターゲットを現実的に落としこむことが重要です。初めから、すぐにたくさんの利益を得ることを期待していると、デイトレードに関係する急な学習曲線(ラーニングカーブ)に当たったとき、がっかりしてしまうかもしれません。
また、市場へ出入りするための方法論をどのように作成するのか、そしてこれがファンダメンタルズ分析に基づいているのか、テクニカル分析に基づいているのかを正確に検討することも重要です。ファンダメンタルズ分析を選択した場合、デイトレードにはマクロ経済データの発表、会社のレポート、ニュース速報をチェックすることが必要になってくるでしょう。一方、テクニカル分析を使用することにした場合は、チャートパターン、履歴データ、テクニカル指標などをチェックすることになるでしょう。
デイトレードのリスクを管理する方法を学ぶ
リスク管理戦略を立てることも、トレードを行う前に必要なステップです。最悪のシナリオを防ぐための対策を立てておくことにより、損失の可能性を最小限に抑えることができます。指値注文、逆指値注文などのリスク管理ツールを活用することもとても大切です。
成功しているトレーダーから、「負けたトレードはすぐに切って、収益性の高いトレードは走らせておく」、という話を耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。デイトレードにおいて、この考え方も重要です。成功しているトレーダーは「読みが失敗して負けてしまった量よりも、うまくいった量のほうが多く、結果的に利益を出しているのだ」ということを考えれば、トレーダーは、常に正しい選択ばかりをする必要はなく、間違っていたときにすぐに気づき、行動を起こすことが必要だとわかります。
トレーダーが高い勝敗比を狙うべきか、リスクリワードレシオをより注意深く見るべきかどうかは常に議論される問題です。成功しているデイトレーダーでも、勝率が40%を下回ることはよくあります。しかし、大体の人は少なくともリスクリワードレシオを1対2にする(リスクを負ってもよいと思える量の資金を2倍にする)ことを目標としています。トレードでミスをしてしまい、小さな損失を出してしまうこと自体は何も悪いことではありませんが、間違った選択をしたままで手を打たず、さらに大きな損失を出してしまうことにはくれぐれも注意したほうがよいでしょう。
最初のポジションを開いて動向をモニタリングする
取引計画に自信がついたら、取引を開始します。まず、口座を開設しましょう。ライブマーケットで取引する準備ができていない場合は、リスクのないデモ口座でポジションを開く練習をすることができます。 どの銘柄で取引をするかを選んだら、「売り」から入るか、「買い」から入るかを決めましょう。市場が上昇すると思われる場合は、「買い」を選択しますが、市場が下落することになると考える場合は、それを「売り」を選択します。
デイトレードでは、同じ日に複数の取引を開始したり、清算したりすることが多くなります。そのため、市場の価格に影響を与える可能性のあるイベントや、最新ニュースを常に把握しておくことが大切です。IG証券の提供している、「ニュース&分析レポート」もぜひ参考にしてみてください。
一日の終わりには、まだ実行している取引をすべてクローズします。この時点で最も大切なことの1つは、その日にオープンおよびクローズしたすべてのポジションの取引について、取引日記などに記録しておくことです。成功した取引と失敗した取引の記録を蓄積していきましょう。
初心者向け デイトレードの始め方についてのまとめ
デイトレードをこれから始めたいという人が、知っておくべき重要事項は次の通りです。
- デイトレードとは、同日中にポジションをオープン、およびクローズするトレーディング方法のことです。
- トレーダーは、このスタイルを使用して、スリッページのリスクを回避するか、日をまたいだ際に発生する資金の調達コストを回避することを選択します。
- 1日の中で多くの時間をさくことになるので、パートタイムのトレーダーは一般的にはデイトレードは行いません。
- デイトレードの一般的な市場には、株式、株価指数、FXなどがあります。
- デイトレードを始める前に、市場の流動性、ボラティリティ、取引量を考慮することが重要です。
- デイトレードの戦略には、トレンドトレーディング、スイングトレード、スキャルピング、ミーン・リバージョン、マネーフローなどがあります。
- 取引を開始する前に、取引方法、取引計画、リスク管理戦略の確立、最初のポジションの注文など、いくつかの重要なステップをチェックする必要があります。
デイトレード よくある質問
デイトレードを始めるにあたって、必要なことは何ですか?
まず、取引計画や自分なりのトレードルールを作ることが大切です。次に、取引を行うために口座を開設し、入金手続きをしましょう。
デイトレードには、特別なソフトウェアやアプリは必要ですか?
特別なソフトウェアやアプリは必要ありません。IG証券の口座を開設後、すぐに取引プラットフォームをご利用いただけます。取引プラットフォームは、Web版、スマートフォンアプリ版、タブレットアプリ版からお好きなものをご利用ください。
トレード上級者向けに、ProRealTimeチャートもご用意しております。
デイトレードで利益を出すことは可能ですか?
小さな利益を積み上げることで、利益をあげるチャンスはあります。どれだけの利益を得られるかは、戦略、利用可能な資金、リスク管理プランによって大きく異なります。
しかし、デイトレードには多くのリスクが伴うため、取引を開始する前に金融や投資に関する知識をつけておきましょう。デイトレードやその他のトレーディングスタイルについて詳しく知りたい方は、IGアカデミー(無料の学習コース。デモ口座または本口座の開設が必要です)をご覧ください。
デイトレードに掛かるコストは?
デイトレードであってもその他の取引であっても、コスト・手数料は変わりません。FX取引、CFD取引(株式CFDを除く)の場合はスプレッド、株式CFDの場合は手数料が掛かります。コスト・手数料の詳細についてはこちらのページをご覧ください。
デイトレードは日本では違法ではないのですか?
違法ではありません。デイトレードは、同じ日にポジションを注文し、決済をする取引スタイルのことです。しかし、信頼できるプロバイダー(証券会社)を利用しているか、確認することは重要です。IG証券株式会社は、金融庁より認可を受け、金融商品取引業者として関東財務局に登録。日本のルールに従いサービスを提供しております。IG証券についてさらに詳しくは、こちらをご覧ください。
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