アルファベット決算、広告収入2四半期連続減 株価は5%上昇後に失速
アルファベットの2023年1-3月期決算は景気の先行き不透明感に足を引っ張られた。結果は市場予想を上回ったが、株価は伸び悩んだ。
グーグルを傘下に持つIT大手のアルファベットが25日の取引時間終了後に発表した2023年1-3月期決算は総収入と1株当たり利益の両方が事前の市場予想を上回った。ただ、広告収入は2四半期連続の前年同期比マイナスとなり、米国景気の先行き不透明感が今後の業績の足を引っ張る可能性を感じさせた。アルファベットのサンダー・ピチャイCEOはAI関連事業の展開に意欲を示しているが、アルファベットの株価(チャート)は時間外取引で一時5%ほど上昇した後、上げ幅を縮めている。
アルファベットの2023年1-3月期決算は増収減益
1-3月期の総収入は前年同期比2.6%増の697.9億ドル。1株当たり利益は5%減の1.17ドルだった。金融情報会社リフィニティブのデータによると、直前の市場予想は総収入が689億ドル、1株当たり利益は1.06ドルで、発表された決算は予想を上回る内容だった。
ただし減収決算は5四半期連続で、決して好決算と受け止められているわけではない。新型コロナウイルス禍の中で拡大してきた事業の勢いが弱まっていることは明らかだ。1月には1万2000人の人員削減などを発表しており、関連費用は26億ドルに達したとしている。
また、総収入は増え続けているが、大黒柱の揺らぎもみられる。収益の柱である広告事業の収入は前年同期比0.2%減で、2四半期連続のマイナスとなった。一方、収益源として成長を期待しているクラウド事業の収入は28%増で、1億9100万ドルの営業利益を生んだ。とはいえアマゾン・コム(チャート)とマイクロソフト(チャート)というライバルと比べて規模は小さく、まだまだ力不足といえる状況だ。
経済の先行き不透明感が逆風に
アルファベットに対する逆風の要因は米国経済の先行き不透明感にある。コスト抑制を図る企業の多くはインターネット広告の出稿に慎重になっているうえ、クラウド事業でも出費を抑えようとしている。また3月のシリコンバレーバンクの経営破綻を機に広がった金融システムへの不安は4月以降もくすぶり続ける可能性がある。財務状況が懸念されているファーストリパブリック銀行は24日の決算発表で、1-3月に1000億ドルの預金流出があったことを明らかにしており、改めて市場の不安をかきたてている。
こうした中、アルファベットは20日に2つのAI研究グループを統合した新組織「グーグル・ディープマインド」を設立すると発表。ピチャイ氏はこれにより、AIの「大胆かつ責任感のある発展」を実現させるとしている。ただしAIサービスからどれだけの収益を上げられるかには不透明な部分も多い。
アルファベットは決算発表に合わせて700億ドル規模の自社株買いを行うことも公表した。25日の終値は104.61ドルだったが、その後の時間外取引では一時110ドル程度まで株価が値上がりする場面もあった。株価はその後上げ幅を縮め、106ドル程度で取引された。
本レポートはお客様への情報提供を目的としてのみ作成されたもので、当社の提供する金融商品・サービスその他の取引の勧誘を目的とした ものではありません。本レポートに掲載された内容は当社の見解や予測を示すものでは無く、当社はその正確性、安全性を保証するものではありません。また、掲載された価格、 数値、予測等の内容は予告なしに変更されることがあります。投資商品の選択、その他投資判断の最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたしま す。本レポートの記載内容を原因とするお客様の直接あるいは間接的損失および損害については、当社は一切の責任を負うものではありません。 無断で複製、配布等の著作権法上の禁止行為に当たるご使用はご遠慮ください。
リアルタイムレート
- FX
- 株式CFD
- 株価指数CFD
※上記レートは参考レートであり、取引が保証されるものではありません。株式のレートは少なくとも15分遅れとなっております。