アルファベット、広告収入2四半期連続減か 25日決算発表 AIの出遅れも
アルファベットが25日に発表する2023年1-3月期決算は広告収入減が懸念される状況。AIや検索でも挑戦を受け、株価も動揺している。
グーグルを傘下に持つIT大手のアルファベットが25日に発表する2023年1-3月期決算は広告収入の動向に注目が集まる。広告収入は過去3年間で1.7倍近くに成長してきたが、直近の四半期は前年同期比で減少。アルファベットの収益は広告事業への依存度が高いだけに今後の成長性に疑問符がつく状況だ。一方、ライバルたちが力を入れるクラウド事業の規模は依然として小さく、得意としてきたAI分野でも出遅れが目立つ。さらに収益を支える検索サービスでも追撃を受ける可能性があり、足元の揺らぎは株価にも影響している。
アルファベットの総収入は1.2%増の予想
金融情報会社リフィニティブのデータによると、アルファベットの1-3月期決算に関する市場予想は総収入が前年同期比1.2%増の約688億ドル、1株当たり利益は13.2%減の1.07ドルと見込まれている。アルファベットは過去3年間12回の四半期決算のうち、2022年の4回すべての決算で総収入が事前の予想を下回った。1株当たり利益では5回市場予想をクリアできなかった。
アルファベットの株価(Alphabet Inc - A (All Sessions))は2021年12月末から2022年11月はじめにかけて約42%下落し、83ドル台をつけた。ハイテク株の比率が高いナスダック総合指数の下落率は34%程度で、予想を下回る決算が投資家の失望を買った形だ。その後、株価は反転し、株価は106ドル程度まで回復している。
リフィニティブによると、直近の株価と予想年間収益から算出される株価収益率(PER)は20.9倍。同じIT大手のアマゾン・コム(76.4倍、チャート)より大きく割安な水準にあるほか、マイクロソフト(30.8倍、チャート)やアップル(27.6倍、チャート)、メタ・プラットフォームズ(21.4倍、チャート)と比べても割安だ。アナリストが提示する目標株価の平均は124.6ドル。50人のうち17人が強い買い、28人が買いを推奨している。残りの5人は維持を勧めている。
大黒柱の広告収入の勢いにかげり
アルファベットの総収入は新型コロナウイルス禍の中で大きく拡大してきた。2022年通期の総収入は2828億ドルで、2019年の1.75倍にあたる。収益の8割を稼ぎ出す大黒柱である広告事業の収入もこの間、66.5%増の2244億ドルに達している。こうした収入は傘下のグーグルが圧倒的な地位を占める検索サービスに連動した広告に支えられている。
ただ、業績を四半期ベースでみていくと、勢いの弱まりが鮮明だ。2022年10-12月期の総収入は前年同期比でわずか1.0%増。590億ドルだった広告収入は前年同期比3.6%減のマイナス成長だった。サンダー・ピチャイCEOは2月の決算発表会見で、「この四半期の収入は広告主が出費を控えたことと、為替相場が変動したことの影響を受けた」と説明した。
AIサービスや検索でも挑戦を受ける
アルファベットの不安材料は広告事業に並ぶ収益源が育っていないことだ。クラウド事業に力を注いでいるのは、ライバルのアマゾンやマイクロソフトと同様だが、収益規模は両社の3分の1程度。自社の広告事業との比較では約8分の1でしかない。
またアルファベットが先陣を切ってきたAI分野も見通しが晴れない。アルファベットは2016年に囲碁のトップ棋士を破った「アルファGO」を開発したDeepMind(ディープマインド)を傘下に持ち、AI開発に力を入れてきたが、最近はマイクロソフトが出資するOpenAIの会話型AIサービス「ChatGPT」に話題をさらわれるケースが目立つ。
ピチャイ氏は「AIはわれわれが取り組む事業の中で最も奥深い技術だ」と重要性を強調する一方、事業展開には慎重さが求められるとの立場もとっている。マイクロソフトに比べてサービス展開が遅れがちな理由として、会話型AIサービスを大規模に展開すれば自社の検索サービスと競合してしまい広告収入に悪影響が出かねないことを挙げる向きもある。
こうした中、検索サービスでも悪いニュースが飛び込んできた。米紙ニューヨーク・タイムズは16日、韓国サムスン電子が自社製品の初期設定での検索システムをグーグルからマイクロソフトの「Bing(ビング)」に変更することを検討していると報じた。グーグルはサムスンとの契約で年間30億ドルの収入を得ているという。アルファベットの株価は17日に2.8%下落しており、マイクロソフトからの挑戦は投資家の不安をかきたてているようだ。
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