テラのコロナ向け治療臨床研究で症状回復 株はストップ高
・肺炎と呼吸機能の改善認められると発表
・7月に研究成果発表へ
28日の株式市場でジャスダック上場の創薬ベンチャー、テラ<2191>が後場にストップ高まで買われた。新型コロナウイルス感染症に対する幹細胞治療法開発に向けたメキシコでの臨床研究で感染患者1人の症状回復を確認し、国内企業として初めてコロナウイルス幹細胞治療の臨床試験に成功したと発表した。
午後1時過ぎから前日比150円(16.25%)高の1073円でストップ高買い気配が続く。1073円は年初来高値に相当する。
前場は前日比マイナス圏で推移。しかし、午後零時半に臨床試験に成功とのリリースを発表し、後場に買いが殺到した。
株価は3月13日に上場来安値となる92円まで下落。その後、2カ月半で11倍超となった。
東京大学医科学研究所を発祥とするバイオベンチャーのテラは、免疫の力を使ってがんを治療する独自の技術である樹状細胞ワクチン療法を提供する。
テラは4月27日、セネジェニックス・ジャパンと新型コロナ感染症に対する間葉系幹細胞を用いた治療法の共同研究契約を締結したと発表し、新たなコロナ関連銘柄として注目を浴びた。
今月14日にはセネジェニックスとの契約に基づく臨床研究をメキシコで13日に開始したと明らかにし、27日の臨床研究の中間報告が待たれていた。
遺伝子や細胞などを用いた先端医療支援を手掛けるセネジェニックスは、テラの株式を122万8000株保有する。
臨床研究の進捗
テラとセネジェニックスは、メキシコ政府のコロナ感染症専門病院を含む3施設で、新型コロナに感染した中程度から重症の肺炎患者に臍帯由来間葉系幹細胞を用いて治療を行っている。
臨床研究の主要評価項目は安全性と有効性で、目標症例数は50例。また、標準治療を行う比較対象群は25例を設定する。7月に主要なデータの収集が完了する予定で、研究成果の発表も7月に予定している。
今月26日までの時点で、コロナウイルス感染による重度の肺炎患者として登録された症例数は9例で、引き続き50症例まで登録数を増やすことを目指して治療を続けるという。
判定には2週間以上の経過観察が必要なため、現段階では効果判定に至った症例はなく、治療が続いている状況にあるが、第1例目の患者は肺炎と呼吸機能の改善が認められた。同社によると、人工呼吸器をつけた重症患者が、投与後3日後には人工呼吸器を外すほど回復している。
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