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米CPIが促す株高、さらなる高みを目指すナスダック100、次の上値は?

15日に発表された4月の米国消費者物価指数(CPI)は、前月から鈍化した。インフレが鈍化の傾向にあることが確認されたことで、短期金融市場では9月利下げの確率が60%台まで上昇した。米債市場では利回りが急低下した。主要な株価指数は最高値を更新した。ナスダック100は、新たな局面へシフトするムードが高まっている。次の焦点は?


サマリー

・4月の米CPIは米株高の要因となり、ナスダック100は最高値を更新した
・米金利とラッセル2000の動向は、もう一段の株高の可能性を示唆している
・ナスダック100の上昇局面での焦点は、3つの上値ポイントに注目したい
・一方、反落の局面では、18,465レベルのサポート転換を確認したい


米CPIが金利と利下げ観測に与えた影響

米労働省が15日に発表した4月の消費者物価指数(CPI)は、前年同月比の上昇率が3.4%と3月の3.5%から低下した。同比のコア指数(エネルギーと食品を除いた指数)も3月の3.8%から3.6%へ低下した。

インフレの鈍化傾向が確認されたことで、米債市場では長期金利が急低下した。短期金融市場では9月の利下げ確率が60%台まで上昇した。

米国 消費者物価指数(CPI)と9月利下げ確率の推移

米国 消費者物価指数(CPI)と9月利下げ確率の推移 ブルームバーグのデータをもとに筆者が作成 / CPI:16日午前7時時点の予想

ナスダック100は最高値を更新、新たな局面へシフト

米金利の低下と利下げ期待の高まりを受け、15日の主要な米株価指数はそろって最高値を更新した。特にナスダック100(NDX)は前日比で約1.5%上昇し、一気に18,600ポイント台の攻防へシフトする状況にある。

ナスダック100の動向を日足チャートで確認すると、10日線と50日線でゴールデンクロスを形成している。そして昨日は、3月21日の高値18,465レベルを大陽線で一気に上方ブレイクした。さらに日足のモメンタムは、強気相場の勢いが増していることを示唆している。

これらのトレンドを考えるならばナスダック100は、新たな上値の水準を見極める局面へシフトしたと考えられる。

ナスダック100のチャート:日足 23年12月以降

ナスダック100のチャート:日足 23年12月以降 TradingView提供のチャートで作成

米金利とラッセル2000の動きが示唆すること

長期金利と実質金利の低下

ナスダック100(NDX)は短期的な相場の過熱感(買われ過ぎ)が意識されやすい状況にある。ゆえに調整の反落は見られるだろう。だが、短期的にもう一段上値をトライすると筆者は予想している。

そう考える理由が2つある。一つは、米債市場の動きである。

下のチャートで米長期金利(10年債利回り)のトレンドを確認すると、昨秋の高水準を突破することなく、再び低下していることが分かる。

注目すべきは、インフレを考慮した実質金利の動きである。米長期金利の低下に連動し、実質金利も昨秋の高水準を目指すことなく低下のムードが強まっている。長期(実質)金利の動きは米国株のトレンドを大きく左右する。その金利の上昇が抑制され低下基調へ転じている状況は(下のチャート、トレンドラインを参照)、ハイテク株比率の高いナスダック100の下支え要因となろう。

米国 長期(実質)金利の動向:日足:23年以降

米国 長期金利の動向:日足:23年以降 ブルームバーグのデータをもとに筆者が作成


ラッセル2000が示唆する米国株の強さ

もう一つの理由が、ラッセル2000(RUT)の動向である。この株価指数は中小型株の代表的な指数である。中小型株で構成されているため、市場の先行きリスクが意識される局面では、他の米株価指数に先んじて下落する特性がある。「炭鉱のカナリア」と呼ばれるゆえんである。

そのラッセル2000のトレンドを日足チャートで確認すると、4月の下落相場を脱し、再び上昇トレンドへ回帰していることが分かる。

テクニカルの面では10日線と50日線がゴールデンクロスを形成している。そして日足のモメンタムは、強気相場に勢いが増している状況を示唆している。ナスダック100と同じ状況である。

つまり現在の状況は、マグニフィセントセブンのような大型株だけでなく中小型株にも投資資金が流入している動きを示唆している。そして「炭鉱のカナリア」に変調が見られない今の状況(上昇トレンド)は、米国の株式市場が短期的なリスク選好相場の状況にあることを示唆している。

ラッセル2000のチャート:日足 23年12月以降

ラッセル2000のチャート:日足 23年12月以降 TradingView提供のチャートで作成


ナスダック100、目先の焦点とチャートポイントは?

ナスダック100(NDX)が上昇トレンドを維持する場合、3つの点に注目したい。

ひとつは、昨日の上昇を止めた18,600ポイント台へしっかりと上昇するかどうか?である。この状況が確認される場合、次の焦点は19,000ポイントのトライ&ブレイクとなろう。

ナスダック100が19,000ポイントの攻防となる場合は、N計算値の水準19,200ポイントの攻防に注目したい(下のチャート、緑ラインを参照)。

一方、ナスダック100の反落局面では、3月21日の高値18,465ポイント前後がサポートの水準へ転換するかどうか?この点を確認したい(下のチャート、赤ラインを参照)。この水準で相場の反落が止められる場合は、地合いの強さを市場参加者に印象付けよう。

ナスダック100のチャート:日足 23年12月以降

ナスダック100のチャート:日足 23年12月以降 TradingView提供のチャートで作成

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