カナダドル、強さは秋までか　22年9月は0.76米ドルとの見方

カナダの銀行大手カナディアン・インペリアル・バンク・オブ・コマース（CIBC）は、2022年9月時点のカナダドルの対米ドル相場を現在よりも低い0.76米ドルと見込んでいる。米国がより早期に利上げに踏み切るとの見方が強まる秋頃にカナダドルは勢いを失うという。

カナダの経済紙フィナンシャル・ポスト（電子版）が今週、CIBCの分析を紹介した。カナダドルは今月に入り0.83米ドル付近まで上昇。2015年5月以来の高値を付けた。

カナダ銀行（中央銀行）は4月21日の金融政策決定会合で政策金利を0.25％に据え置く一方、国債の購入額を減額することを決定した。この時点でのカナダドル相場は0.79米ドル。この後、急速に上げ足を速めた。

CIBCによると、足元のカナダドル上昇の背景には、カナダ、米国双方の中銀の利上げ見通しの相違がある。

カナダ中銀は4月の会合でテーパリングとともに、22年の利上げの可能性を示唆した。一方、米連邦準備理事会（FRB）は現時点で23年より後まで利上げは始めないとの姿勢にある。

FRBは今年の米インフレ率の上昇は一時的である可能性が高いとの見方を示しているが、こうした考えを変えてインフレは22年になっても続く可能性があると認めるまで、カナダドル買いが継続するとCIBCは予想する。

FRBが現在の見方を変えるには、安定的な雇用の増加を確認する必要があるとCIBCは指摘。そうした状況が訪れるのは今秋とみている。4月の米雇用統計では新規雇用者の増加数が市場予想を大きく下回った。

FRBがカナダ銀行のタカ派的な姿勢に追い付いた時点で、今度は米ドルに対する買いが優勢になる見通しだ。

CIBCは、カナダドルが22年9月までに0.76米ドルになっていると予想する。中銀は0.77米ドル以上のカナダドル高で利上げを積極的に行う可能性は低いという。伝統的にカナダドルが0.77米ドル以上の水準にある場合、カナダの対米輸出は苦戦するとされる。

商品相場の行方

資源国通貨であるカナダドルは、最近の商品相場の上昇にも支えられてきた。しかし、商品高による支えは今後、剥落する可能性があるという。

原油相場は産油国の供給が増加することでこの先はレンジ取引が見込まれ、またその他の商品も供給が需要に追い付けば高値を離れる可能性があるとCIBCは指摘する。

石油輸出国機構（OPEC）とロシアなどの主要産油国が構成する「OPECプラス」は4月27日に閣僚級会合を開催し、7月まで段階的に産油量を増やしていく従来の方針を維持することを確認した。

日本時間14日午後1時現在、カナダドルは0.82米ドル付近で推移している。