プラチナ価格見通し: 当面高値を維持へ 触媒・宝飾需要堅調
プラチナが高値圏でレンジ相場となっている。需要は自動車の触媒コンバーター向けと宝飾品向けともに堅調であり、価格は当面、高水準にとどまるとみる向きが多い。
プラチナが高値圏でレンジ相場となっている。需要は自動車の触媒コンバーター向けと宝飾品向けともに堅調であり、価格は当面、高水準にとどまるとみる向きが多い。
現物価格は2月に1オンス=1336.50ドルまで上昇して約6年半ぶりの高値を付けた後、高値圏でもみ合う展開となっている。足元では1100ドル台後半で推移している。
パラジウムからの代替進む
UBSは先週発表したリポートで、プラチナ市場の需給について、2021年1~3月期は供給不足の状態だったと指摘。21年通年では需要の約2.3%に相当する18万5000オンスの供給が不足すると予想した。
21年のプラチナの供給は前年を上回る見通しだが、需要は依然として強いという。新型コロナウイルス向けワクチンの浸透による景気回復を背景に自動車生産が急増していることが背景にある。プラチナは主にディーゼル車の内燃機関で発生する有害な排ガスを取り除く触媒コンバーターに使われている。
ガソリン車の触媒コンバーターには従来、パラジウムがより多く用いられてきたが、昨今のパラジウム価格の高騰を受け、自動車メーカーはコストを抑制するため、パラジウムから同じプラチナ系貴金属(PGM)のプラチナへの代替を進めている。
パラジウム現物価格は4月下旬に初めて1オンス=3000ドルを突破した。UBSはパラジウムについては今年後半に3100ドルに向けて上昇すると見込んでいる。
プラチナへの置き換えの動きは今後数年間続くとの見方を念頭に投資目的のプラチナの買いもみられるという。
欧州連合(EU)で始まった乗用車の排出ガス規制「RDE(Real Driving Emissions)」など各国が進める自動車の排出ガス基準の厳格化もプラチナには恩恵になる。自動車メーカーは1台当たりのPGMの使用量を増やす必要に迫られているためだ。
また、プラチナの宝飾品向けの需要も強いという。宝飾品需要は全体の約25%を占めている。
ジョンソン・マッセイの需給見通し
21年のプラチナ市場の需給については別の見方もある。英製錬大手ジョンソン・マッセイは供給過多になる可能性があると予想する。
17日に発表した「世界需給見通し(PGM Market Report May 2021)」で21年のプラチナ市場について、自動車触媒向け需要は増加するものの、価格の上昇により投資や宝飾向けの需要は抑制されるとの見方を示した。
一方、鉱山からのプラチナ供給については、コロナ禍で操業が滞った南アフリカの供給は40%近くの急回復を示すと予想した。また、2つの鉱山が浸水により一時的に閉鎖されたロシアでも状況が改善する見通しという。このうちの1つでは既に生産が再開されている。
スクラップからのリサイクルによる供給も増加が見込まれるという。
ロイターが4月にアナリストとトレーダー34人を対象に実施した調査によると、プラチナ価格見通しの中央値は21年が1222ドルで22年が1253ドルだった。
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