【米国株決算】ハイテク決算でAI相場の持続性見極めへ、メタ4Q決算　焦点は業績見通し

記事の概要

今週は、マグニフィセントセブンに名を連ねる大手ハイテク企業の四半期決算が相次ぐ。AI投資に注力しているメタ・プラットフォームズが29日に2024年10－12月期（第4四半期）の決算を発表する。マグニフィセントセブンのなかでも現在「勝ち組」にある同社の決算と株価の動向は、AI相場のトレンドに大きな影響を与えるだろう。焦点は業績の見通し（ガイダンス）にある。

目次

• 強気相場の米国株、今週はハイテク決算にらみの1週間に
• メタ29日に4Q決算を発表、増収増益の見通しAI相場の持続性に影響
• 焦点は業績の見通し、巨額投資に見合うだけの利益成長が描けるか？
• メタの株価見通し、700ドル突破かサポートラインの維持か

強気相場の米国株、今週はハイテク決算にらみの1週間に

米国株は再び強気相場にある。S&P500は先週およそ1か月半ぶりに最高値を更新した。株高をけん引したのが大手ハイテク株だった。アメリカのトランプ大統領が21日、人工知能（AI）開発の巨額投資を発表したことを受け関連銘柄に買いが入った。

トランプ米政権がAI開発に注力する姿勢を示していることで、AI相場に再燃の兆しが見られる。しかし、その持続性は今週に相次いで発表されるハイテク決算次第となろう。ブルームバーグによれば、ハイテク企業の利益は約2年ぶりの低い伸びになることが予想されているという。投資家の期待を下回る内容が続けば、強気相場に水を差すだろう。一方、投資家の期待に応える決算内容が続けば、さらなる米株高が予想される。

メタ・プラットフォームズの4Q決算は増収増益の見通し、ＡI相場の持続性に影響

29日の取引終了後にメタ・プラットフォームズ（META）が2024年10－12月期（第4四半期 / 4Q）の決算を発表する。ブルームバーグがまとめたアナリスト予想によれば、売上高は前年同期比で17.02%増の496.36億ドル、一株利益（EPS）は同比26.78%増の6.76が見込まれている。

堅調な広告収入が、増収増益に貢献すると予想されている。ブルームバーグがまとめた予想によれば、4Qの広告収入は前年同期比で18.02%増の456.82億ドルと、堅調な伸びが期待されている。TikTokの規制をめぐる不確実性を広告収入が相殺し、営業利益は同比22.64%増の200.9億ドルが見込まれている。

メタ 売上高と一株利益の推移および4Q予想：四半期ベース 2022年以降

ブルームバーグのデータで筆者が作成 / 赤の棒グラフ：4Qアナリスト予想：1月27日時点

焦点は業績の見通し、巨額投資に見合うだけの利益成長が描けるか？

焦点は業績の見通し（ガイダンス）となろう。マーク・ザッカーバーグ最高経営責任者（CEＯ）は24日、2025年に人工知能（AI）関連のプロジェクトに最大で650億ドルの投資を表明した。ブルームバーグがまとめた517億ドルを上回る巨額の資金を大規模データセンターの新設と人材の採用拡大に振り向けるという。

コロナパンデミックが発生した2020年以降、メタの設備投資額は増加一途にある。特に2024年以降、その動きが加速している。この傾向は、AI事業で生き残りを賭けた同社の危機感を示唆している。

メタ 設備投資の動向：年次 2015年以降

ブルームバーグのデータで筆者が作成 / 2025年予想（ブルームバーグ）：1月27日時点

投資家の関心は巨額の投資に見合うだけの利益を挙げることができるのかどうか？この点に集中している。ゆえに決算の焦点は、業績の見通し（ガイダンス）にある。2025年1－3月期（第1四半期 / 1Q）の業績見通しは以下のとおり。

4Q決算と業績見通しがともに投資家の期待を上回る場合、メタの株価は「株価見通し」の項目で取り上げているレジスタンスラインを視野に上昇幅の拡大が予想される。

現在、マグニフィセントセブンのなかでメタは「勝ち組」に位置する。1月24日時点で年初来の上昇率は10％を超え、他の銘柄と比べてその好調さが際立っている。そのメタの株価が決算で上昇すれば、他のAI関連銘柄の押し上げ要因になり得る。ハイテク株比率の高いナスダック100も強気相場を維持することが予想される。

2025年1－3月期（第1四半期）の業績見通し
・売上高 ：5.51ドル（前年同期比16.94%増）
・一株利益：417.06億ドル（前年同期比14.40%増）
・営業利益：163.86億ドル（前年同期比18.58%増）

ブルームバーグのデータで筆者が作成 / 1月27日時点のアナリスト予想

メタ・プラットフォームズの株価見通し

好決算なら700ドルが視野に
2024年7月を境に、メタ・プラットフォームズ（META）の株価は上昇トレンドへ転じている。短期（10日線）、中期（50日線）そして長期（200日線）の各移動平均線が上から順に並び、かつ上向き基調のパーフェクトオーダーにある。日足のMACD とモメンタムも強気相場に勢いがあることを示唆している。4Q決算が投資家の期待を上回る場合は、強気相場の勢いが増すだろう。

まずは、660ドルとフィボナッチ・エクステンション100％の水準669.35ドルの攻防に注目したい。後者のテクニカルラインを完全に突破すれば、700ドルが視野に入ろう。フィボナッチ・チャネル100％ラインの突破は、700ドルをトライするサインと捉えたい。
株価が700ドル台へ到達すれば、フィボナッチ・エクステンション161.8％の水準724.57ドルのトライが焦点に浮上しよう。

レジスタンスライン
・724.57：フィボナッチ・エクステンション161.8％
・700ドル：レジスタンスライン
・680ドル台：フィボナッチ・チャネル100％ライン
・669.35ドル：フィボナッチ・エクステンション100％
・660.00ドル：レジスタンスライン

さえない決算なら期待はく落の急落も、サポートラインの維持が焦点に
4Q決算、特に業績見通し（ガイダンス）が投資家の期待を下回る場合は、期待先行で上昇してきた反動で、メタの株価は急落する可能性がある。

決算が株安要因となる場合、まずはサポートラインとして意識されている10日線の維持が焦点となろう。この移動平均線を下方ブレイクする場合は、50日線の維持が次の焦点となろう。この移動平均線の攻防は、600ドルの維持を見極める攻防となろう。

だが、10日線の下方ブレイクでより注目したいのがトレンドチャネルの下限、短期サポートラインの維持である。このラインは今週590ドル台で推移する。9月以降の上昇トレンドを象徴するラインだけに、50日線以上に重要な支持線である。このテクニカルラインの維持に成功する場合は、上昇トレンドを維持するサインとなろう。

サポートライン
・618.35ドル：10日線（1/24時点）
・599.79ドル：50日線（1/24時点）
・590ドル台：トレンドチャネルの下限

メタの株価チャート

日足：2024年7月以降

出所：TradingView