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米国株、強まる騰勢ムードもマグニフィセントセブンの上昇は抑制気味 S&P500は調整売りを警戒

23日に最高値を更新したS&P500。しかし短期的な過熱感が高まっている。週末を控えた今日は調整売りを警戒したい。

Source:Bloomberg Source:Bloomberg

記事の概要

米国株の騰勢ムードが強まっている。23日の市場でダウ平均が4日続伸した。S&P500も同じく4日続伸し最高値を更新した。巨額のAI投資が材料視されエヌビディアなどの関連銘柄が上昇している。しかしマグニフィセントセブンの年初来上昇率は抑制気味である。来週以降、大手ハイテク株の決算が続く。また、1月28日-29日には今年最初の米連邦公開市場委員会(FOMC)が開かれる。週末を控える今日は調整売りを警戒したい。しかし今の地合いの強さを考えるならば、調整売りに圧されてもその幅は限定的となることが予想される。S&P500の予想レンジは6,070-6,175。


目次


巨額のAI投資にトランプ発言、S&P500は最高値更新

米国株の騰勢ムードが強まっている。23日の市場でダウ平均は4日続伸した。多くの機関投資家が運用のベンチマークにするS&P500も4日続伸し、前日比32ポイント(0.5%)高の6,118と、2024年12月6日につけた最高値を更新した。

今週の米株高のけん引役となっているのが人工知能(AI)インフラを構築するための巨額投資計画である。日本のソフトバンクグループと米国のオープンAIは21日、新会社「Stargate Project」の設立を発表した。今後4年間で最大5000億ドルを投資し、AI用のデータセンターなどを整備する計画という。

22日以降のマグニフィセントセブンのパフォーマンスを確認すると、Stargate Projectに関係するエヌビディア(NVDA)とマイクロソフト(MSFT)が4%超上昇した。

マグニフィセントセブンと米国株価指数の動向:1月22日以降

マグニフィセントセブンと米国株価指数の動向:1月22日以降

ブルームバーグのデータで筆者が作成 / 基準日:1月21日

23日の市場ではトランプ米大統領の発言も材料視された。世界経済フォーラムの年次総会(ダボス会議)でトランプ氏は、エネルギー価格が下がれば米連邦準備理事会(FRB)に対して「ただちに利下げを要求する」と述べた。一時的にせよ原油安によるインフレの鈍化と利下げの期待が米国株の買い材料となった。

さえないマグニフィセントセブン、決算前の調整売りを警戒

投資家の不安心理を示すVIXは15ポイント、VXNは18ポイントと、いずれも低位で安定的に推移している。

その一方でマグニフィセントセブンのパフォーマンスはさえない。年初来の騰落率を確認すると、巨額のAI投資が材料視され、23日時点でエヌビディアが上昇率トップに返り咲いている(下のチャート、緑ラインを参照)。しかしその水準は9.63%と、1月6日の11.27%と比べて低い。オープンAIの最大の支援企業であるマイクロソフトも上昇はしているが、エヌビディアだけでなくメタやアマゾンにも遅れをとる状況にある(下のチャート、青ラインを参照)。アップルに至っては中国ビジネスの低迷が嫌気され、一人負けの状況にある(下のチャート、赤ラインを参照)。

来週以降、エヌビディアを除くマグニフィセントセブンの決算が続く。設備投資のリターンや業績の見通しを見極めたいとの思惑が働きやすい。また、1月28日-29日には今年最初の米連邦公開市場委員会(FOMC)が開かれる。4日続伸でS&P500の短期的な過熱感が意識されやすい状況も考えるならば、週末を控える今日の取引では調整の反落を警戒したい。

マグニフィセントセブンの年初来騰落率

マグニフィセントセブンの年初来騰落率

ブルームバーグのデータで筆者が作成 / 基準日:2024年12月31日

米長期金利が下げ止まり、根強いインフレ再燃の懸念

米国株の調整売りを促すもう一つ要因として、米10年債利回り(長期金利)の動向も注視したい。24年12月の米消費者物価コア指数(CPI)の鈍化で上昇の圧力が後退していた。しかし現在は、4.5%がレジスタンスからサポートのラインへ転換し、下げ止まりのムードにある。トランプ米大統領が2月1日までにカナダ、メキシコそして中国に対して関税強化を行う可能性があることを示唆して以降、米長期金利の低下圧力が後退していることを考えるならば、インフレ再燃に対する市場の警戒心は相当に強い。

今日は1月の購買担当者景気指数(PMI)速報値が発表される。市場予想を上回る場合の米長期金利の反応を注目したい。強い経済指標がインフレ再燃の警戒心を高める場合は、米長期金利の反発がさらに進行することが予想される。長期金利の上昇は米国株の利益確定売りを促す要因となろう。

米国10年債利回りの動向:1時間足 1月9日以降

米国10年債利回りの動向:1時間足 1月9日以降

出所:TradingView


S&P500 今日の見通しとテクニカルライン

15分足のストキャスティクスとRSIは、S&P500の短期的な買いの過熱感が高まっている状況を示唆している。今日の市場が調整売り優勢となる場合は、以下でまとめたサポートラインの攻防に注目したい。

今の地合いの強さを考えるならば、22日以降、相場をサポートしている6,070を今日の予想レンジの下限と想定したい。すぐ上の水準6,075は、直近高安のフィボナッチ・リトレースメント38.2%の水準にあたる。

今日のサポートライン
・6,100:サポートライン(15分足、日足)
・6,092:フィボナッチ・リトレースメント23.6%(15分足)
・6,075:フィボナッチ・リトレースメント38.2%(15分足)
・6,070:予想レンジの下限(15分足)

日足のMACD とモメンタムは、S&P500の強気相場に勢いがあることを示唆している。5日線だけでなく10日線も50日線とゴールデンクロスを形成するムードにある。これらテクニカルラインが示唆するとおり今日もS&P500が強気地合いを維持すれば、フィボナッチ・エクステンション100%の水準6,176を今日の予想レンジの上限と想定したい。

今月17日以降、30ポイントまたは50ポイント上昇する傾向にある。昨日の高値6,118の突破する場合は、30ポイント上の6,150前後の攻防を想定したい。6,150の突破は23日の高値から約50ポイント上の水準6,170をトライするサインとなろう。テクニカルの面では、予想レンジの上限6,176のトライが視野に入ろう。

今日のレジスタンスライン
・6,176:フィボナッチ・エクステンション100%(日足)
・6,170:23日の高値から約50ポイント上の水準 (15分足)
・6,150:23日の高値から約30ポイント上の水準 (15分足)
・6,118:23日の高値水準(15分足)


S&P500のチャート

S&P500のチャート:15分足 1月22日以降

S&P500のチャート:15分足 1月22日以降

出所:TradingView

S&P500のチャート:日足 2024年8月以降

S&P500のチャート:日足 2024年8月以降

出所:TradingView


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