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【IG米国株レポート】今週の焦点は米国債の入札と7月CPI / VIX指数とS&P500指数の見通し

アメリカの財政問題がクローズアップされ、先週の米債市場では長期ゾーンを中心に利回りが上昇した。米金利の上昇は米株高の調整要因となり、VIX指数(投資家の不安心理)が上昇した。不透明感が漂うなか、今週の米国株の見通しは?注目しておきたい材料は?

出所:ブルームバーグ 出所:ブルームバーグ

※S&P500種株価指数のテクニカル分析については、こちらをご参照ください


サマリー

・今週の米国株は、国債の入札結果と7月の米CPIの内容でトレンドが左右されよう
・米国債の入札が不調な場合は、VIX指数の上昇と米株安が予想される
・VIX指数が上昇しても、それが長期にわたって続く可能性は低いだろう
​​​・今週は、7月の消費者物価指数(CPI)にも注目が集まるだろう
・7月CPIが予想外に上昇する場合は、調整相場(反落)の進行を警戒したい


急上昇するVIX指数、今週の見通しについて

アメリカの財政問題とVIX指数の急上昇

前回のIG米国株レポートで取り上げたVIX指数(VIX、恐怖指数)は先週、17ポイント台まで急上昇した。

VIX指数のチャート:週足 年初来

VIX指数のチャート:週足 年初来 ブルームバーグのデータをもとに作成

先週のレポートでは、投資家のセンチメントが強気に傾き過ぎている状況で米国株に対する何等かのネガティブなイベントが発生する場合、今のVIX指数は上昇しやすい状況にあることを指摘した。

そのネガティブなイベントとして先週、アメリカ財務省による国債の発行規模の拡大と格付け会社フィッチ・レーティングスによる米国債の格下げ(外貨建て長期債格付けを最上位の「AAA」から「AA+」に1段階引き下げ)が、米株高の調整(下落)要因となった。

同国の財務省は先週2日、四半期定例入札(クオータリー・リファンディング)の米債発行規模を第3・四半期に漸増的に引き上げていくこと、さらにその後も引き続き増加させると発表した。

米債市場では発行増に伴う需給懸念を受けて、長期ゾーンを中心に利回りに上昇の圧力が高まった。今週入札が予定されている10年債利回り(長期金利)は一時、昨年11月の上旬以来となる4.2%台まで上昇する局面が見られた。

一方、今週10日に入札が予定されている30年債利回りの上昇幅も拡大した。

これら米金利の上昇は、米株下落の一因となった。

米長期金利のチャート:日足 22年10月以降

米長期金利のチャート:日足 22年11月以降 ブルームバーグのデータをもとに作成


国債入札の結果次第ではVIX指数がさらに上昇する可能性あり

今週8日に3年債(420億ドル)、9日に10年債(380億ドル)そして10日に30年債(230億ドル)の入札が予定されている。総額で1,030億ドルと、前回の960億ドルから発行規模が拡大する。

問題は、米国債の安定した需要が確認されるかどうか?である。

各入札でこの点(安定した需要)が確認される場合、米金利には低下の圧力が高まるだろう。米金利の低下は市場心理の安定につながり、VIX指数(VIX)は低下することが予想される。

一方、その需要が確認されない結果となれば、米金利に上昇の圧力が高まることが予想される。このケースでは、今後の入札でも同じこと(不調な入札の状況)が発生するという思惑が高まろう。ゆえに今週の入札が総じて不調に終わる場合は、VIX指数のさらなる上昇を想定しておきたい。

VIX指数の上昇は、米株高の調整相場(反落相場)が続くシグナルとなろう。

VIX指数の上昇は短期で終息する可能性あり

しかし筆者は、今週の入札結果がVIX指数(VIX)の上昇要因となっても、そのトレンドが長期にわたって続く可能性は低いと筆者は考えている。

現状、世界の基軸通貨は米ドルであり、その運用先として米債市場は魅力的な市場である。そして債券の投資家にとって高い安全性と流動性がある米国債を保有しないという選択肢は、現状選択肢に入らない。

また、今後は連邦準備制度理事会(FRB)による利上げの影響により景気が減速していくことが予想される。これは米国債の需要を高める要因である。

先週4日の市場では、7月の雇用統計で非農業部門雇用者数変化が予想を下回ったことで、価格の妙味から米国債が買い戻された。長期金利は4.2%から4.03%まで急低下した。

今後もさえない経済指標が確認される場合は、将来の景気減速懸念を背景に米国債の根強い買いが入ることが予想される。


VIX指数のトレンド予測

VIX指数(VIX)トレンドを予想する際に、「VIX/VXVレシオ(比率)」の動向に注目したい。

VIX指数は、S&P500種株価指数(SPX)の今後30日間の変動率を予測する指標である。一方、VXV指数はS&P500指数の3ヶ月間の変動率を予測する指標である。

コロナパンデミックが発生した2020年の初頭以降、VIX/VXVレシオのトレンドパターンを確認すると下限が0.8前後、上限が1.0前後の間で推移していることが分かる(下チャートのグレーゾーンを参照)。

直近の動向を確認すると、6月下旬に0.8割れとなった後に反発している。この動きは、2020年以降のトレンドパターンが続いていることを示唆している。

現在のVIX/VXVレシオは「0.92」付近である。上で述べた国債の入札が不調に終わる場合は目先(短期)のリスクが高まる(VIX指数の上昇幅が拡大)することで、VIX/VXVレシオが1.0付近に向かって上昇することが予想される。

VIX/VXVレシオが1.0前後まで上昇する場合は、一度VIX指数が反転(下落)する展開を想定しておきたい。

VIX/VXVレシオのチャート:週足 2020年以降

VIX/VXVレシオのチャート:日足 2020年以降 ブルームバーグのデータをもとに作成


S&P500種株価指数とVIX/VXVレシオの関係

そして、S&P500種株価指数(SPX)とVIX/VXVレシオのトレンドを考えるならば、VIX/VXVレシオの反転(下落)が確認される場合、S&P500指数は調整の下落相場から再び上昇相場へ転じることが予想される。

S&P500指数とVIX/VXVレシオのチャート:日足 23年3月以降

S&P500指数とVIX/VXVレシオのチャート:週足 23年3月以降 ブルームバーグのデータをもとに作成

もうひとつの注目材料は7月のCPI

根強い賃金インフレ

アメリカの労働省が先週4日に発表した7月の雇用統計では、非農業部門雇用者数変化が18.7万人と市場予想の20.0万人を下回った。

しかし、賃金(平均時給)は前月比で0.4%増と、市場予想の0.3%増を上回った。一方、前年比でも4.4%増と市場予想の4.2%増を上回り、根強い賃金インフレの状況が確認された。

アメリカの長期金利が低下したにもかかわらず、この日の米株式市場は賃金インフレの方が意識され、主要な株価指数が下落したとの見方があった。

アメリカの雇用統計:過去1年間の推移

アメリカの雇用統計:月次 過去1年間 アメリカ労働省のデータをもとに作成 / 緑バーチャートとドット:7月の結果


7月の消費者物価指数(CPI)

7月の米雇用統計で根強い賃金インフレが確認されたタイミングで、今週10日に7月の消費者物価指数(CPI)が発表される。

総合では前年比で3.3%と、6月の3.0%から上昇する見通しとなっている。一方、変動の大きい食品とエネルギーを除いたコア指数の予想は、同比で4.8%と6月から横ばい予想となっている。

インフレの鈍化期待にけん引され、7月の米国株は上昇した。しかし現在は、アメリカの財政問題が意識される局面にある。そして賃金インフレも確認された。

このタイミングで7月CPIが予想以上に上昇する場合は、インフレ圧力の根強さと利上げサイクル修了の期待が後退することで、米株高の調整相場がさらに進行する要因になると予想する。

アメリカ消費者物価指数の推移:月次 過去1年間

アメリカ消費者物価指数の推移:月次 過去1年間 アメリカ労働省のデータをもとに作成 / 赤バーチャートとドット:7月の市場予想

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