FXのトレードスタイルを解説
FXには様々なトレードスタイルがあり、自分に適したスタイルを見つけることが成功の鍵となります。FXにおける主なトレードスタイル、分析手法、トレードの進め方などについてわかりやすく解説します。
FXのトレードスタイル6選 自分に合うスタイルを診断してみよう
FXの代表的なトレードスタイルは、スキャルピング、デイトレード、スイングトレード、ポジショントレード、アルゴリズムトレード、イベントドリブントレードの6つです。それぞれの特徴を理解し、どれが自分に合っているか診断してみましょう。
1. スキャルピング
トレード期間: 数秒から数分
トレーダーの特徴: 観察力、直感力、頭の回転の速さ
スキャルピングとは、数秒から数分の時間軸でポジションを保有するトレードスタイルであり、スキャルピングを行うトレーダーはスキャルパーと呼ばれます。FXのスキャルピング戦略では、1日のうちで最もにぎわう(流動性の高い)時間帯に小さな利益を得ることを目的とし、頻繁にトレードを行うことが大きな特徴です。
スキャルパーは常に新しい情報を処理し、市場の急激な変化に対応しなければならないため、観察力や直感力、頭の回転の速さ、そしてプレッシャーに負けないストイックさを兼ね備えていることが理想です。
2. デイトレード
トレード期間: 数十分から数時間
トレーダーの特徴: 観察力、直感力、頭の回転の速さ
デイトレードとは、数十分から数時間でトレードを完了するトレードスタイルであり、デイトレードをするトレーダーはデイトレーダーと呼ばれます。デイトレーダーは就寝前にポジションを必ず決済するため、就寝中に価格に打撃を与えるような悪材料が出ても、トレードの成績に影響はありません。
デイトレーダーとして成功するためには、価格の急激な変化に対応する準備が求められ、前日の終値と当日の始値のギャップから市場の状況を判断するなど、このトレードスタイルに重要なテクニックを認識しておく必要があります。
下の図は、スキャルパーやデイトレーダーが使用する5分足チャートの例で、典型的なデイトレードのエントリーとエグジットのポイントを示しています。これらのポイントは、RSI(相対力指数)のシグナルにもとづいており、チャート上では売られ過ぎ、買われ過ぎの部分が丸で表示されています。
3. スイングトレード【初心者が始めやすい】
トレード期間: 数日から数週間
トレーダーの特徴: 冷静さ、選択性、集中的
スイングトレードとは、数日から数週間にわたってトレードを継続するトレードスタイルであり、スイングトレードを行うトレーダーはスイングトレーダーと呼ばれます。スイングトレーダーは通常、ファンダメンタルズ分析よりもテクニカル分析を重視しますが、それでもボラティリティの引き金となる経済イベントには注意を払う必要があります。
スイングトレードは、短期間で頻繁に売買を行うスキャルピングやデイトレードに比べてゆっくりとトレードすることができるため、初心者や忙しいサラリーマン、主婦の方に適しています。ただし、チャート分析に関しては鋭い洞察力が求められます。
4. ポジショントレード
トレード期間: 数か月から数年間
トレーダーの特徴: 忍耐強い、システマティック、戦略的
ポジショントレードとは、数か月から数年間という長い期間にわたりポジションを保有するトレードスタイルであり、ポジショントレードを行うトレーダーはポジショントレーダーと呼ばれます。ポジショントレーダーはトレードスタイルの中で最も保有期間が長いため、資産の短期的な価格変動にはあまり関心がなく、より長期的な時間軸でのパフォーマンスを重視します。
FXのポジショントレーダーは、資金が長期間にわたって拘束されることが多く、忍耐力が必要です。特に長期的なトレードでは、ファンダメンタルズ要因を熟知していることが有利に働くため、高度な分析能力が求められます。
下の図は、ポジショントレーダーが使用する日足チャートの例で、ロングポジションを持ち、2か月以上後に決済していますが、これもチャート上に丸で囲んだRSIのシグナルにもとづいています。時間軸は日足ですが、ポジショントレーダーはトレンドをつかむために、より短い時間軸を使うこともあります。
5. アルゴリズムトレード
トレード期間: すべての時間軸
トレーダーの特徴: テクノロジーに精通、テクニカル、数学的
アルゴリズムトレードとは、最適な価格で売買をすることを目的としたコンピュータープログラムを用いるトレードスタイルであり、アルゴリズムトレードを行うトレーダーはアルゴリズムトレーダーと呼ばれます。アルゴリズムトレーダーは自分でプログラムを作成するか、または購入することでコンピューターを使った自動売買を行います。
このタイプのトレードは、テクノロジーに慣れていて、FXにそれを応用したいと考えている人に最適です。また、プログラムの性質上、アルゴリズムトレーダーはテクニカル分析も得意としています。
6. イベントドリブントレード
トレード期間: すべての時間軸
トレーダーの特徴: 知りたがり、分析力、先見性
イベントドリブントレードとは、テクニカル分析よりもファンダメンタルズ分析を判断材料として重視し、雇用統計やGDP、選挙などの政治的・経済的イベントによる暴騰や暴落から利益を得ようとするトレードスタイルです。イベントドリブントレードを行うトレーダーは、イベントドリブントレーダーと呼ばれます。
イベントドリブントレードは世界のニュースに関心があり、イベントが市場にどのような影響を与えるかを理解している人に向いています。イベントドリブントレーダーは知りたがりで好奇心旺盛、先見の明があり、新しい情報を処理し、世界や地域の出来事がどのように展開するかを予想する能力に長けています。
各トレードスタイル の難易度
トレードスタイルにはそれぞれ異なる難しさがあり、一般的には時間軸が長いほど難易度は下がります。なぜなら、冷静な判断をしてトレードをするための時間的な余裕があるからです。
例えば、スキャルピングやデイトレードと比べると、スイングトレードはより時間軸が長いため、トレードの難易度は低いということになります。また、アルゴリズムトレードは自動売買を設定する必要があるため、難易度は高くなりがちです。
イベントドリブントレードも国の経済状況や政治面などを分析することから、ある程度の知識や経験が求められます。そのため、初心者の場合は時間軸が長く、ファンダメンタルズ分析よりもテクニカル分析を重視するスイングトレードが向いています。
デモ口座でトレードスタイルのテストをしよう
初心者が自分に適したトレードスタイルをすぐに見つけ、それを理解することは難しいため、まずはデモ口座で試してみましょう。IG証券の無料デモ口座では、仮想の資金を利用して、本番さながらの環境でトレードの練習を行うことができます。
仮想の資金を利用するため、予想通りのトレード結果にならなかったとしても自分の資金が減ることはありません。デモ口座で自分に合ったトレードスタイルを見つけ、それに慣れてから本番口座に移行するとよいでしょう。
FXの主な分析手法は2種類
FXの主な分析手法は、ファンダメンタルズ分析とテクニカル分析の2つです。この2種類の分析手法は、相場の動向をつかむ上で必須と言えるでしょう。簡単に言えば、ファンダメンタルズ分析は経済指標、テクニカル分析はチャートを使って分析を行います。
FXトレーダーの多くは、各分析手法のメリットとデメリットを理解し、トレードに活かしています。それぞれの分析手法をしっかりと理解し、FXの上達につなげましょう。
ファンダメンタルズ分析とは?
FXにおけるファンダメンタルズ分析とは、国の経済状況や財政状況、金融政策、政治的な要因などを基に、今後の通貨ペアの値動きを予測する手法になります。「ファンダメンタルズ」とは、経済の基礎的条件という意味の言葉です。
ファンダメンタルズ分析では、通貨ペアを構成する国や関係のある国の経済指標や要人発言などをチェックします。それによって、結果的に通貨にどのように影響するのかということを分析するのです。
しかしながら、初心者にとっては、経済指標や要人の発言が通貨ペアに与える影響を分析するのは難しい場合があります。これらを正しく理解するためには、ある程度の専門知識が求められるためです。
したがって、初心者トレーダーはファンダメンタルズ分析の勉強をしつつ、まずは習得しやすいテクニカル分析を使ってトレードをしていくとよいでしょう。
テクニカル分析とは?初心者でも使えるシンプルな手法一覧
テクニカル分析とは過去の値動きを表すチャートを分析し、今後の値動きを予測する分析手法です。チャートには過去の値動きが示されており、その中から法則性を見つけてトレードを行います。テクニカル分析は主に「トレンド分析」と「オシレーター分析」の2種類に分けられます。
チャートには一般的に「ローソク足」と呼ばれる、「実体」と「ヒゲ」でできたものが表示されます。ローソク足でまず理解すべきなのは、始値、高値、安値、終値という4つの価格を表しているということです。
ローソク足は大きく分けて「陽線」と「陰線」の2つに区別され、始値よりも終値の方が高い場合を陽線と呼びます。一方、始値よりも終値の方が低い場合が陰線です。つまり陽線と陰線が分かれば、始値と終値のどちらが高かったかを一目で判断することができます。
また、ローソク足1本で描く時間は様々であり、分足から日足、週足、月足、年足などがあります。ローソク足の見方が分からなければ過去の値動きがつかめないため、テクニカル分析よりファンダメンタルズ分析を重視する場合であっても、最低でも見方はマスターしておくとよいでしょう。
価格の流れを見極める「トレンド分析」
FXにおけるトレンド分析とは、相場における価格の動きがどのような流れになっているのかを分析する手法です。一見すると複雑に思える為替レートの動きですが、チャートのパターンは「上昇トレンド」、「下降トレンド」、「横ばい(レンジ)」の3種類しかありません。
上昇トレンドのときに買い注文を出し、下降トレンドのときに売り注文を出すという「順張り」がFXの基本であることを考えると、トレンドの見極めはとても重要です。トレンド分析の手法は多数ありますが、例えば移動平均線や一目均衡表などのテクニカル指標を用いることで相場の動向を把握することができます。
トレンド分析は主にトレンドを見つけるための手法であるため、順張りによるトレードに役立つことを覚えておきましょう。トレンド分析でよく使われるテクニカル指標(インジケーター)についてはこの後紹介していきます。
- 移動平均線
移動平均線(Moving Average)とは、一定期間の終値の平均値をつなぎ合わせた折れ線グラフであり、トレンド分析の代表格です。よく使われる移動平均線は単純移動平均線(SMA)と呼ばれ、その他にSMAよりも直近の価格に比重を置いた指数平滑移動平均線(EMA)や加重移動平均線(WMA)などがあります。
この2つはSMAと比較して値動きに敏感に反応するため、売買シグナルが早く出やすいのが特徴です。ただし、売買シグナルが早く出るため、分析とは異なる方向に相場が動いてしまう「ダマシ」になりやすい点には注意が必要になります。
移動平均線は2~3本を組み合わせて使用することが多く、短期移動平均線が長期移動平均線を上抜ける「ゴールデンクロス」や、短期移動平均線が長期移動平均線を下抜ける「デッドクロス」が売買シグナルとして有名です。
- 一目均衡表
一目均衡表は、日本の株式評論家である細田悟一氏(ペンネーム:一目山人)によって作られたテクニカル指標です。「相場は買い方と売り方の均衡が崩れた時に大きく動くため、どちらが優勢か分かればよく、それを一目で知ることができる」という考えからこの名前が付けられました。
一目均衡表は日本ではもちろん、海外でも人気が高いテクニカル指標の一つです。転換線・基準線・先行スパン(2本)・遅行スパンといった5本の線を使い、時間論・波動論・値幅観測論の3つの理論から構成されています。
中でも基準線が重要であり、基準線と転換線のクロスを移動平均線のクロスのように使います。
- ボリンジャーバンド
ボリンジャーバンドは、移動平均線と標準偏差で構成されており、中心にある移動平均線とその上下に値動きの幅を示す線を加えたテクニカル指標です。「価格の大半がこの帯(バンド)の中に収まる」という統計学を応用して作られています。
ボリンジャーバンドの特徴は、バンドが収束と拡散を繰り返していることであり、この動きに合わせて順張りと逆張りそれぞれのトレードで使うことが可能です。順張りは、バンドからローソク足が飛び出たタイミングでトレンド方向にエントリーします。逆張りでは、移動平均線の上下にある線をサポートラインやレジスタンスラインと考え、線の近くにローソク足が来たら逆張りでエントリーをするのが一般的です。
ボリンジャーバンドは順張りと逆張りの両方で使われていますが、考案者であるジョン・ボリンジャー氏は順張りでの使用を推奨しています。
相場の過熱感を見極める「オシレーター分析」
オシレーター分析とは相場の過熱感、つまり「買われすぎ」や「売られすぎ」という状況を見極めるための分析方法です。トレンド分析では売買のタイミングが決められない相場の動きが弱い状況、つまりレンジ相場で効果を発揮します。トレンドのような長期的な変化ではなく、その時点での売買の強弱という短期的な分析が可能です。
また相場の転換点を予測し、大きな利益を得ることもできます。例えば、相場に上昇トレンドが発生していた場合、オシレーター系のテクニカル指標が買われすぎのサインを出していれば、下降トレンドに転換すると判断して売りを狙うのです。
オシレーター分析とトレンド分析を併用することで、より細かな分析ができるようになります。
- RSI
RSIとはオシレーター分析に使われるテクニカル指標の一つであり、「Relative Strength Index」の頭文字をとった略語です。日本語では「相対力指数」と呼ばれます。
RSIの計算式は非常にシンプルで、過去一定期間の上げ幅(前日比)の合計を、同じ期間の上げ幅の合計と下げ幅の合計を足した数字で割って、100を掛けるだけです。いくら値上がり、値下がりしたかはRSIでは判断できませんが、数値が0~100の間で表されるため、非常に分かりやすくなっています。一般的にRSIの数値が70~80%以上で買われすぎ、20~30%以下で売られすぎと判断されます。
- MACD
MACDとは「Moving Average Convergence Divergence」の略であり、「マックディー」と読みます。日本語では「移動平均収束拡散法」と呼ばれます。MACDは移動平均を発展させた、より精度の高い分析ができるテクニカル指標です。
MACDでは2つの移動平均線を使用し、買いと売りのタイミングを判断します。移動平均線は一般的に使用される単純移動平均線(SMA)とは異なり、直近の価格の比重を重くした指数平滑移動平均線(EMA)が使用されます。
MACDは数あるテクニカル指標の中でも比較的精度が高いとされ、オシレーター系のテクニカル指標ではあるものの、主にトレンドの方向性を認識するのに活用されています。
FXでは手法がいらない?
「FXでは手法がいらない」という意見を耳にすることがありますが、これは大きな誤解です。なぜなら、手法を使わずにトレードをするということは勘を頼りにトレードをすることを意味するからです。
「手法は不要」と考える人は、FXを「上がるか下がるかのギャンブル」だと思っていることが多いようです。しかし、根拠の無いトレードでは、安定して利益を積み重ねていくのは非常に困難です。
そのため、手法は絶対に必要であるということを理解し、根拠にもとづいたトレードをするように心がけましょう。
IG証券でFXや株を取引する方法
- ライブ口座または無料デモ口座を開設する
- 通貨ペアについて調べる
- FX口座を選択し、トレードしたい通貨ペアを選ぶ
- 「売り」または「買い」、ロット数を選び、必要に応じて指値・逆指値注文を入力する
- ポジションを保有する
まとめ
ここまで、様々なトレードスタイルや手法などについて解説してきました。FXには多くのトレードスタイルがあり、自分自身の性格やライフスタイルに合ったトレードスタイルを見つけることが重要です。自分に合ったトレードスタイルが見つかったら、手法についても探してみましょう。
トレードスタイルや手法に自信が持てない方や、本番のトレードを始める勇気が持てそうにないという方は、デモ口座でトレードをしてみてください。デモ口座であれば、本番とほぼ同じ環境で、ノーリスクでトレードをすることが可能です。また、ライブ口座を使って、少額からトレードを始めてみるのもよいでしょう。
焦らずに自分にぴったりのトレードスタイルを見つけることが、FXで成功するためのキーポイントです。
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