【IG米国株レポート】 相場環境は好転するも今週の米国株は調整の反落を警戒しておきたい
アメリカ株(米国株)を取り巻く環境は好転している。この点を示唆しているのがラッセル2000とダウ平均の上昇である。しかし来週にFOMCを控えていることを考えるならば、今週は調整の反落を警戒しておきたい。だが、現在の地合いの強さを考えるならば、反落局面での下落幅は限定となることが予想される。指数では、引き続きナスダック100の動向に注目したい。今週のチャートポイントは?詳細は、IGアメリカ株レポートをご覧ください。
サマリー
・ラッセル2000とダウ平均が示唆する米国株の強さ
・雇用増でも6月FOMCでの利上げ見送りの観測は根強い
・ナスダック100は上昇基調の維持を想定するも今週は反落を警戒しておきたい
・しかし今の地合いの強さを考えるならば、ナスダック100は上昇基調を維持するだろう
ラッセル2000とダウ平均が示唆する米国株の強さ
次回の連邦公開市場委員会(FOMC、6月13-14日)へ市場参加者の関心が集まるなか、アメリカの株市場では株高のムードが高まっている。
5月のFOMC以降の主要な株価指数のパフォーマンスを確認すると、ハイテク株比率の高いナスダック指数の上昇幅が拡大している状況に変化は見られない。
直近の動きで注目すべきは、小型株のベンチマーク指標であるラッセル2000指数(RUT)の動向である。6月に入り上昇幅が拡大していることが分かる。
この株価指数は、相場の変調を先取りする「炭鉱のカナリア」として注目されている。その指数の上昇幅が拡大しているということは、投資家のリスク選好姿勢が高まっていることを示唆している。
また、ダウ平均(DJI)の動きを見るとプラス圏へ浮上している。先週のIG米国株レポートでは、エヌビディア(NVDA)やメタ(META)など一部の大手ハイテク企業の株高が米国株上昇のけん引役になっていると指摘した。
しかし、ナスダック指数の上昇に追随できずにいたラッセル2000指数やダウ平均の上昇幅拡大は、短期的にアメリカ株全体で強気相場が進行する可能性があることを示唆している。
アメリカ株価指数のパフォーマンス
根強い6月FOMCの利上げ見送り観測
先週2日に5月の米雇用統計が発表された。詳細については、こちらのレポートをご覧いただきたい。
今回の雇用統計と米国株の反応について重要なことが2つある、と筆者は考えている。
ひとつは、市場の予想を大幅に上回る雇用増を受け米債市場では利回りが上昇した一方、米国株も上昇で反応したということである。この動きは、現在の米国株が金利上昇のリスクを簡単に跳ね除ける強さがあることを示している(これまでのように金利の上昇が株安要因とはならない状況を示唆している)。
もうひとつは、次回の連邦公開市場委員会(FOMC、6月13-14日)に対する市場の思惑である。
この点についてFEDウォッチツールで利上げの確率を確認すると、20%台で推移している。一方、据え置きの予想は70%台へ上昇している。
先週、FOMCメンバーのジェファーソン連邦準備制度理事会(FRB)理事とハーカー・フィラデルフィア連銀総裁は、6月会合で金利を据え置く可能性を示唆した。この発言を受けて、短期金融市場では利上げの確率が一気に20%台まで低下した。
5月の雇用統計で非農業部門における雇用者数の大幅な増加が確認されても、利上げの確率に大きな変化が見られない状況は、FOMCメンバーの考えに変化を与えるほどのインパクトが今回の雇用統計にはなかったことを示唆している。
債務上限問題が一応の解決に至り、マーケットのリスク要因がひとつ消えた。このタイミングで、6月会合での利上げ見送りが強く意識されている状況は、米国株にとってポジティブである。
6月FOMCに対する市場の思惑
ナスダック100指数の展望とチャートポイント
アメリカの株価指数では、先週に続きナスダック100指数(NDX)に注目したい。
週足チャートで直近の動向を確認すると、重要なレジスタンスポイントをことごとく突破していることが分かる。この状況を考えるならば、ナスダック100指数の基本的なトレンドは上値トライにあるだろう。
実際に上昇幅が拡大する場合は、昨年3月の高値15,265レベルのトライが焦点となろう。この水準は、22年10月安値からの76.4%戻しの水準(15,272レベル)付近である。テクニカルの面でも15,265レベルはレジスタンスポイントとして意識される可能性がある。
しかし、短期間で上昇幅が拡大したことで、13週MAとの乖離が2σ(標準偏差)の上限付近まで広がっている。
来週にFOMCを控えるなか、短期間で急上昇しているエヌビディア(NVDA)やメタ・プラットフォームズ(META)は一度調整売りに押される可能性もある。これら銘柄は、ナスダック100指数の上昇をけん引してきた。
上で述べたとおり、米国株を取り巻く相場環境は改善の傾向にある。しかし、テクニカルの面でも個別銘柄の面でも短期的な過熱感が意識されやすい状況にある今週のナスダック100指数は、調整の反落を常に警戒しておきたい。特に今週後半の動きを注視したい。
ナスダック100指数のチャート
だが、米国株を取り巻く現在の好環境を反映するかのように、MACDでは地合いの強さを示すトレンドが続いている(下の日足チャートを参照)。
冒頭で述べたラッセル2000指数(RUT)やダウ平均(DJI)の上昇幅拡大も考えるならば、ナスダック100指数(NDX)が反落してもその幅は限定的となる可能性が高いだろう。
予想どおりにナスダック100指数が反落する場合は、5月以降、サポートラインとして意識されている10日MAを下限と想定し、まずは先週の反落局面で相場をサポートした14,200レベルの維持に成功するかどうか?この点を確認したい。この水準は5月の安値と直近高値の23.6%戻しにあたる。
テクニカルの面でも重要な14,200レベルを完全に下方ブレイクする場合は、10日MAをトライするシグナルとなろう。
一方、14,200レベルでのサポート転換が確認される場合は、地合いの強さを市場参加者に印象付けるだろう。このケースでは、直近の高値14,595ポイントの突破と14,600ポイント台への上昇を想定しておきたい。
ナスダック100指数のチャート
※ナスダック100指数は、IG証券の株価指数CFDでお取引できます。銘柄名は「米国テク株100」です。
詳細については、こちらでご確認ください。
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